Friday, 01 December 2017

飯田市川本喜八郎人形美術館 展示替見学 その一

2017年11月27日月曜日、飯田市川本喜八郎人形美術館で、展示替へを見学した。

展示替へを見学できるといふ話は三月に行つたときに聞いた。
十二月十日まで有効の入館手形を購入すると参加できるとのことだつた。
手形は開館十周年を記念して発売されたものだと記憶する。

秋になつて、詳しいお知らせを受け取つた。
見学のほか養生も体験させてもらへるのだといふ。
しばらく悩んで、参加したい旨を連絡した。

当日、参加者は自分も入れて七名だつた。
岡山駅から新幹線を乗り継いで来たといふ人、京都から車で来たといふ人、地元の人、さまざまだつた。

案内は展示替へを企画したといふ美術館の方だつた。
てきぱきと手際よく、説明は明快でわかりやすかつた。
まことにありがたいことだ。

飯田市川本喜八郎人形美術館の入り口は建物の二階にある。
展示室は三階だ。
展示室の前にホワイエがあつて、当日午後の主な作業はまづはホワイエで行はれる模様だつた。
当日朝のやうすは公式サイトに詳しい。

三階にあがるとホワイエがてんやわんやな状況になつてゐる中、飯田のケーブルTVの取材が行はれてゐて、我々は展示室の中に入つた。
展示室のケースは空で、人形の載る台があるくらゐだつた。
各ケースにA4の紙が貼つてある。次回展示の配置図だつた。
配置図には人形の名前とともに、人形の載る台の大きさも記されてゐる。
60×50×20、とかね。おそらくセンチメートル単位だ。
各台の裏にもその台のサイズが書かれてゐる。こちらは600×500×200とかで、おそらくミリメートル単位だ。
配置図はスペースに限りがあるからセンチメートル単位なんだらう。

ケースの清掃のやうすは公式サイトに写真が掲載されてゐる。
展示中は清掃できないといふ話だった。
さうだよなあ、人形がゐるところに入つて行つて掃除はできないよなあ。
水族館の餌付けのダイヴァが入るやうな余裕はないもの。

ケーブルTVの取材がつづいてゐるといふので、先に収蔵庫に行くことになつた。
収蔵庫の扉は重く、見たところ天井や壁は桐のやうで、枠組みは金属のしつかりした造りのやうだつた。
空調管理はしつかりしてゐて、冬は収蔵庫があたたかくて気持ちいいのださう。
中は二階建てで、一階の棚はがらんとした感じだつた。
奥には「死者の書」のものだといふかなり大きなセットが置かれてゐた。
当麻寺のものだといふ大きな屋根や壁があつた。
屋根の瓦はひとつひとつちやんと葺いてあるやうに見える。
かういふのを見ると「死者の書」を見返したくなつちゃふよなー。

二階の棚はかなりぎつしりとつまつてゐた。
棚はスチール製だらう、二段になつてゐて、今回・前回と出番のない人形たちが並んでゐる。
頭にはキルティング製の袋をかぶせてあり、躰は薄葉といふパラフィン紙のやうに薄い紙で覆はれてゐる。
キルティングの袋をかぶつてゐない人形もゐた。蔡夫人とか。
キルティングの袋の下は薄葉なので、顔は見えない。
顔は見えないのになぜどの人形かわかるのかといふと、写真付きの名札を首からさげてゐるからだ。
「三国志百態」の写真を使つてゐるのかな。
曹豹は張飛に殴られたあとなのか床にへたりこんでゐるやうな写真が使はれてゐて、そぞろにあはれを覚える。

十一月三十日からの展示は人形劇については「平家物語」が主なので、収蔵庫には「平家物語」の人形はゐないやうだつた。

さらに奥に行くと、スチール製の引き戸や引き出しのついたキャビネットの上に木製のケースがあつた。
ケースには人形アニメーションの人形がゐた。こちらも薄葉で覆はれてゐるので見えないが、いばら姫や「花折り」の大名の名前が見えた。
キャビネットの前には人形アニメーション用の背景とおぼしき四角いものが置かれてゐたりもした。

