Sunday, 01 May 2022

4月の読書メーター

4月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1700
ナイス数:31

地獄の楽しみ方 17歳の特別教室地獄の楽しみ方 17歳の特別教室感想
言葉にすることで欠けてしまう部分があり、正確には伝わらない。でも語彙を増やすことでこの世という地獄を楽しむことができる、といった内容で、聴講していた15〜19歳の人々はきっと優秀な人ばかりなのだろうと思う。この説明で語彙を増やして地獄を楽しめるようになるのだから。自分には無理だな。嫌なことを避けるために策を巡らすとか。語彙も足りないし、いずれにしても避けがたい嫌なことというのはあったりするしね。
読了日:04月02日 著者:京極 夏彦
論語 増補版 (講談社学術文庫)論語 増補版 (講談社学術文庫)感想
学而第一から毎週一篇ずつ毎日音読の二ターン目が終わった。本を読むって、どういうことだろう。こうしてくりかえし同じことを声を出して読むのと、一度通して黙読するのと何が違うんだろう。そんなことを考えつつ。来週には3回目の学而第一の音読(素読といきたいところだがなかなかむつかしい)を始めるのに違いない。
読了日:04月17日 著者:加地 伸行
The Speed of Dark: A Novel (Ballantine Reader's Circle) (English Edition)The Speed of Dark: A Novel (Ballantine Reader's Circle) (English Edition)感想
「普通」ということばを使うのをためらってしまう。「常識」とかね。「常識」なんてないという意見もあるけれど、常識があるから人間はいわゆるシステム1を使って生活できているんだろうとも思うし。治療を受けるか受けぬか悩むあたりは、『今夜ヴァンパイアになる前に』にあった「変容の経験(transformative experience)」を思い出した。
読了日:04月24日 著者:Elizabeth Moon
We Have No Idea: A Guide to the Unknown Universe (English Edition)We Have No Idea: A Guide to the Unknown Universe (English Edition)感想
とってもWeb検索しづらい題名のように思うのだが、そこを敢えてこういう題名にしたのだろうか。多少くどいように思える点もあるが、わかっていないことについてわかるし、今後読むといい本も教えてもらえるところがいい。ドクター・フーとかスターウォーズ、スタートレック、Xファイル等々のネタ満載なのだが、これ、翻訳版はどうなってるんだろう。気になる。
読了日:04月27日 著者:Jorge Cham,Daniel Whiteson
金沢・酒宴 (講談社文芸文庫)金沢・酒宴 (講談社文芸文庫)感想
金沢には常々行きたいと思っていて、この本を読むとますます行きたくなるのだが、おそらく自分の行く(または「行ける」)金沢はこうじゃないんだよな。どこかに自分の「金沢」はあるのだろうか。「酒宴」もいい。こんな灘の杜氏さんと出会って灘までつれて行ってもらいたいなあ。
読了日:04月29日 著者:吉田 健一

