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Wednesday, 03 June 2026

5月の読書メーター

5月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1516
ナイス数:40

The Eyre Affair: Thursday Next Book 1 (English Edition)The Eyre Affair: Thursday Next Book 1 (English Edition)感想
クリミア戦争がまだ続いている世界の1985年。ディケンズやブロンテのオリジナル原稿が盗まれ、小説の世界に入ってゆける機械によって内容が書き換えられてしまう。主人公はそれを阻止するとともに通常の手段では死なない犯人を追う……とあらすじを書くと重要なことをいくつも落としているんだよなあ。『リチャード三世』はもちろん題名にもある『ジェイン・エアー』も読み返したくなる。続きも気になるし、危険な小説だ。最終巻となる第八巻が発売されると聞いて読み返した。
読了日:05月11日 著者:Jasper Fforde
Lost in a Good Book: Thursday Next Book 2 (English Edition)Lost in a Good Book: Thursday Next Book 2 (English Edition)感想
いよいよ本の中の世界で活躍するようになる主人公サーズデイ。現実世界での仕事が退屈に感じるの、わかる。サーズデイは『大いなる遺産』のミス・ハヴィシャムの弟子になるんだけど、このミス・ハヴィシャムがまたいいキャラクタなんだわ。前作よりつらい展開になっていて、この先さらにつらい展開が待っているとわかっていつつもやめられないおもしろさ。以前読んだ時は未履修だった『ドクター・フー』、主人公のお父さん、ドクター・フーだよね。タイムロード。名前がわからないところとか。
読了日:05月21日 著者:Jasper Fforde
フラワーズ・カンフーフラワーズ・カンフー感想
句作りに迷うことがあって読み返したはずだが楽しく読んでしまった。早く次の句集が出ないかなあ。
読了日:05月23日 著者:小津夜景
田中裕明の百句 (百句シリーズ)田中裕明の百句 (百句シリーズ)感想
俳人は長命な人が多いという。田中裕明をはじめて知ったホトトギス(系)の俳人とその句とを紹介した本を読んだ時、八十歳はあたりまえといった様子に喫驚したものだった。田中裕明がいまも生きていたら、と「たられば」を考えても仕方がないのだが、どんな句を作っていただろう。「はじめに」で岩田奎は「本書の想定読者は、俳人ではない」と記している。書店で俳句の棚にあったら、そっと平積みの新刊書のあたりに並べかえたい。そんな本である。
読了日:05月30日 著者:岩田奎
The Well Of Lost Plots: Thursday Next Book 3 (English Edition)The Well Of Lost Plots: Thursday Next Book 3 (English Edition)感想
一番思い出したくない記憶とはなんだろうか。一番思い出したくない、恐ろしい記憶。主人公サーズデイはこの試練のほかにさらに本の世界から追放されるかもしれないという試練と戦う。そう書くと重たい内容のように感じられるが、そして実際そうなのだが、きちんとエンタテインメントなんだよなあ。スピンオフのNursery Crimeシリーズにつながる部分もあって、次に四巻を読むかNursery Crimeシリーズを読むか、悩む。
読了日:05月31日 著者:Jasper Fforde

読書メーター

Wednesday, 01 April 2026

3月の読書メーター

3月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1322
ナイス数:30

Project Hail Mary: A Novel (English Edition)Project Hail Mary: A Novel (English Edition)感想
いきなり一人称現在形で始まってびっくりしつつこれがなかなか効果的で、目の前でものごとが進んでゆくような感じで読める。回想場面は一人称過去形になり、いまどちらの話をしているのか即わかるのもまた効果的。最後は「阿倍仲麻呂ももしかしたらこんな気分になったこともあるのかなあ」と思ったり。読みやすく、過去の経緯も気になる一方現在直面している問題をどう解決するのかということも気になりつつ読み終えた。
読了日:03月15日 著者:Andy Weir
死んでいるかしら死んでいるかしら感想
「柴田元幸、シュールな内容のエッセイ集とか出してたよなー」と懐かしみつつ再読。本の題名でもある「死んでいるかしら」が秀逸で、よく出版社がこの題名を許したなとも思う。山本夏彦が『半分死んだ人』という題名で本を出そうとしたら「関西ではウケませんよ」と云われたという話も聞く。「死」はやはりどこかで禁忌で、でも山本夏彦や柴田元幸のように「自分はなんとなく生きていないかもしれない」と思っている人もいるんだな。柴田元幸はこんな感じのエッセイ集を二、三冊を出してその後ちょっと不思議な短篇集を出している。それも読みたい。
読了日:03月15日 著者:柴田 元幸
赤尾兜子の百句赤尾兜子の百句感想
赤尾兜子の俳句に興味があったのはもちろんのこと、藤原龍一郎の評も読みたかったので手に取った。でも自分にはまだ早かったかなあ。ただ、句作をする上で「もうこんなことは既にやつた人がゐる、やつた句がある」と知ることができたというのは大きい。
読了日:03月16日 著者:藤原龍一郎
夜長姫と耳男夜長姫と耳男感想
どうしたらこんな物語が書けるのだろうか。以前読んだはずなのにすっかり忘れていたことばかりで、はじめて読んだ時のように楽しめた。どうしても『贋作桜の森の満開の下』を思い出しながら読んでしまうのは、夢の遊民社等の芝居を見た人の内には避けられない向きもあろう。だから夜長姫は実在する。耳男も。ファンタジーのようで、リアルな話だ。
読了日:03月17日 著者:坂口安吾
はじめての短歌 (河出文庫 ほ 6-3)はじめての短歌 (河出文庫 ほ 6-3)感想
共感を呼ぶにはまず驚きを与えること。共感しそうなことを直接提示するのは逆効果。つまり共感を拒みたければ、共感を得られそうなことを提供すればいい、と。
読了日:03月29日 著者:穂村 弘
星の古記録 (岩波新書 黄版 207)星の古記録 (岩波新書 黄版 207)感想
金星過日の件ではちょっと『砂糖の世界史』を思い出し、シリウスの色の話では『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』を思い出す。中国の史書の記述を見ていると「記録、大事」と思ったり。いろんなものがつながって見える。そんな本だと思った。
読了日:03月30日 著者:斉藤 国治
和歌でない歌和歌でない歌感想
どこで読んだか失念したが、「歌よみに与ふる書」が出るまでは人々は日記や手帳、家計簿の隅にちょこちょこっと単に五七五七七というだけの和歌を書きつけたりしたものだったという話がある(本当かどうかは知らない)。ここに掲載されている歌の中には、そうした日記の端に書きつけてあったかもなあというものもあり、短歌(と敢ていうが)ってそういう感じでいいんじゃないかなあと思ったりするのだった。
読了日:03月31日 著者:中島 敦