キャビネットには人形劇の小道具などが納められてゐた。
長坂坡で趙雲が抱へてゐた阿斗もゐた。
顔立ちがまさに阿斗の赤ん坊の人形で、かなり立派な衣装にくるまれてゐる。思つてゐたより大きい。

小道具はお菓子の空き箱に納められてゐるものもあつた。
貂蝉の名前の書いてある箱もある。
孔明が草蘆でかぶつてゐた巾もあつた。
ぱつと目についたものに「孔明の白羽扇」と書かれたお菓子の箱があつた。すこしはなれたところに「(プリン)」と書いてある。
気になつて訊いてみたけれど、なぜ「(プリン)」なのかはわからず仕舞だつた。
白羽扇は緑の柄のもので、「あつたあつた、この白羽扇」となつかしい気分でいつぱいだ。

その奥には段ボールで作つた莢をさらにエアマットで覆つたものがいくつもあつて、槍など得物をしまふやうになつてゐるとのことだつた。
いまは十一月二六日まで展示されてゐたものが多いので中は空なのだとのこと。

小道具を入れたキャビネットの前には覆ひのかかつた人形が何体か並んでゐた。台座に「NHK」と書いてある。
「三銃士」の人形とのことだつた。
生憎とダルタニアンと三銃士、ロシュフォールとミレディー、そしてたぶんプランシェとケティは出張中なのださうだ。
三十三間堂の千手観音のやうだ。
「三銃士」の人形もケープのやうなものがかぶせられてゐたりキルティングの袋をかぶせられてゐたりした。
今回はルイ十三世やアンヌ王妃、バッキンガム公、コンスタンスとボナシューとを見せてもらへた。
ルイ十三世はもつとそばで見ておくのだつた。

「三銃士」の兵士の人形を持たせてもらへた。
木製とのことで、展示室にある誰でも持つてみることのできる「三国志」の人形とくらべると重たい。
肩当てや脛当てがちよつとくすんで暗いターコイズブルーのやうな兵士で、「三銃士」のどこに出てきたのか記憶がない。護衛隊とは違ふんだよなあ。

収蔵庫にゐる人形を見せてもらへる、といふので、まづは白い衣装の孔明の薄葉を取つてもらふ。
ああ、しかし、カシラはホワイエにあるのだつた。
カシラのあるべき部分は、ゴムのやうなチューブで覆はれてゐた。
白いといひながら、どことなくクリーム色がかつた衣装に見える。
照明で焼けるからー、とか、普段はなかなか白い衣装は見られないんですよねー、とか、見学者はみなさんお詳しい。

ほかに、水鏡先生(カシラだけ)、魏延、あと、宮廷服(といふのだらうか)の周瑜を見せてもらつた。
宮廷服(推定)の周瑜!
ゐたんだねえ。
しかもカシラもついてゐる。
ホワイエには鎧姿の周瑜がゐるのに。
ほかの人形も案外かうなのか知らん。
衣装は替はつてもカシラは髪を結ひなほしたり冠をかけなほしたりしてすげかへてゐるのだと思つてゐたよ。
さういふ人形も多いのだらうけど。

衣装の黄色はだいぶ褪せてゐて往時のきらびやかさには欠けるものの、華やかさは一寸たりとも欠けてゐないのが周瑜である。
この周瑜を展示室で見られる日は来ないのか。
来ないのかもしれないなあ。

棚の脇にはあやつり人形がかけてあつたりもした。どういふ人形なのかはよくわからなかつた。
二階にあるさうした人形のそばにはインドネシアのワヤン人形のパンフレットもかけられてゐて、そのあたりにあるものはどうやらワヤン人形らしかつた。
かういふ寄贈されたのだらう人形もあちらこちらにある収蔵室をあとにして、見学者一行はまたホワイエに戻るのだつた。