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Friday, 01 April 2022

3月の読書メーター

3月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1227
ナイス数:21

暗記しないで化学入門 新訂版 電子を見れば化学はわかる (ブルーバックス)暗記しないで化学入門 新訂版 電子を見れば化学はわかる (ブルーバックス)感想
中学生の時外郭は外に行くほどたくさん電子を入れることができると習った。だったらなぜCa2+なのだろうと思っていたが、高校の時にそのからくりを聞いて「そういうことだったのか!」と蒙を啓かれる思いがした。この本にはもっと詳しく電子のことが説明されていて「そういうことだったのかー」と思うこと一度ならず。分子生物学を知った時に生物学はもう化学なんだなと思ったのと同様、化学ももう物理(量子論とか)なんだな、とも思った。そんなわけであまり理解できてはいない。でもわからないってなんでこんなに面白いんだろう。
読了日:03月04日 著者:平山 令明
ボッティチェリ 厄病の時代の寓話ボッティチェリ 厄病の時代の寓話感想
本屋の棚に薄くて不思議なふくらみがあって取り出したらこの本だった。その佇まいにふさわしい不思議な(といっては乱暴だが)短い話が12篇。表題作と最後の「書く」が好きかな。というのは、この事態の中で人と接触できないことや人と近づくことができないことにあまり不自由さを感じていないからだろう。他人の気持ちとしてはわかるけれど、どこか遠い世界の話にも感じられる。それではいけないと云われているのかもしれない。
読了日:03月11日 著者:バリー・ユアグロー 柴田元幸訳
The Fabric of Reality: The Science of Parallel Universes--and Its ImplicationsThe Fabric of Reality: The Science of Parallel Universes--and Its Implications感想
読み終わってちっともわかった気はしないのだが、なぜだがおもしろい。わからないことってどうしてこんなおもしろいのだろう。量子物理学・認識論・進化論・計算理論の四つを現実の基本構造として統合しようという話、だと理解しているけれど、その一つ一つがすでに難しい。おもしろいのは著者の書きぶりのせいもあるのかな。どこか諧謔的というか、ユーモラスなところがある。前書きに「子供の頃、世界の全てを知ることはできないと云われて不満だった」とあってそこからして引き込まれる。参考図書を読んでからまた読み返したい。
読了日:03月14日 著者:David Deutsch
ヒューマニティーズ 哲学ヒューマニティーズ 哲学感想
「ヒューマニティーズ 」というシリーズは人文学のこれからについて各分野の学者が執筆したものなのだろうと思う。薄くて一見入門書のようではあるけれど、「これから」を読むには読者の方にもある程度の知識が必要ということなんだろうな。いま読むと、「哲学とは何か」ということよりも、9.11以降「新しい戦争」と呼ばれたものが実は植民地戦争と変わらないという話にひかれてしまう。文献については詳しい説明があるのはちょっと嬉しい。
読了日:03月15日 著者:中島 隆博
Gorgias by Plato annotated (English Edition)Gorgias by Plato annotated (English Edition)感想
冒頭の解説が親切で、ゴルギアス、ポルス・カリクレスの役割・ソクラテスとのやりとりの内容がわかりやすく説明されている。解説はちょっと長いけど、とりあえずこの三人のことを抑えた後は本篇に進むのもありじゃないかな。要所要所にプラトンのほかの著作と比較せよなんてな指示もあって親切とも云える。ソクラテス、嫌われ者でしょとか思っちゃうなあ。もっと若い頃に読んで「善とは何か」とか「人より優れているとはどういうことか」とか考えたかったなあと思いつつ、若いとそういうことで悩むのってかっこ悪いとか思っちゃったりするかな。
読了日:03月23日 著者:Plato(translator: Benjamin Jowett) Plato
The Curious Incident of the Dog in the Night-Time: A Novel (Vintage Contemporaries) (English Edition)The Curious Incident of the Dog in the Night-Time: A Novel (Vintage Contemporaries) (English Edition)感想
サヴァン症候群の少年の目から見た物語で、父親のことは「Father」、母親のことは「Mother」と書き、みなからは「Christopher」と呼ばれている。「Dad」とか「Mom」とか「Chris」じゃないんだな。両親の息子への態度は正反対で、なんとかうまくつきあっていこうとする方が我慢できない方より問題を起こしてしまうというのはつらい。ハッピー・エンドといふ人が多いけど、そうなのかなあ。あと、ゴールデン・レトリバーってあんまり吠えないんじゃないかなと思った。そこが題名にもつながってたり……はしないか。
読了日:03月30日 著者:Mark Haddon