読書メーター

Sunday, 01 March 2026

2月の読書メーター

2月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1254
ナイス数:33

ゆきどけ産声翻訳機 Best selection 100 現代川柳アンソロジーゆきどけ産声翻訳機 Best selection 100 現代川柳アンソロジー感想
暮田真名の選ぶ川柳とその鑑賞がおもしろいことはもちろん、川柳というとサラリーマン川柳がすぐに脳裡に浮かぶだろうけど、というそうした川柳とこの本でいう現代川柳に関する葛藤が読み物としてついていて、これがまたおもしろかった。川柳は作れないけれど、読めたら、読み解けたらおもしろいだろうなと思って購入した。
読了日:02月09日 著者:暮田真名
永井陽子歌集♯(シャープ) (短歌研究文庫)永井陽子歌集♯(シャープ) (短歌研究文庫)感想
私性について意識的な歌人ということで読んでみた。短歌や俳句は大抵の場合歌人・俳人自身のことを詠っていると捉えられるけど、そうなんだろうか。そんな私性に関する話題が以前Twitterでも少し取り沙汰されていて、「いやー、自分のことなんて詠まないでしょ」と思ったんだけれど(そして同じような主張をする人もいたけれど)、そこからいくとこの本には思ったよりは歌人自身のことを詠んでいるのではないかという歌が多いように感じた。フラットも読んでみようかな。
読了日:02月09日 著者:永井陽子
楽天生活楽天生活感想
詩人白楽天と白猫ハク・ラクテンの歌が交錯し、白楽天の詩が下の句になりまた短歌になり、いろいろな読み方ができる歌集。白楽天の詩の訳は、武部利男のそれに準じているようにも思う。オマージュというべきか。
読了日:02月13日 著者:紀野 恵
近現代短歌 (河出文庫 ほ 6-7)近現代短歌 (河出文庫 ほ 6-7)感想
歌人別の選集で読んだことがある歌人の場合あまり記憶にない(とほほ)歌が選ばれていたりしておもしろい。知らない歌人の歌もそうなんだろうな。五首選ぶうちの一首はくすっと笑えるような歌を選んだりしていることがあったりするの、好きだなあ。解説で東直子も書いているように、続篇にも期待。
読了日:02月22日 著者:
フラワーズ・カンフーフラワーズ・カンフー感想
小津夜景の著作でポピュラーなのはどちらかというと漢詩の本なのかもしれないと思いつつ、最初の出会いが句集だったので読み返しがちなのかもしれない。不思議な句が多いところが好きなんだな。
読了日:02月24日 著者:小津夜景
The Tipping Point: How Little Things Can Make a Big Difference (English Edition)The Tipping Point: How Little Things Can Make a Big Difference (English Edition)感想
イノヴェータ理論に興味を抱きこの本を読んでみた。提示されている例に興味深いものが多い。何故独立前のアメリカ人はイギリス軍の攻撃に備えることができたのか、何故『セサミストリート』は成功し何故『ブルーズクルー』はその『セサミストリート』を超えることができたのか、ゴアテックスの戦略(というのか)、ヘヴィースモーカになるのは何故か等々。自分にできることはない気がするのは、人の持つ資質・才能によるところが大きい気がするからだが、流行を見てなぜそうなったのかを考えるのは面白いと思う。
読了日:02月25日 著者:Malcolm Gladwell