つづく。

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Friday, 06 October 2017

飯田市川本喜八郎人形美術館 懐かしのテレビ人形劇展

九月末、飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。
今回は「懐かしのテレビ人形展」について書く。
「懐かしのテレビ人形展」は開館十周年を記念したイヴェントのひとつだ。

昔懐かしい形のテレビから人形たちが抜け出してくるかのやうなポスターがいい。

「懐かしのテレビ人形展」は展示室の奥にあるスタジオで開催されてゐる。
入り口を入ると三方の壁に沿つて人形が並んでゐる。
むかつて左の壁には「ひょっこりひょうたん島」「プルルくん」とそのシナリオ、入り口正面の奥の壁には「連続人形活劇 新・三銃士」、右の壁には「プリンプリン物語」、「パペットエンターテインメント シャーロックホームズ」の人形と小道具が展示されてゐる。

「ひょっこりひょうたん島」のケースは二つあつて、最初のケースにトラヒゲ、ドン・ガバチョ、ダンディーが、次のケースにはサンデー先生と博士がゐる。
人形は番組がリメイクされたときのものだらう。おめかししたかのやうにきれいだ。
最初にぱつとトラヒゲが目に入ってきて、それだけでなんだか楽しい気分になつてくるところにドン・ガバチョといふ並びがいい。
不思議だよねえ。
なんでこれだけで気分が盛り上がるかねえ。
トラヒゲ、ドン・ガバチョとくると、ダンディーがとてもダンディーに見える。
サンデー先生と博士とは遠足組の代表といつたところか。ほかの子たちも見たくなつてくるなあ。

「プルルくん」で展示されてゐるのは、プルルくんとプルルくんのママ(だらう)、それとトラくんの三体だ。
Web検索をかけてもこれといつた情報が集まつてこない番組で、残念ながら見たことがない。
原作は手塚治虫とのことだ。
1970年代に放映されたものとのことで、人形も古びてきてゐる。
今回の展示つて貴重なんぢやないか知らん。
人形のケースの隣には数冊のシナリオをおさめたケースもある。シナリオを読むことができれば、どんな内容だつたかはわかるだらう。

三銃士の人形はアトス、アラミス、ダルタニアン、ポルトス、ロシュフォールの五人で、ケースには入つてゐない。
ダルタニアンと三銃士とは前回の展示とほぼおなじポージング
ロシュフォールはポルトスの右側ややはなれたところに四人に半ば背を向けて立つてゐる。さげてはゐるものの、剣は四人の方に向いてゐる。
三銃士とプリンプリン、ホームズの展示は写真撮影が許可されてゐる。
写真が撮れるとつひ目で見ることがおろそかになつちやふんだよなあ。
いかんいかん。

「プリンプリン物語」のケースは二つで、最初のケースにプリンプリンとモンキー、次のケースにオサゲ、ボンボン、カセイジンが入つてゐる。

プリンプリン、懐かしいよねえ。
録画が見つかつたとのことで、現在衛星放送で再放送中だ。

プリンプリンは両腕をやや広げて「ようこそ」といひたげなやうすで立つてゐる。
まつげが長い。
モンキーはそのややうしろでやはり両手を広げて立つてゐる。

オサゲも手を広げてゐて、ボンボンも同様で右手をちよつと掲げた感じ。カセイジンは腕を組んで立つてゐて如何にもカセイジンだが、ふしぎと拒絶されてゐるやうな感じはしなかつた。
三人ともプリンプリンとおなじやうに「Welcome!」と云つてくれてゐるやうに見えた。

できればルチ将軍にも会ひたかつたなあ。

ホームズのケースは二つで、ひとつにはホームズとハドソンさん、ワトソンがゐる。もうひとつのケースには小道具が展示されてゐる。

ホームズは目の動くカシラで、右の方を見てゐる。右手を顎にあて、左手は右肘のあたりにきてゐる。なにか気になるものを見つけて考へてゐるといつたやうすだ。
人形劇のときは、目の閉じるカシラのときにまるで目が動いてゐるやうに見えるのが好きだつたなあ。
ハドソン夫人は右手を前に出し左手を後ろに引いた形で、ちよつと踊りながら歌つてゐるやうなやうすで立つてゐる。
ワトソンは左手をかかげ、右手はベルトのあたりにある。「やあ」と云はれてゐる気がする。