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Tuesday, 01 March 2022

2月の読書メーター

2月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1151
ナイス数:21

英文法を哲学する英文法を哲学する感想
英文法も研究者がいるわけだし日々進化していくものなのだなあと思いつつ、人は一度覚えたものを書き換えるのが苦手だからなあとも思う。「時制は二つだけ、時相が三つある」と云われてもさ。この本を読めば「そういうことなのかな?」くらいにはわかるけれど。でも「この方が今まで教えてもらってたことよりもわかいやすいなあ」と思う点は多々ある。あと、高校の英文法の先生が云ってた「ネクサス」ってそういうことだったのか、という発見もあった。ゲーテの「外国語を知らぬ者は」も思い出した。
読了日:02月01日 著者:佐藤 良明
身のまわりのありとあらゆるものを化学式で書いてみた身のまわりのありとあらゆるものを化学式で書いてみた感想
キュウリやトマトの香りはどういう仕組みで香るのか? お米と綿の化学式は同じ? こんな風に「それでそれで?」という感じでどんどん先に読み進める。化学式はたくさん出てくるが難しくはない。そしてそこにちょっと問題がある。やさしく書こうとするとどうしても抜け落ちてしまうものがある。そこはほかの本で補いながら読むといいのかもしれない。自分は『暗記しないで化学入門』と見比べながら読んだ。
読了日:02月08日 著者:山口 悟
プラトン 哲学者とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)プラトン 哲学者とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)感想
プラトンの入門書として勧められたが、そうであるならあるだろう「イデア論とは」「哲人王とは」という説明はほぼなく、「なぜプラトンは対話篇を書いたのか」「その対話篇になぜプラトンは登場しないのか」という話からプラトンの描くソクラテスの話につながり、「現実とは」「生とは」特に「より善く生きるとは」という話になる。そこかしこに「今の世の中これでいいのか」という著者の声が聞こえるようにも思う。巻末にどういう順番でプラトンの著書を読んだらいいかとかお勧めの本も出ているのがいい。まず「ゴルギアス」を読んでみるつもりだ。
読了日:02月17日 著者:納富 信留
哲学カフェ! 17のテーマで人間と社会を考える (祥伝社黄金文庫)哲学カフェ! 17のテーマで人間と社会を考える (祥伝社黄金文庫)感想
「哲学カフェっていつもこんなに和やかなの?」と思うが、そこはファシリテータの手腕なんだろうか。毎回最後にファシリテータが「考えつづけてください」と云うのだけれど、会話が結構きれいに終わっていたりするとむつかしいのでは。実際に顔を合わせて話し合うのが大事というのはそのとおりかな。哲学するのと哲学者の説を覚えるのと半々くらい……いや、前者の方が若干多いだろうか。
読了日:02月21日 著者:小川 仁志
ゆるキャラの恐怖 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活3 (文春文庫 お 23-5)ゆるキャラの恐怖 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活3 (文春文庫 お 23-5)感想
「クワコー、こんなにダメなのにちゃんと生きてる……」と毎回彼我の差に落ち込むことしきりだったが今回は違った。なぜ、と考えて、クワコーには何か生きる力、ヴァイタリティのようなものがあるからかもしれないと思い至った。生きていくことに前向きなのだ。ザリガニとかセミとかキノコとか。自分にはとても真似できない。そうか、クワコーの方が自分よりずっと優れている。だからちゃんとしているんだな。しかし国の大学への締め付けはいよいよ厳しいようだ。クワコーの明日はどっちなのか。
読了日:02月22日 著者:奥泉 光
「自分らしさ」と日本語 (ちくまプリマー新書)「自分らしさ」と日本語 (ちくまプリマー新書)感想
題名は「自分らしさ」となっているが「女ことば」というのは男の人から見て「女の人にはこうあってほしい」という思いから生まれたもの。もちろん女の人にも「男の人にはこうあってほしい」ということはあるだろうが、そこにはあまり触れられていないように思う。この本がいいなと思うのは、最後に「かんたんにわかりやすく書くとどうしてもわかりづらくなることがある」という旨のことが書かれていて、知りたい人は参考文献にあたってほしいとあることだ。そうなんだよね。入門書にはかえってわかりづらい点があったりする。わかってるなあと思う。
読了日:02月27日 著者:中村 桃子

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Thursday, 11 November 2021

断捨離は持てるもののすること

一昨年、衣替の際に秋冬ものをだいぶ処分した。
特に冬の部屋着を捨てた。
どうせ家にはほとんどゐないと思つたからだ。
仕事はあるし、休みの日は芝居に行くし。

昨年の冬、気がついたら着るものがない。
感染拡大で出かけなくなつたし出かける予定があつても予定自体がつぶれてしまつたりした。
おかげで衣料費がかさんだ。

断捨離といふのはお金持ちのものなのかもしれない。
捨てて捨てて、なにか必要となつたらその時に買へばいい。
さういふ生活でないとなかなか捨てられない。
あたたかい部屋着のないことにがつくりとしつつさう思つた。

持たざるものは、断捨離などしてはいけないのだ。
いま手元にあるものを有効に活用するのが一番なのだと思ふ。
一年使はなかつたからといつて次の年も使はないとは限らない。
実際さうだつたんだから間違ひない。
なければ買へばいいといふ考へ方ではいけないのだ。
さうすると経済が回らなくなるんだけどね。