読書メーター

Tuesday, 03 February 2026

1月の読書メーター

1月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:1491
ナイス数:47

百句燦燦 現代俳諧頌 (講談社文芸文庫 つE 2)百句燦燦 現代俳諧頌 (講談社文芸文庫 つE 2)感想
句会に参加すると他人の句の評をすることになる。その参考にはならないが、個人で手帳につけるのならいいかも、というか、「こんな風に読んでもいいんだ!」とも思う。読めるのならという条件付きで。旧字旧かなとは思えないほど読みやすい。ときに声に出して読みたくなり実際にそうしたほどの名調子だからだろう。そのくせ少しずつしか読めないのはこちらの力量不足だろうなあ。折に触れ読み返したい本。解説が橋本治で、「橋本治と塚本邦雄ってどう繋がってるの?」と思いながら読んだ。著者年表が詳しくておもしろい。
読了日:01月04日 著者:塚本 邦雄
Disruptions: Stories (English Edition)Disruptions: Stories (English Edition)感想
『高校のカフカ、一九五九』の9作を含む全18作の短篇がどれもおもしろい。カフカの短篇ではカフカ以外はみなフルネームで出てくるのにカフカだけ姓のみ。Kってことなんだろうか。またずっと現在形で語られているというのもおもしろい。全体的な印象としては、街全体がどうにかなってしまう話が多い気がする。どうにかなってしまった結果その反動が現れるとか、当局が流行に流されてしまうとか、proとconとが生じる、とか。あと、夏の話が多いんじゃないかな。現在の暑くてやりきれない夏ではなくて、どこか切ない感じの夏。
読了日:01月10日 著者:Steven Millhauser
小笠原鳥類 詩集 『感動のシャーロック・ホームズ』小笠原鳥類 詩集 『感動のシャーロック・ホームズ』感想
実を云うとよくわからなかったものの、読み終わったあとまた読み返した。多分登場人物(人物でないものもあるが)紹介からして詩なんだよね。小笠原鳥類の詩は『GOAT』の第二号ではじめて読んだ。詩というと改行が多くてページの下に余白があるもの、というイメージだったが、この人の詩は全然違う。この詩集にある詩もそうだ。よくわからないからわかりたい、という気持ちで読んだ。今後もそうやって読み返すのだと思う。
読了日:01月11日 著者:小笠原鳥類
鏡花氏の文章鏡花氏の文章感想
一読、「自分に足りないのは泉鏡花だ!」と悟る。中島敦も足りないけれども。
読了日:01月12日 著者:中島 敦
艶書艶書感想
うわ、怖い。読み終わってぞっとする。短い話なのにな、と思うが、短いがゆえかもしれない。
読了日:01月13日 著者:泉 鏡花
恥感想
山本夏彦だったろうか、子供の頃学校の先生に「三木露風には姉がいたか?」と訊かれて「わからない」と答えると、「「十五で姉やは嫁にゆき」と「赤とんぼ」にあるじゃないか」と云われたという。作家は自分のことを作品にすると思いこんでいる人は和子だけではない。作家に限らず映画やドラマで演じている役と俳優との違いがわからない人がたくさんいる。太宰だって誰かのファンだったりしたことがあるだろうし、和子のうち幾許かは作者そのものなのかもしれないと思わないでもない。
読了日:01月13日 著者:太宰 治
歌行灯歌行灯感想
「それで「東海道中膝栗毛」だったのか」とか、「それでなんだか趣味人のような感じだったのか」とか、謎解き話のように読んだ。因果話のようにも感じるところがこの時代の小説だなあ。
読了日:01月14日 著者:泉 鏡花
きりしとほろ上人伝きりしとほろ上人伝感想
歌舞伎では蘇我入鹿や菅原道真の芝居でも登場人物の出立は江戸時代のそれ(と今は乱暴にくくってしまうが)なのはおかしい、という話もあるが、なに、聖書を題材にした西洋画だって画家の生きた時代・場所の風俗をそのまま描いているじゃあないか。それと似た感じがしておもしろい。
読了日:01月15日 著者:芥川 竜之介
砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書 276)砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書 276)感想
子供の時に読んでいたら「歴史を勉強したい!」と思ったに違いない。ただ、日本語がときどき不思議。「人口の三人に一人」とか。人口の三分の一といいたかったのだろうか。あと接続詞の使い方がちょっと独特。
読了日:01月21日 著者:川北 稔
戯作三昧戯作三昧感想
太宰治の「恥」を読み返したのでこちらも。「恥」の戸田もこんなようなことを考えることもあったのかも?」などと思いながら読み返す。読み返していて、山田風太郎の『八犬傳』を思い出し、あちらも読み返したいなと思う。いい本だ。
読了日:01月23日 著者:芥川 竜之介
シン・短歌入門 (NHK短歌)シン・短歌入門 (NHK短歌)感想
著者は結社に入った方がいい派で、理由を読むと納得するのだけれど、難しい気がしている。まず、周りに結社に入っている人がいないというのが大きいかもしれない。つまり周りに短歌や俳句を作る人がいないということだ。ということは入った方がいいのか。むー。初心に帰ろうと思って読み返したが、悩みが増えてしまった。短歌入門としてはとてもよい本ということは変わらないが。
読了日:01月24日 著者:笹 公人
20週俳句入門 (角川ソフィア文庫)20週俳句入門 (角川ソフィア文庫)感想
句暦2年ちょい。いま読むと「そういうことなのか!」と目から鱗が落ちる落ちる。しばらく初心に帰ってこの本の通りに句を作っていこうかと思う。毎週四〜六句程度の名句を覚えよという課題があることにも頷くばかりだ。俳句も短歌もそうだけど、詩って記憶して何気ないときにふっと口をついて出てくるようにならないと身になった感じがしない。耳にしていたように不思議なことも云っているが(炬燵はジジむさくて若者なら暖炉だ、とか、女の人の作る句ならこうだ、とか)、そこは書かれた時代、著者の生きて来た時代の問題なんだろう。
読了日:01月28日 著者:藤田 湘子