小道具には誰の持ち物かとかどの場面に使はれてゐたものかといつた見出しがついてゐる。全部で数十点はあるのぢやあるまいか。
「消えたボーイフレンドの冒険」に出てきた「A Tale of Two Cities」なんかが並んでゐて、ちよつとうれしい。

「懐かしの」と謳つてゐるといふことは、あるていど年のいつた大人向けの展示なのだらうか。
ホームズはわりと最近の作品だし、プリンプリンは現在再放送中なので、さうとばかりもいへないだらうが。

欲を云ふなら、「プルルくん」とあはせておなじ手塚治虫原作の「風の子ケーン」を並べるとか、さうした展示も見てみたかつたやうに思ふ。

三国志から幻の大作へはこちら
蓮如とその母はこちら

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Thursday, 05 October 2017

飯田市川本喜八郎人形美術館 蓮如とその母 2017

九月末、飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。
今回は人形アニメーション「蓮如とその母」の展示について書く。

今年は飯田市川本喜八郎人形美術館開館十周年にあたり、その一環として九月三十日に飯田人形劇場で映画「蓮如とその母」が上映された。
あはせて映画に出演してゐる人形も展示され、現在でも見ることができる。

展示内容は、ギャラリー奥から蓮如の母・おれんの若き日の姿とその弟・長右衛門とのケース、蓮如の妻・蓮祐と蓮如とのケース、法住のケース、東条坊、叡山の高僧、おれん、おけふ、おてつのケースである。
人形のポージングなどは以前の展示のときとそれほど変はりはない。

美術館には映画上映の前日に行つた。
気分が昂揚した。
明日は、ここにゐる人形たちの動くところが見られるのだと思ふと、期待が高まつてしまつて思はずケースのまはりを行つたり来たりしてしまつた。

「蓮如とその母」は、劇場公開されなかつたと聞いてゐる。
将軍暗殺や応仁の乱、大凶作による飢餓等で乱れた室町時代にあつて叡山からの弾圧を受ける本願寺を描く一方で、蓮如の母おれんの出自から同和問題をも取り扱つた深刻かつ重厚な内容の映画でありながら、エンターテインメントな部分もあつて、決して重苦しいだけの作品ではない。
見てゐて「次はどうなる、その先は?」と身を乗り出したくなるやうな映画だ。
上映機会が少ないことが惜しまれてならない。

映画の話はまたの機会にゆづるとして、展示でひとつだけ気になることがあつた。
それは、おけふの衣装が映画のときとは違ふことだ。

「蓮如とその母」には岸田今日子のそつくり人形であるおけふと黒柳徹子のそつくり人形であるおてつとが登場する。
声もそれぞれのモデルがあててゐる。
展示で見ると、ふたりなかよくつれだつて蓮如の講話を聞きに行かうといふところなのだらう、見てゐて思はずにつこりしてしまふ。
おてつはトレードマークのたまねぎ頭が特徴だ。衣装は朱色がかつた橙色の地に黒く細かいダイヤ柄が散つてゐて、足下の鼻緒の赤いのが目を引く。
おけふの衣装は灰色がかつた桃色の生地と灰色の生地との胴抜のやうな衣装だ。
どちらの衣装もそれぞれの個性をよくあらはしてゐる。

今回映画を見てゐて、この胴抜のやうな衣装が出てきたときに「あれ、おけふさんはおてつさんと一緒に出てくるんぢやなかつたつけか」と思つた。
見てゐると、どうもおけふさんではないやうだ。

映画のおけふさんは映画がさらに進んで、蓮如の講話に一緒に行かうとおてつさんが誘ひに来る場面で登場する。
見ると、衣装はちよつと落ち着いた色合ひの桃色で、濃い茶か黒の草むらのやうな細かい模様が点々とあるものだつた。
かういふこともあるものなのだなあ。