今日のニュースを見ても、米国でも日本でも物価があがつて大変だといつてゐる。
ニュースでは米国のは消費者物価、日本のは企業物価で違ふものをさしてゐるとはいつてゐたけれども、なに、日本だつて日銀総裁などは消費者物価を2%あげたいとか云ひつづけてゐるしね。
あげたいならまづは国民の収入をあげたらいいのだ。
それと老後を安泰に送れるやうにする。
さうすれば物価があがつたところで財布の紐を締める必要はそれほどなくなる。
わかつてゐると思ふのに、なぜわからないふりをしてゐるのか不思議でならない。
だつて物価をあげたいんでせう? だつたらまづすることは決まつてゐる。
日銀総裁の職掌ではないんだらうけどさ。

長期予測ではこの十二月、一月は例年より冷えるとのことだ。
昨年そろへた冬ものでなんとか乗り切れるだらうか。
乗り切れないやうだつたら着る毛布でもかけて布団にくるまるしかないな。

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Wednesday, 10 November 2021

1冊にまとめるだけではダメなのだつた

『情報は1冊のノートにまとめなさい【完全版】』を読んだ。
以前から気になつてはゐたものの、読まずにゐた。
影響を受けたくないといふこともあつたし、自然と手帳は1冊になつてゐたからといふこともある。
実際この本を読んでみて、1冊にまとめる部分はBullet Journal形式をとることでほぼできてゐるなと思つた。

でもこの本で重要なのは1冊のノートにまとめることだけではない。
もうひとつ大切なのは、さうして1冊のノートに書きためた情報を活用することだ。
それには書いたことをおそらくは何度も見返すことになる。

情報を収集する方法にはいろいろあつて、どれにも必要なことがこの「集めた情報をどう活用するか」だ。
梅棹忠夫は『知的生活の方法』で京大カードに情報を書き出し、書いたカードを何度もくることが大切だといふ旨のことを書いてゐる。
書いたら書きつぱなしでは意味がないのだ。

それを考へるとノートに手書きをするよりはデジタルメモのやうなものを残す方がいいのかなあといふ気がしてくる。
ノートだと過去のものは必ずしも手元にあるとは限らないからだ。とくに出先では何十冊と前のノートを参照するのはむつかしからうと思ふ。
ライアン・ホリディは必要なカードは常に持ち歩いてゐる、といふやうなことを書いてゐたと思ふが、その時なにが必要なのかわかつてゐればそれもできるけれども、「あの情報は確かあそこに書いてあつたはず」といふことになつたらお陀仏だ。
その点電子情報にしてしまへば、サーバ(いまだとクラウドか)においておけば、ノートよりも楽に過去のデータを見返すことができる。

ノートの利点として手元に残るといふ話もあるが、これも燃えてしまつたらそれまでだし、水没してぼろぼろになつてしまふといふことも考へられる。
データの方が消へやすいかもしれないが、いづれにせよ絶対といふことはない。

『情報は1冊のノートにまとめなさい【完全版】』でも、集めた情報を活用するためにカードにあらためて書き出したり、目次をExcelで作つたりしてゐる。
なかなか1冊で完結するのはむつかしいのだらう。

えうは、情報がどこにあるか、そしてそれをどう活用するかが肝要なのであつて、それには1冊のノートに全部まとめるのがいいよ、といふことなのだと理解してゐる。

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Friday, 05 November 2021

葬送曲について

昨日は『2001年宇宙の旅』を見てきたことを書いた。
ハチャトゥリアンの「ガイーヌ」の話もした。

昨日は書かなかつたことに、このハチャトゥリアンの「ガイーヌ」のアダージィオを自分の葬式で使ひたいなと思つてゐたことがある、といふのがある。
さう思ふやうになつたのはいつごろだらうか。
多分、芥川也寸志の葬儀のニュースを見たときのことぢやなからうか。
ニュースとはいつてもおそらくはワイドショーの類でだつたと思ふ。
その時に、芥川也寸志はマーラーの交響曲第五番の第四楽章を葬儀に使ふやうにといつたといふ話を聞いた。
自分で作曲した曲ぢやないんだ、とちよつと意外に思つた。
それにしてもマーラーのアダージェットだなんて、あんまし芥川也寸志らしくないやうな気もした。
といふほど芥川也寸志のことを知つてゐるわけぢやないけれど、当時は一時のマーラー・ブームのおかげでアダージェットも『ヴェニスに死す』やモーリス・ベジャールのバレエに使はれた曲といふだけでなく、いや、それでよけいに有名になつてゐたりもした。それでなんだかちよつと俗な感じがしたんだよね。
それと自分の中の芥川也寸志のイメージと合はなかつたといふことはあつたと思ふ。