読書メーター

Thursday, 01 January 2026

12月の読書メーター

12月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1401
ナイス数:34

土佐日(英文版) ― The Tosa Diary (タトルクラシックス)土佐日(英文版) ― The Tosa Diary (タトルクラシックス)感想
左ページに原文(「男もすなる日記といふものを……」)、右ページに訳文という構成。「そ、そー訳すのか!」とこれが実におもしろい。「馬の餞す」は最初に直訳風の表現があって訳注がついており、以下は「贈り物をした」というような表現になっていたり。訳注からはそこはかとなく翻訳の苦労が垣間見えたりもする。また和歌はほぼ五七五七七の音節になるように訳してあり、さらに下の句には脚韻があって唸る。書店で見つけて「これは!」と思ったもののずっと積ん読状態だった。いまだからおもしろく読めたのかもしれない。
読了日:12月02日 著者:Ki no Tsurayuki,紀 貫之
The Bell Jar (English Edition)The Bell Jar (English Edition)感想
ニューヨークで華やかな生活を送るのかと思ったら。この部分はちょっと映画『バリの恋人』の冒頭部分を思い出しながら読んでいたので、その後の展開が急転直下な印象を受けたけれど、なにしろ医学部生の幼馴染を頼りに(していると主人公は思っていないとは思うが)他人の出産を見学したり遺体を見たりして、それでも大丈夫と確認したいような人だからなあ、と思ったりもする。半年前に買って読み始めた時はピンと来なかったのだが、先月読み始めたら面白くてやめられなくなった。詩も読んでみたい。
読了日:12月07日 著者:Sylvia Plath
松明のあかり: 暗くなっていく時代の寓話松明のあかり: 暗くなっていく時代の寓話感想
詩のようでもあるショートショート(超短編というのかな)集で、どの話にも息苦しさを感じるのは、匂いに関する記述が多いからかもしれない。いずれも鼻を塞ぎたくなるような、しかし塞いでも防げないような、胸の悪くなるような悪臭だ。コロナ禍のときの短編集にも逃げ場のなさのような雰囲気があったけれど、こちらは逃れようと思えば逃れられないわけでもない、でもやはり逃れられない空気を感じる。「なんでこうなってしまったんだろう」と思う時にはもう遅いのだろうな。
読了日:12月10日 著者:バリー・ユアグロー
怖い短歌 (幻冬舎新書)怖い短歌 (幻冬舎新書)感想
短歌初心者というよりは歌集初心者である人間にとって、こういうテーマがあって歌の評価も載っているアンソロジーはとてもありがたい。その一方で、アンソロジーで見つけた歌人の歌集なり歌なりを見つけるのが案に相違して大変であるということも学んだ。怖い短歌は「電圧が高い」歌を作る歌人には少ないという旨のことが書かれていて、「電圧が高い」とはどういう意味だろうかと悩んでいたが、ここに紹介されていない歌人に答えがあるのかもしれない。たとえば俵万智。
読了日:12月14日 著者:倉阪 鬼一郎
AはアセクシュアルのA 「恋愛」から遠く離れてAはアセクシュアルのA 「恋愛」から遠く離れて感想
性的志向の前に「なぜ自分は自分のままだと受け入れられないのだろう」という点が気になった。いくら「自分はこうでしかいられない」と主張しても「そんなことはない」「知らないだけだ」と否定され続けること。否定してくる相手は善意である(少なくとも悪意はない)こと。そうして孤立してしまうせいか、この本でも紹介されているデッカーの『見えない性的指向』では大変細かく性的指向を分類している。おそらく所属するところがほしくなるんだろう。この本は違う。人は一人一人異なる特別な存在。そういうことなんだろうなと思う。
読了日:12月18日 著者:川野 芽生
はじめまして現代川柳はじめまして現代川柳感想
大変おもしろくてつるつる読んでしまった。自分には絶対思いつかないような言葉の並びの作品に、それをきちんと解説した文章。解説というよりは評価だろうか。この解説というか評がなければどう読んでいいかわからない作品もたくさんある。今年文学フリマで2冊ほど買い求めた本が入門書としては最適で、ただ名前しか知らない柳人もおかげで増えた。そうした名前しか知らなかった人たちの作品もたくさん載っていてるところも気に入った。ここから先に進むにはどうしたらいいのか。それはちょっと悩むところではある。
読了日:12月22日 著者:小池正博
オーギー・レンのクリスマス・ストーリーオーギー・レンのクリスマス・ストーリー感想
本当の話なのか作り話なのか、どちらでもいいじゃあないか。以前出勤時にバス停から見える風景を毎日写真に撮っていたことがある。パチンコ屋がなくなって大学ができたりしたけれど、ニューヨークだとそういうことはないのかもしれない。マクベス夫人の死を聞いてマクベスが云うセリフが出てきて、云う方も聞く方もそれとわかるという場面があるけれど、米国では当たり前にあることなのだろうか。学のある人たちなのかなという気もする。去年、柴田元幸の朗読で聞いて読みたかった本。またクリスマスの時期に読み返したい。
読了日:12月24日 著者:ポール オースター,柴田 元幸,タダ ジュン