いつもなら、展示されてゐる人形を見たあとその人形が登場する人形アニメーションを見て、その後にまた展示室に戻つてきてさつきまで動いてゐた人形を見る。
今回は、美術館と劇場とのあひだの行き来を厭うてしまつて、映画鑑賞後に人形を見ることがかなはなかつた。
やつぱり今回展示されてゐるうちにもう一度行きたいかなあ……。

三国志から幻の大作へについてはこちら

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Wednesday, 04 October 2017

飯田市川本喜八郎人形美術館 三国志から幻の大作へ

九月末、飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。

九月三十日に飯田人形劇場で映画「蓮如とその母」を上映するといふので見に行つた。
その一環で、美術館にも立ち寄つた。

飯田市川本喜八郎人形美術館では開館十周年を記念してさまざまな催しが行はれてゐる。
現在常設点として展示室に「人形劇三国志」の人形が展示されてゐる。
展示室の奥には「三国志から幻の大作へ 人形が語る歴史物語」と題して、「項羽と劉邦」の人形七体と「平家物語」の人形二体が展示されている。
また、映画の上映にあわせて「蓮如とその母」に登場する人形十体の展示もある。

スタジオには「懐かしのテレビ人形展」と題して、「ひょっこりひょうたん島」「プルルくん」「新・三銃士」「プリンプリン物語」「シャーロック・ホームズ」の人形たちが並んでゐる。

盛りだくさんだ。

今回は「三国志から幻の大作へ」から「項羽と劉邦」の人形について書く。
「項羽と劉邦」は、今年の三月から四月にかけて、この美術館のスタジオに展示されてゐた。
そのときのことはここにも書いた(1 2 3)。

すこし前まで「源氏と木曽」の展示のあつたケースに「項羽と劉邦」から七体の人形が飾られてゐる。
人形は、三月四月の展示のときにゐた人形とおなじである。
むかつて左側から范増、項羽、虞美人、始皇帝、呂后、劉邦、韓信の順で並んでゐる。
項羽と劉邦とは後方のやや高いところにゐる。

ポージングも春に見たときとほぼおなじだ。
ただ、春とは視点の高さが変はるので、あのときとはまた違つた趣がある。
たとへば、劉邦は春に見たときはとても思慮深げで慎重さうなやうすに見えた。今回は、こちらを見下ろしてゐるからか、はたまた躰が若干右に傾いてゐるからか、どことなく食へない親父といふ風に見える。劉邦らしい。

春よりも明るいところで見られるので、細部がよく見える。

そんなわけで気になつたのが范増の衣装だ。
普段から着てゐるものなのだらうな。
そんな印象を受けた。
どことなくやはらかい感じがするからだと思ふ。
何度も身につけて着慣れたものといつた様子だ。

隣にゐる虞美人の衣装もやはらかい線を描いてゐるけれど、こちらはもとの布地がやはらかいからさうなつてゐる風に見える。

項羽や劉邦、韓信は鎧姿なので范増ほど衣装の布地の見えるわけではないが、鎧からのぞく裾などはいづれもぱりっとしてゐる。

時代劇のとくに映画を見ると感心することに、登場人物の衣装に着古した感じが出ていることがある。
撮影用に作つた衣装は、最初はできたての新品だらう。
それをどうにかして着慣れた感じを出して、それから撮影をするのだらう。

范増の衣装にもなにかおなじやうな工夫がなされてゐるのではあるまいか。

七体の人形のゐるケースの脇には、カシラだけのケースがある。
これも前回とほぼ同じで、虞美人と韓信、殷通がゐないくらゐかな。
荊軻のカシラは春と同様眉毛や髭などに鉛筆であたりを入れた状態で展示されてゐる。
前回より後ろを見づらいので、三つ編みなどに編んだ髪の毛がちよつとしか見えない。
展示は三段で、上の段の左から黥布・李斯・趙高・章邯・懐王・陳平。
真ん中の段が、蒙恬・項梁・荊軻・項伯・扶蘇。
下の段は、陳勝・蒯通・蕭何・張良・酈食其・夏侯嬰。