自分の曲を使つたといふ話だと、宮川泰の出棺の時に「真っ赤なスカーフ」を使つたといふ話を聞いた。
名曲だ。ほかになにがあるといふのか。
その話が出たときに、「まんが映画の曲なんて恥づかしいといふやうなやうすを見せずにえらい」みたやうな論調があつた。
まださういふ時代だつたのか。
「アニメ」といふことばは使つてゐなかつたと思ふ。
いづれにせよ、そんな、出棺の時に「真っ赤なスカーフ」なんて流れてきたら、それだけで涙腺もゆるまうといふものだ。

出棺のときといふと、これは偶然さうなつた例だが、塩沢兼人の葬儀の際、出棺のときに流れてゐたのは「はっびぃぱらだいす」だつた。それと犬の語りで進むCDドラマが最後ちよつとかぶつたやうに記憶してゐる。
芸能人の葬儀に行つたのは初めてで、行つてよかつたと思つた。
行かなかつたらずつと死んだといふことを受け入れられずにゐただらうと思つたからだ。
行つたことで、もうこの世の人ではないといふことを理解することができた。
受け入れたのだらう。
そのせゐかやつがれの中ではいまだに中村屋も大和屋も生きてゐる。
もうゐないのだとわかつてはゐるのに、心のどこかで納得してゐない。
行けばよかつたなと思ふが、でもそんなにものすごい贔屓といふわけでもないのに、とか、遠慮してしまつたのがいけなかつたか。

いまとなつては葬儀はどんどん簡略化してゐるし、もうその際に流す音楽のことなど考へる必要はないといふ気もする。
ただ、さう考へても葬儀といふのは生きてゐる人間、残された人間のために行ふものなので、もしどうしてもしなくてはならないことになつたらハチャトゥリアンの「ガイーヌ」はアダージィオを、と思つてゐるのだが、この希望もまた自分と一緒に葬られてしまふことだらう。

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Wednesday, 03 November 2021

ワトスンの次はホームズ

The Sherlocked Podcastを聞きつつ、『シャーロック・ホームズの冒険』までたどり着いた。
『四つの署名』を読んでゐるときに思つたんだけど、「ボヘミアの醜聞」がああいふ話なのは『四つの署名』のあとだからなんではないかなあ。

『四つの署名』の依頼者はメアリ・モースタン。
ワトスンは、わりと他人に対する評価が厳しくて、やれねづみ顔だの奇妙な帽子だのなんだのと手厳しい。
そんな中でメアリ・モースタンにはやさしい目を向けてゐる気がする。
好きなんだな。
わかりやすい。

そんな『四つの署名』の中で、ホームズは「愛とは感情的なもので、なにごとも感情的なものは自分が至高のものと考へてゐる真に冷徹な論理と相容れない」といふやうなことを云ふ。

そこで「ボヘミアの醜聞」が来るんぢやないかなあ。
ホームズは別段ロマンスのわからぬ人間ではない、とか。
或は前回はワトスンの番だつたから今回はホームズの番だよ、とか。
もうすでにこんな考察は出尽くしてゐるのだらうと思ひつつ、『四つの署名』を読みながら「ボヘミアの醜聞」を読むのが楽しみだつた。

一方で、自分がホームズものを好んで読む理由の一つにこの「恋愛が主たる内容にならない」といふところにあるんだなあと思ふ。
「さういふどうでもいいところはおいておいて、ちやつちやと話を進めませうよ」と思ふことがない。
『四つの署名』もそこのところは変はらない。
それで何度でも読み返さうといふ気になるのかもしれないな。
「話を忘れちやふから」といふみづからの記憶力の問題ももちろんあるけれども。

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Thursday, 28 October 2021

菅貫太郎は出てないよ

Twitterの我がTLに「菅貫太郎」の名が流れてくる。
いいよなあ、スガカン。大好き。
といふとちよつと語弊があるかもしれないが、時代劇とか見てゐて菅貫太郎が出てくるとそれだけでワクワクしちやふし、もつといふとキャッキャしちやふ。