読書メーター

Monday, 01 December 2025

11月の読書メーター

11月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1136
ナイス数:36

李陵李陵感想
李陵も李徴も隴西の人なんだよなあ、と思いながら読む。『大人読み『山月記』』に、武帝は怒れる皇帝というイメージがあるが、それは唐になって隴西の李氏が天下を握ってからで、李広や李陵の仕打ちへの仕返し、というようなことが書いてあった。そういえばこの小説にも、いまの人はひどいと思うかもしれないけれど当時はこれが普通だった、というような記述があってちょっと唸る。
読了日:11月01日 著者:中島 敦
山月記山月記感想
自分が知るかぎりの話だが中島敦作品の中で一番文章がしまっている感じがする。読んでいて心地よい。こういう文体で書けたらなあと、いま読んでも思う。
読了日:11月01日 著者:中島 敦
Katabasis: 2025’s INSTANT No.1 SUNDAY TIMES best-seller from the author of YELLOWFACE (English Edition)Katabasis: 2025’s INSTANT No.1 SUNDAY TIMES best-seller from the author of YELLOWFACE (English Edition)感想
ケンブリッジ大で魔術を専攻し博士号を狙う主人公が、死んだ指導教官を蘇らせようと地獄へ向かう。単身向かうはずがライヴァルもまた主人公と同じ目的でともに地獄に行く。この二人の関係や地獄での試練がおもしろいことはもちろん、大学での研究生活や、作者はこれが書きたかったのではないだろうかと思われる力関係(ハラスメントとかね)も興味深い。チョークで五芒星を描いて魔術を使ったり、パラドックスを用いて苦境を脱したり、オルフェウスやダンテその他の地獄の話を参考にしていたり。地獄の織姫は怖いし、閻魔大王がちょっと素敵だ。
読了日:11月06日 著者:R.F. Kuang
AIは短歌をどう詠むか (講談社現代新書 2748)AIは短歌をどう詠むか (講談社現代新書 2748)感想
では自分は短歌をどう作っているのか、と考える。この本に書かれている生成AIと大して差はないのではないか。あるとしたら、これも本にある通り、作りたいと思って作っているかどうかであるのかもしれない。あと「こんな短歌を作りたい」という願望があるかないか、か。自作の歌について類想があるかどうかとか、似たような先達の作品がないかどうかを調べられるようになるといいなとは思いつつ、それはいろいろクリアしなければならない問題があるようだ。
読了日:11月16日 著者:浦川 通
現代短歌パスポート2 恐竜の不在号現代短歌パスポート2 恐竜の不在号感想
詩人の作った詩と生成AIの作った詩とを人に読んでもらうと生成AIの作った詩の方が詩っぽいと思われるというような研究結果をどこかで見かけた(間違ってたらごめん)。読み手が詩だと思っているものと現代詩とに乖離があるんだろう。「現代」とつくとそういう感じになるのかもしれない。NHK全国短歌大会の番組で「歌の中にスペースはできれば入れない方がいい」と云っていたけれど、大会応募作もこの本の中の作品もそんなこと全然気にしていない感じがする。必要があるから入れる。恐竜の不在の短歌もそうした作品の一つだ。
読了日:11月17日 著者:岡野大嗣,川野芽生,大森静佳,小島なお,谷川由里子,寺井奈緒美,我妻俊樹,北山あさひ,伊舎堂仁,安田茜
命運―近藤芳美歌集命運―近藤芳美歌集感想
先の戦争の記憶を引きずり、韓国へ招待されては敵国の人間であることを意識しつつ詩でつながったことを詠んだ歌や、哈爾浜や瀋陽、731部隊の跡地などを訪れた際の歌など、全体的にかたく重たい歌、また破調の歌が多い。戦争に行かなかった人の方が戦争について書く、とは柴田錬三郎のことばだが、本人が書く気にならなかっただけなのではという気もしつつ、行かなかったから思うこともたくさんあるのだろうと思った。図書館で借りた本で読み込めなかったのが残念だが、読み込むのにも気力が必要な歌集だと思う。
読了日:11月19日 著者:
シン・短歌入門 (NHK短歌)シン・短歌入門 (NHK短歌)感想
FAQ集のようになっていて、それも初級・中級・上級とわかれている点がわかりやすいように思う。プラス短歌に関するエッセイと短歌の穴空きクイズに公開前に確認すること10点という親切設計。FAQの答えの方も短歌の例が豊富でいい。作者自身の短歌が念力家族だったりウルトラ怪獣を題材にしたものが多かったりするのも好感持てる、個人的に。
読了日:11月29日 著者:笹 公人