「項羽と劉邦」の人形は次はいつ見られるのか不明だ。
さう思ふともう一度くらゐは見に行きたいものだが、さて。

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Friday, 28 July 2017

人形劇三国志通信

「人形劇三国志通信」といふ冊子がある。

先日、神戸は六間道商店街にあるなごみサロンに立ち寄つた。
ありがたいことに Cha-ngokushi 店長のあきよんさんがなにくれとなく話しかけてくだすつて、話題は「人形劇三国志」のことになつた。
「こんなものをいただいたんですよ」と出してきてくだすつたのが「人形劇三国志通信」である。

同人活動といふと、かつては同好の士を募つて同好会やファンクラブのやうなものを作り冊子などを作成するものだつた。
冊子は肉筆のまままとめて回覧したり、印刷所に頼んだりコピーしたりして会員に配つたり外部に売つたりもした。

「人形劇三国志通信」もさうした同人活動のひとつで、人形劇「三国志」が放映されてゐた当時私設ファンクラブを作り、番組の感想などを書いたものをまとめた冊子であつた。
冊子のレイアウトや各会員の書いたものの清書、コピーと製本はすべて会長さんがやつてゐた。
放映当時のことだからすべて手書きである。
会員からは感想だけでなく、イラストなども投稿されてゐた。
会長さんはこれを毎月発行してゐたわけだ。
まことに恐れ入る。

「人形劇三国志通信」は1983年の7,8月合同号にはじまり、1984年3月号で終はる。のちに総集号を出すつもりでゐたらしいが、それはないやうだ。7,8月合同号は会長さんひとりで書いたものと思はれる。
内容は、その月に放映された人形劇「三国志」のあらすじと感想とがメインで、ほかに登場人物に関する考察や三国志に関する書籍などの紹介、会員からの手紙などが掲載されてゐる。
番組の感想とか、読み出すととまらない。

また、「関羽の死」の回の撮影見学記や新宿高野で開催された人形展の感想を掲載した号もある。
「関羽の死」の撮影見学記は実に読み応へがある。
ざつと目を通しただけだが、川本喜八郎から聞いた話として「郭嘉は孔明のなりそこない」だとか「「関羽の死」で一瞬だけ使つてもらふつもりでゐる関羽のカシラは「決死の千里行」でも用ゐたもの」などといふことが書いてある。
郭嘉、孔明のなりそこないだつたのかー。
孔明を作るのに川本喜八郎が大変苦労したといふ話はつとに耳にする。四度作りなほしたとかね。
そのうちのどれかが郭嘉なのだらう。

ほかにも、操演の方々は人形を遣つてゐないときはこどもを抱くやうに人形を抱いてゐる、とくに曹操を遣つてゐる方、みたやうなことが書いてあつて、さういへば船塚洋子さん(のことだらう、おそらく)は人形を前に抱へるときにそんなやうな持ち方をしてゐるなあ、などと思ふのだつた。なんだか人形が可愛く見えるんだよね。

「人形劇三国志通信」は本といふ形にはなつてゐないし、会員に配つてゐただけだらうからあまり外にも出てゐないだらう。
当時はかういふ冊子がほかにも作られてゐたりしたのかなあ。
ほかにもあるなら是非拝見したいものだ。
「人形劇三国志通信」もできることならきちんと読んでみたい。

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Friday, 21 July 2017

「人形劇三国志」の音入れ

人形劇三国志」がNHKで放映されてゐたころ、何度かNHK放送センターに行つた。
いまだとスタジオパークといふのかな。
入口にガラスのケースがあつて人形が展示されてゐた。毎月人形を入れ替へてゐたやうに思ふ。
「関羽の死」の撮影を見学しに行つた話は何度か書いてゐる。
ほかに「音入れ」といふのがあつた。
各スタジオに使用予定が書き込まれてゐて、とあるスタジオに「人形劇三国志 音入れ」といふ予定が入つてゐた。日付と時刻はもう覚えてゐない。