最近はさういふ俳優が少なくなつた。
……と書いて、自分がスガカンを見てキャッキャしちやふのは昔のドラマが好きだからなのではないかといふ気もしないではない。
当時も見てキャッキャしてゐたか、といふと……うーん、キャッキャはしてなかつたなあ。
でも出てくると「よしっ」とは思つた。
なにがいいんだかわからないが、とりあへずスガカンが出てゐればドラマ自体はつまらなくても何かしら見どころがあるはずだといふ安心感はあつた。

最後に「この人が出てゐるから見に行かう」と思つたのつてなんだらう、と考へて、もしかしたら「堀内正美が出てるから『刀剣乱舞』に行かう」と思つたのがそれかもしれない。
刀剣乱舞はゲームをしたこともなければ芝居もミュージカルも見たことがなかつたが、それでも映画にはついていける気がした。
おもしろいといふ噂も聞いてゐたし、実際見に行つて、「予習していけばよかつたな」とは思つたものの、映画の内容がわからないとかついていけないといふことはなかつた。
それに、やつぱり堀内正美の審神者はよかつたしね。
ゲームの場合プレイヤが審神者になる、といふのはなんとなくわかつてゐて、堀内正美の審神者のやうになれるんだつたらゲームをやつてみてもいいかもしれないなと思つたりもした。

「この人が出てゐるから映画に行かう」とそれほど思はないのは、もともとあまり映画など見に行く方ではないので、そもそも俳優を知らないといふのも原因かと思ふ。
洋画だとドナルド・サザーランドが出てゐるやうだから見たいと思つてゐたものがあつたが、予告篇を見ても題名が覚えられないやうな有様で、結局見にいけてゐなかつた。

いま、007とか燃えよ剣とかデューンとか見に行きたいやうな気はしてゐるのだがいまひとつ腰が引けてゐるのもこれといつて見たい俳優が出てゐないといふこともある。
燃えよ剣には山路和弘が出てゐるといふので、ぢやあ行くか、と思つたりもしないではないのだが。

とはいへ、全然見たい俳優がゐなくても見に行く映画はいくらでもあるんだけどね。
『パブリック 図書館の奇跡』もさうだつたし、『幸せへのまわり道』、『ブックスマート』なんかはさうだ。『ジョーンの秘密』もか。
『ブックスマート』以外は予告篇も見ることなく見に行つたしな。なんとなくよささうと思つて。
予告篇を見た『ブックスマート』はちよつと期待はづれだつた。
かういふ時に「でも誰某が出てゐたから……」と思へるといいのだけれど。
といふわけで、実は007も燃えよ剣もデューンも別段見たいわけではないのかもしれないといふことに気づいてしまふのだつた。

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Wednesday, 27 October 2021

如Evernote何

長いことEvernoteを使つてゐる。
8月にもさう書いた。
2008年6月20日にはじめたやうだ。
もう13年は使つてゐる。

最近は、このまま使ひ続けていけるのだらうかと不安になるときがある。
ローカルに全ノートがダウンロードされてゐなかつたり、オフラインだとフィルタや検索など使へぬ機能があつたりするからだ。
いままではできてゐた。
それができなくなると、とても不便だしとても不安だ。
このままだと、使ひつづけていけなくなるのではないか、と。

現在はフリープランで使つてゐるので、使用料を払ふプランにしてみやうかとも思ふが、おそらくさうしても上記の不具合(と自分では思つてゐる。おそらくEvernote社はさうは思つてゐるまい)は解消されないだらう。
だとしたらプランを変へたところで意味はない。

とはいへ、13年もの蓄積を、どこに移行したらよからうか。
ちよつと思ひつかないし、移行作業にどれくらゐかかるのかと気が遠くなる。

とりあへずは、記録したいものだけEvernoteに置くことにするかと思つてゐる。
スクラップブックのやうなもの、といはうか。
新聞の切り抜きに相当するものを置く。
行動記録やつぶやき履歴など、参照することの多い記録はおかない。またはおいても別のもつと利用しやすい場所にもおくことにする。

別のところにうつすとして、どこにうつしたらよからうか。
行動記録はDynalistでいい。或はScrapboxといふ手もある。
つぶやき履歴はiPhoneのMomentoといふアプリケーションでもとつてゐるからそちらを適宜バックアップするなどすればいいだらう。
しかしいづれにしても画像に弱い。