読書メーター

Monday, 03 November 2025

10月の読書メーター

10月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:1378
ナイス数:31

方丈記方丈記感想
いま主に米国で「Zuihitsu」の人気が高くなっていて、『方丈記』が特に人気があるということをPoetry Interface主催の「随筆邂逅」というオンラインイヴェントを視聴して知った。それで読み返してみた。Zuihitsuとは詩なのだそうで、『方丈記』は詩ではないもののどことなく詩情が感じられるのは、やはり文章の力なのではないかと思う。最後が和歌で閉じられているところに詩を感じることもあるのかもしれない。三大随筆の一つながら、ほかの二つとは全然趣が違うのも人気の所以なのかなあ、などと思いつつ読んだ。
読了日:10月01日 著者:鴨 長明
近現代俳句 (河出文庫)近現代俳句 (河出文庫)感想
句集や歌集にはとても素敵な装丁の本が多い。そういう本も買ってしまうし、こういう文庫本も買ってしまう。文庫本は持ち歩きやすいし、ふらっと出かけるときに詩集というのはとてもいいものだと思っている。この本も旅の友としていいなと思いながら自宅で読んだ。なかなか句集にお目にかかれない俳人の句もあって、いつか句集に巡り会えたらと願わずにはいられない。口語訳と解説がついていて、「そう鑑賞するのかー」と大変参考になる。著者の句集も読みたい。
読了日:10月02日 著者:
通言総籬・仕懸文庫 (河出文庫 い 18-5)通言総籬・仕懸文庫 (河出文庫 い 18-5)感想
右脳の働き・左脳の働きというものがあると仮定する。物語自体を読むときは右脳が働くが、注釈を読むときは左脳が働いてしまう。そこがなんともはがゆい。くり返し読めば解消されるだろうか。
読了日:10月11日 著者:
波多野爽波の百句波多野爽波の百句感想
ネットの検索結果で出会った爽波の句の数々に惹かれて本書を読んだ。季語と句全体との距離感がよくわからないので参考になったと思う。「多作多捨」は創作についてはだいたいそうなのかな。とはいえ、職場では「多作」はむつかしいもののなんとかなるかもしれないけれど、「多捨」は無理な気がする。
読了日:10月12日 著者:山口昭男
句集 百題稽古句集 百題稽古感想
平安時代末期から鎌倉時代初期の和歌の百首題を三つ用いて題詠した句を編んだもの。ひとつひとつの句に題がついている。句集に雑というのがあるのがおもしろい。ただ、いまの自分にはかなりむつかしかったというのが正直なところ。栞に書かれている内容を踏まえて読み返したい。じっくり読むつもりだったが、この句集の評が読みたくてちょっと焦って読んでしまった。
読了日:10月13日 著者:高山れおな
西東三鬼句集 (芸林21世紀文庫)西東三鬼句集 (芸林21世紀文庫)感想
書店でぱらぱら見たらガツンと来て買った。なんでガツンときたのか、情けないことに読んでもよくわからなかったけれど、解説を見て「諷詠句ではないからかな?」と思った。
全句集も手に入りそうなのが嬉しいが、まずはこの本をよく読むのが先決かな。
読了日:10月17日 著者:西東 三鬼
岡井隆の百首 (百首シリーズ)岡井隆の百首 (百首シリーズ)感想
その時に応じていろんなものを吸収していき最終的にこういう歌を作るようになった、ということが途中経過も含めてわかりやすく編まれている。そして、その途中経過も含めてもっと読みたいと思ってしまう。岡井隆の歌集でも、なかなかそうはいかない現実。探し方が悪い? それはあるかもしれない。
読了日:10月22日 著者:大辻隆弘
大人読み『山月記』大人読み『山月記』感想
『山月記』『名人伝』『弟子』『李陵』の元ネタと推定される中国古典作品の該当部分を解説しつつ、中島敦が参考にした点・創作した点などを解説した本。上記四作品と並行して読むといいと思う。野村萬斎による『山月記』「名人伝』の舞台についてや『山月記』をマンガ化した西村悠里へのインタヴューも掲載されている。だったら川本喜八郎の「不射之射」も取り上げて欲しかったなあ。卒業論文で中島敦を取り上げようという女子学生の「『李陵』はやっぱり恋愛小説なんですよね」という発言がおもしろい。
読了日:10月27日 著者:増子 和男
名人伝名人伝感想
この小説を原作にした川本喜八郎の人形アニメーションがある。なかなか見る機会がないのだが、奥さんの機の下に入る場面とか、紀昌対飛衛の映画『用心棒』を思わせるような場面は思い出しながら読んだ。『大人読み『山月記』』に出てきたので読み返してみた。
読了日:10月27日 著者:中島 敦
文字禍文字禍感想
笑い話だよね、と思っている。もちろん笑い話の裏もある。
読了日:10月27日 著者:中島 敦
弟子弟子感想
過去の感想にも書いてあるとおり、わかりあえないことをわかりあう関係もありうる、という話だと思う。人は(主語デカい)、共感ができないものは受け付けなかったりするけれど、共感できないけれどもおもしろい作品というのはいくらでもあるし、共感できなくてもつきあっていける他人というのも存在するのだろう。『大人読み『山月記』』に出てきたので読み返した。
読了日:10月31日 著者:中島 敦

読書メーター

Wednesday, 01 October 2025

9月の読書メーター

9月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1271
ナイス数:33

塚本邦雄の百首 (百首シリーズ)塚本邦雄の百首 (百首シリーズ)感想
最近の読者の塚本邦雄(作品、だろう)の捉え方はどうも何かがちがって、それは全集を読んでいるからだろうという話に興味を惹かれた。自分もそのひとりだからだ。塚本作品に触れようと全集を読むが、どうものっぺりとしか理解できていない気がする。例えるなら先輩から『ドラゴンボール』を勧められて一気読みし、何がいいのかわからないと云っている若い人のようなものか。連載中だったら毎週、また毎巻次の展開を思い浮かべながら読むのだろうが、一気読みではそうはいかない。塚本邦雄作品もできれば歌集の形で触れられたら、と思った。