「音入れ」つてなにをするのだらう。
「音入れ」といふくらゐだから音を入れるのだらう。
気になるなー。

といふわけで、ある日、友人たちとつれだつて見に行つた。
スタジオと見学者のゐる場所とのあひだはガラスで仕切られてゐる。
こちらはすこし見下ろすやうな形で中を覗くことになる。
中には指揮者とおぼしき人と管弦楽団の人々とかゐた。
「音入れ」とはすなはちBGMの録音のことだつたのだ。
BGMなので曲は途切れ途切れになる。
おなじ曲をことなる編曲で何度も演奏したりもする。
指揮者のイメージどほりにならないときもおなじ曲を何度もくりかへす。
さういふやうすをぼんやりと聞いたのだつた。
もう忘れてしまつたけれど、のちに番組を見ながら「あ、これはあの「音入れ」のときの回なんだな」とわかつたものだつた。

いま見返してみると「人形劇三国志」のBGMは実に多彩だ。
主な登場人物にはそれぞれテーマ曲があつて、ひとつひとつにさまざまなアレンジがある。
また、ある登場人物のテーマ曲から別の人物のテーマ曲へと切り替はるときのトランジション部も場面によつて違ふやうに聞こえるし、ときにはまつたくトランジション部なしにいきなり曲が変はることもある。
曹操のテーマ曲は長調のせゐか、玄徳・関羽など短調のテーマ曲と切り替はるときは大抵なにがしかトランジション部があるのだが、なにかのときにトランジション部なしにいきなり切り替はつたときがあつて、「おおっ」と思つた。
細かいよねえ。
この細かさがまたたまらないんだよねえ。

もつと音入れの見学に行けてゐたらなぁ、といまになつて思ふ。
でもまあ、無理だねえ。
渋谷にしよつ中行くなんて、できなかつたもの。
それでも可能な範囲でよく行つてゐたなあ、と、たまにNHK放映センターのそばをとほると思ふ,のだつた。

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Thursday, 29 June 2017

人形劇三国志DVD鑑賞会

六月二十五日(日)、パラセリゾーツ横浜関内店で開催された人形劇三国志DVD鑑賞会に参加した。

主催者三名と人形操演の船塚洋子さん、それに参加者五名の計九名があつまつた。
鑑賞する回は二つ、第十七回「決死の千里行」と第三十三回「赤壁の戦い」だつた。

パセラリゾーツはカラオケのお店で、DVD&ブルーレイ鑑賞パックといふサーヴィスを提供してゐる。
今回の上映会はこの鑑賞パックを利用したものだつた。

初対面同士も多い中、まづは自己紹介を、といふところで、いきなり運ばれてきたのがハニトーことハニートーストである。

Honey Toasts

鑑賞パックにはハニトーが二つとソフトドリンク飲み放題がついてくる。
すばらしい手際でトーストを切り分けてくださつた方々、ありがたうございます。

無事ハニトーも切り分けて、ひととほり自己紹介もして、いざDVD鑑賞を、といふところで機材に不具合が生じ、主催者の方とお店の方が大奮闘してくだすつて、なんとか上映にこぎつけることができた。

その間、船塚さんが持つてきてくだすつた「三国志百態」や「人形歴史スペクタクル 平家物語」の脚本、香盤表などを拝見する。
脚本や香盤表自体も興味深く、また書き込まれたメモもおもしろい。
脚本には要所要所に位置取りの図が描かれてゐた。
香盤表は、「ひとりでこんなにたくさん演じるのか!」と驚くやら感動するやら、だ。
昨日、NHK-BSで「プリンプリン物語」に関する番組を放映してゐたらしく、ひとりの声優がいくつも役を演じてゐたことをTwitterにつぶやいてゐる人々がゐた。
人形操演もすごいぞー。
セリフはなくても登場はしないといけない人物がゐる分、人形操演の方がずつと数は多からう。