Evernoteに記録するたびにローカルでダウンロードを確認するしかないのかな。
それとも13年の記録と訣別するか。
その時がやつてきたのかもしれない。

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Thursday, 21 October 2021

「聖典」を読み返す

『緋色の研究』を読み返してゐる。
The Sherlocked Podcastを聞いたからだ。

はじまりは、Sherlock Holmes Magazineを購入したことだつた。
前号の表紙がドクター・フーの十一代目ドクターだつたのである。
十一代目ドクターは2012年のクリスマス・スペシャルでホームズの扮装をする場面がある。
また、十一代目ドクターを演じたマット・スミスにはこんな逸話がある。
『Sherlock』のジョン役のオーディションを受けたところ、スティーヴン・モファットに「シャーロック向きだけど、シャーロックはベネディクト・カンバーバッチに決まつてゐたから」といふのでドクターのオファーをしただかオーディションを受けるやうに指示しただかといふ。

そんなわけで、Sherlock Holmes Magazineを注文して、届いたらうれしさのあまり呟いてしまひ、それを公式アカウントが見てフォローしてきたのでフォローし返したらいろいろとホームズに関する情報が流れてくるやうになつた。
その中にThe Sherlocked Podcastもあつた、といふ寸法だ。

The Sherlocked Podcastは、Anthony AbbotとSteve Steeleといふ二人の自称「Sherlock Holmes fanatics」によつて運営されてゐるポッドキャストだ。
「聖典」から順番に一話づつ読み、その話について語り合ふといふ形式をとつてゐる。
そんなわけで、ネタバレもまあ、ある。
ネタバレについては二人でちよつともめてゐたけれども、まあ、なんだかんだいつて、ある。

まづ『緋色の研究』の回を聞いてみたのだが、これがおもしろい。
なにしろfanaticsだから時に早すぎてなにを云つてゐるのかわからないが、人が自身の偏愛するものを語つてゐるのを聞くのはとてもおもしろいことがある。
今回がそれだつた。
前半部分については、ワトスンがアフガニスタン帰りといふのがうまい、と云ふ。
英国にとつてのアフガニスタンは米国にとつてのヴェトナムのやうなもので、不名誉な戦ひといふ趣があるといふのだ。
さうなのかー。
また、まだ指紋による個人の特定が行はれてゐなかつた時代にいろいろやつてて、すごい、とか。
グレグスンとレストレイドの描写とか。
さういふのがおもしろいのらしい。
後半部分については、モルモン教に関して、架空の宗教団体ではダメだつたのか、とか、
モルモン教のある特徴(いまは違ふと聞いてゐるが)が必要だからさうせざるを得なかつたのにしても、ね。
これについては自分もかねて疑問に思つてゐたので「さうだよねー」と膝を打つた。

個人的な話をすると、『緋色の研究』は「聖典」の中ではかなり後の方に読んだ話だ。
はじめて読んだのは「まだらのひも」で、本の題名もさうなつてゐて、ほかに「赤毛連盟」と「銀星号事件」が入つてゐた。もう一つくらゐ入つてゐたかもしれない。
その次に手にしたのが『シャーロック・ホームズの冒険』だつた。
順番があるとは思はなかつたんだらうな。なにしろ最初に手にしたのが出版社が勝手に短編を集めてきて作つた本だし。
多分、はじめて読んだ推理小説なのではないかといふ気もするし。
そんなわけで、『緋色の研究』にしても、やはり後の方に読んだ『四つの署名』にしても後半がなんとなくだるい感じがする。
それで前半に謎解きをプラスした短編が増えたのではないかといふ気がするくらゐだ。
『バスカヴィル家の犬』はそのあたりがうまく処理されてゐて好きなんだけどな。

シャーロック・ホームズものは折に触れ読み返すことがある。
好きだとは思ふけれど、愛はない。
つまりシャーロッキアンではない。
先日ここにも「シャーロッキアンとかトレッキーに憧れる」と書いたけれど、どうも自分には愛が足りないんだなあ。
そのせゐかもしれないな、他人がその人の偏愛するものについて熱く語るのを聞いたり読んだりするのがおもしろいと思ふのは。
多分にうらやましいのだらう。

そんなわけで、The Sherlocked Podcastは今後も聞くと思ふ。
『四つの署名』は先に読んでから聞きたいと思つてゐるのだが、さて。

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