読了日:09月07日 著者:林 和清
すごい科学論文 (新潮新書 1084)すごい科学論文 (新潮新書 1084)感想
ものごとの捉え方がとてもポジティヴな人だと思った。AIの進化とか、ちょっと不安を覚えるんじゃないかと思うけど、この本ではそうでもない。なるほど、こういう考え方もあるか、と参考になった。雑誌『俳句四季』で堀田季何が紹介していたので読んでみた。堀田季何は俳句と科学との類似点としてものごとをつぶさに観察し新たな認識/発見を得ることと書いている。この意見も参考にしながら読んだ。いまは雑誌を自由に読める環境にはいないが、『Nature』誌のメールなど、読めるものは読んでみようと思う。
読了日:09月13日 著者:池谷 裕二
決定版 名所で名句 (角川ソフィア文庫)決定版 名所で名句 (角川ソフィア文庫)感想
落語の「道灌」じゃないけれど、「ああ、自分は先人の句を知らない」と思い読み返す。名所の紹介の方に紙幅が割かれているが、名句の鑑賞の仕方も改めて学びなおす。俳句の鑑賞は人それぞれと思うけれど、闇雲に読んでもわからないこともある。この本からは「あ音が多くてどう」とか「う音が多くてこう」という鑑賞の仕方を学んだ。
読了日:09月14日 著者:鷹羽 狩行
人類の午後 (堀田季何第四詩歌集)人類の午後 (堀田季何第四詩歌集)感想
前奏・I・II・Ⅲ・後奏の五章立てで、前奏を読んだところでしばらく続きを読めずにいた。冒頭の「水晶の夜映冩機は碎けたか」と前奏最後の「自爆せし直前仔猫撫でてゐし」が強烈だった。多分自爆するテロリストというのは特別な存在ではない。仔猫がいたらそっと手を伸ばして撫でる、そして仔猫も撫でさせる、そんなどこにでもいるような存在なのだろう。これは読んだ瞬間に情景が見えた例で、高度に圧縮されていて解凍しつつ味わってゆく句もたくさんある。跋を読んで再読したい気分になり読み返した。楽しいばかりではないが好きな句集だ。
読了日:09月20日 著者:堀田 季何
日本語再定義日本語再定義感想
読んでいて「何を云っているのか?」と理解できないことしばしばだったが、「言霊師」を自認する文章を見て「そういうことなのかも?」と思った。といって、「言霊師」とは何かもよくはわからないのだが、「言葉本来の意味を理解し使用する人」そしてそれを以て「世界を変えようとするもの」だろうか。どうやら今は「言霊師」を名乗る人が大勢いるようだが、著者のいう「言霊師」はちょっと違うように思う。「言葉使い師」はどうだったかな。読み返してみるか。
読了日:09月29日 著者:マライ・メントライン
言葉使い師言葉使い師感想
マライ・メントラインのいう「言霊師」が言葉の本質を突いて言葉を使う人のことを指すのだとしたら(仮定)、「言葉使い師」は言葉自体が自由に動けるよう言葉を使う人、だろうか。久しぶりに読み返したところ、どの作品もおもしろく読めた。神林長平作品の登場人物のセリフはちょっと気取っていて気障なところがたまらなく好きだ。どことなく萩尾望都のSF作品にあるような設定がある気がする。
読了日:09月30日 著者:神林長平

読書メーター

Monday, 01 September 2025

8月の読書メーター

8月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1392
ナイス数:48

「書くこと」の哲学 ことばの再履修 (講談社現代新書 2777)「書くこと」の哲学 ことばの再履修 (講談社現代新書 2777)感想
読み終わって、書ける気はしない。ただ、内容は興味を惹かれるものが多かった。人称の話とかね。一人称と二人称については「そうそう」と思ったし、三人称については「なるほどなあ」という感じ。作者=作中の人物と思い込む読者については確か山本夏彦だったかが(違ったかも)こどものころ教師に「三木露風に姉はいたか?」と訊かれて「知らない」と答えると「姉やは十五で嫁に行きという歌詞があるじゃないか」と云われたという話をしていたから、そういう人が増えたわけではないのでは。最近は個人の意見を発信する 機会が増えたからでは?
読了日:08月02日 著者:佐々木 敦
物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために (講談社現代新書 2782)物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために (講談社現代新書 2782)感想
米光一成の『ゲーム作家の全思考』を読んだ時に物語にすることについて注意するようちょろっと書かれた部分があり、気になってこの本を読んだ。読んで思ったのは、物語(化)というよりは、人間の「わかりたい」「たったひとつ真実の答えを知りたい」といった傾向に問題があるのではないかということだ。人は何が本当で何が嘘で何が答えかわからない宙ぶらりんの状態をよしとしない。陰謀論に飛びつく理由も同じだ。世の中は複雑でたったひとつの真実などはなく、でもどうすればいいのか考え続けられるような強さが必要なんだろうけど。難しい。
読了日:08月11日 著者:難波 優輝
ドラえもん短歌 (小学館文庫 ま 17-1)ドラえもん短歌 (小学館文庫 ま 17-1)感想
枡野浩一選ということもあって、読んですっと入ってくる短歌が並んでいる。ブログで短歌を募って、添削などもしていたようで、読み返して「この歌もああした推敲フェイズを経てきたのかなあ」と思ったりもする。選者が違ったら、とか、アンパンマンだったらどうだろう、とか考えたり。『ドラえもん』というとどうしても忘れられないエピソードがあるのだが、そのエピソードを扱った短歌はこの中にはない。自分で作るしか?
読了日:08月12日 著者:
ピュタゴラスの旅ピュタゴラスの旅感想
ここのところ『鬼滅の刃』や『野田版 研辰の討たれ』を見て復讐について考えることが多く、「虐待者たち」もそんな視点から読んでしまう。でもそれはちょっと違うのかも。どこからが本当でどこからが夢(非現実)なのかわからない、そういうところを楽しむ短編なのかもしれないと読み終わって思っている。メタだったり、文明とは何かを考えさせられたり、読後感は充実している。あとがきに「易とは未来を占うものではなく現在直面している問題に対処するもの」という旨のことが書かれている。そういう話ももっと読みたかったなあ。
読了日:08月16日 著者:酒見 賢一
思考ツールとしてのタロット (こどものもうそうブックス)思考ツールとしてのタロット (こどものもうそうブックス)感想
酒見賢一の『ピュタゴラスの旅』のあとがきに「易とは未来を占うものではなく現在直面している問題に対処するもの」という旨のことが書かれていて、「まさにこの本で云ってることじゃん!」と思って読み返す。死神や悪魔、塔のカードが出たからといって悲観することなく、そこから読み取れる視点を持って日々過ごしたり、また一日をふりかえったりするというのはとてもおもしろい。タロットを使ってひとりでもちょっとしたブレインストーミングができる。むしろ他人がいない分ブレインストーミングとしてあらまほしき形になるのかもしれない。
読了日:08月16日 著者:米光一成
現代短歌パスポート1 シュガーしらしら号 (現代短歌パスポート 1)現代短歌パスポート1 シュガーしらしら号 (現代短歌パスポート 1)感想
去年Twitterで「ネット歌枕発掘プロジェクト」が開催されていた時、「歌づくりの参考に」と堀田季何が挙げてくれた本の中に「現代短歌パスポート」があった。その時は見つけられなかったが、やっと読むことができた。上記プロジェクトのおかげで一年間角川の『短歌』を読む機会があった。「現代」短歌を意識するのは年齢縛りがある時とか新人賞受賞作が掲載された時だった。こうして一冊の本にまとまっているのはありがたい。2以降も探して読みたいと思う。自分の感覚だと「現代短歌」は街、かな。それより前の短歌は和風な庭のイメージだ。
読了日:08月17日 著者:榊原紘,伊藤紺,千種創一,柴田葵,堂園昌彦,谷川電話,𠮷田恭大,菊竹胡乃美,宇都宮敦,初谷むい
死者の書死者の書感想
川本喜八郎の命日に飯田市川本喜八郎人形美術館で上映された『死者の書』を見て再読。映画で前面に出てくる執着は、原作ではそれほどでもないというイメージだったのだが、それは郎女にそういう印象がないからだろう。そう見えないだけで郎女の執着というのも相当のものだ。蓮の糸で織る、それもはじめての機織りだというのだから、並々ならぬ根性(という言葉は郎女には似合わないが)だ。映画の時も思ったけれど、家持は自身を「あきらめる人間」と任じている。でもたくさん歌を残したではないか、と思うのだった。
読了日:08月27日 著者:折口 信夫

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Friday, 01 August 2025

7月の読書メーター

7月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1446
ナイス数:26

Artificial Intelligence: A Guide for Thinking Humans (English Edition)Artificial Intelligence: A Guide for Thinking Humans (English Edition)感想
チェスでカスパロフを負かすAIも、チェッカーは指せない。一からルールを覚える必要がある。人間だってそうかもしれないが、すでに持っているチェスのルールの知識をある程度応用する力がある。というのがこの本を読んで自分の理解したことだ。著者は『ゲーデル、エッシャー、バッハ』を読んでダグラス・ホフスタッターに師事したのだとか。2019年に出版されたもので、ここで「AIにはできない」と書かれていることでも現在のChatGPTにならできることもあるようだ。ただ、ネット上にないことはわからないというのは変わらないだろう。
読了日:07月11日 著者:Melanie Mitchell
Ladies andLadies and感想
短歌でもかなり不思議な歌を作る平岡直子の不思議な川柳句集。帯にある「男性社会にチェックインするという手続きを踏まずに使える言葉の置き場がひとつある」というのが気になる。短歌はわざわざ男性社会にチェックインして作っているのか、とか。題名になっている部分のある句については一夫多妻制のようなことを云っているのかと思ったり。実際法的にはそうなっていないけれど、でも事実そんな感じでしょ、不思議だね、ということか。すぐに読めるけど解凍するのはむつかしい。そこが楽しい。
読了日:07月13日 著者:平岡直子
ゲーム作家の全思考ゲーム作家の全思考感想
小説家やマンガ家が歴史ものをかくと次の作品も同じような時代の話になったりすることがある。調査したことを活かせるからということも大きいとは思うが、きっと先の話をかいているときにアイディアが育ったのだろう。この本を読んでそう思った。ゲームを作らなくても企画を考えるような人には向いている本じゃないかな。この本にはゲームもたくさん紹介されていて、どれもおもしろそう。
読了日:07月20日 著者:米光一成
分解 (ちくま文庫)分解 (ちくま文庫)感想
表題作は途中で「えっと、どういうことかな?」と立ち止まることしばし。それがことのほか楽しい。エピクテトスのようになれたらと思いつつ、ピュタゴラスと弟子との関係に中島敦の「弟子」を思い出し、「童貞」は今読むと「これでいいのか……」と時折考え込んでしまう。その他いずれも読みごたえがあり、中短編集とは思えない満足感を得られた。ただし共感を得られるか否かで小説を評価する人にはお勧めしない。もっとたくさん酒見賢一の作品を読みたかったよ。
読了日:07月22日 著者:酒見賢一
「銀河を産んだように」などIIIIII歌集 (短歌研究文庫, 5<新お-1>)「銀河を産んだように」などIIIIII歌集 (短歌研究文庫, 5<新お-1>)感想
字足らずの歌や句には名作が少ないという。この歌集にはところどころ字足らず(だと思うんだけど)の歌が組み込まれていて、そこで立ち止まってしまう。読み返す。なにか違和感がある。でもつまらない歌だとは思わない。だからまた読み返す。この歌人の歌に限らず、字足らずの作品にはそういう効果があるのだけれど、作為は感じられないように思う。図書館で『人類のヴァイオリン』を借りて以来、ずっと手元に欲しいと思っていた。幸運だ。
読了日:07月25日 著者:大滝和子
リリカル・アンドロイド (現代歌人シリーズ29)リリカル・アンドロイド (現代歌人シリーズ29)感想
以前から題名がとても気になっていた。読んでみると「リリカル」ではある気がするけれど「アンドロイド」はどこから? もしかしてアンドロイドが詠んだ歌が並んでいるのだろうか? そんなことを考えながら読んだ。他の方の感想にもあるとおり季節を意識した歌が多く、この歌が詠まれたころの夏はこうだったのかもしれないなどと考える。それくらいこの夏は暑い。
読了日:07月27日 著者:荻原裕幸

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