DVD上映中も、船塚さんからいろいろとお話をうかがうことができた。
主催者の方がTwitterでつぶやいてらしたやうに、「決死の千里行」の沂水関を守る卞喜を遣つてゐたのは張飛を遣つてゐたのとおなじ方、とかね。
赤兎をたたくときのやうすが張飛とそつくりなのだ。
さうやつて見ていくとどなたがどの人形を遣つてゐるのか、わかるやうになつたりするのかもしれない。

この回はかなり笑いを誘う場面も多く、見ているみんなで笑いながら見るのも楽しかつたなぁ。

「決死の千里行」と「赤壁の戦い」との合間に、船塚さんの持つてきてくだすつた「平家物語」のDVDに入つてゐる撮影のやうすも見ることができた。
おそらくNHKで放映したものと思はれる。
「平家物語」のDVDも買はう。

「赤壁の戦い」になると見入る時間が増える。
上映回の選択もすばらしかつたと思ふ。

最後に船塚さんへの質問コーナーがあつて、上映会はお開きといふことになつた。
三時間、あつといふ間でしたね。

このあと鈴本演芸場に行き、「ウルトラセブン落語会」で柳家喬太郎が「セブン段目」といふ落語の「七段目」をアレンジした噺を聞いた。
大店の若旦那がウルトラセブンが好きで好きで、今日も仲間とDVD上映会をしてきた、といふ。
「みんなでわいわい見るのが楽しいんだよなあ」といふセリフに「そのとほりだよなー」と、つひさつきまでの楽しい時間を思ひ出すことだつた。

主催者の方々、ご参加のみなさま、そして船塚洋子さんにはなんと御礼申し上げたものやらわからない。
ありがたうございます。

次回は九月二日に開催する予定ださうである。
ご興味のある向きには是非参加を検討されたい。

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Thursday, 15 June 2017

飯田市川本喜八郎人形美術館 新・三銃士 その2

週末に飯田市川本喜八郎人形美術館に行つて来た。
六月二十五日まで展示されてゐる「連続人形活劇 新・三銃士(以下「新・三銃士」)」を見るのが目的だ。

昨日はホワイエに展示されてゐる帆船や鳥・馬・蜘蛛と噴水広場について書いた。
今日はスタジオの中について書く。

スタジオの中は、手前両側の壁際に小道具を展示したケースがひとつづつある。
入り口を入つて真正面には大きなセットを背景にして「新・三銃士」の人形たちが飾られてゐる。
迫力ある展示だ。

左のケースには、コンスタンスの裁縫道具や劇中に登場した手紙、本などが置かれてゐる。
奥には細長い建物も展示されてゐる。
コンスタンスの裁縫道具は、DMCのスペシャルダンテルが四巻ほど入つてゐた。
なるほど、スペシャルダンテルは人形サイズだな。
パステルカラーのものが三巻で、いづれも未使用。白い一巻は使用中でかぎ針編みのドイリーを編んでゐる最中といつたやうすだつた。
細かいことを云ふと、ドイリーと一緒についてゐるかぎ針はそのドイリーを編むには太すぎる。
誰かがもつと細い針で編んだのかなあ。

手紙は、細かい手書きの文字でフランス語つぽい。
ちよつと茶色がかつた紙にセピア色のやうなインキで書かれてゐる。
リシュリューの似顔絵もあつた。懐かしいなあ。

銃士たちの使つてゐるマグカップも飾られてゐる。
奥の左からアラミス用、アトス用、ポルトス用、手前が左がダルタニアン用。その横にプランシェの食べかけのりんごがある。
それぞれ趣が違つて各人にあつたデザイン、といひたいところだが、ポルトスのはちよつと小さいんぢやないかな。
あとダルタニアンのカップには中に金具が仕込まれてゐて、ここに布かなんかをひつかけて中身が入つてゐるやうに見せてゐたのではないかと思はれる。

ほかにも酒場シェークルで使はれてゐたコインなどの小道具やちよつとした装身具のやうなのも飾られてゐて、こもの好きにはたまらないんぢやないか。
本もミニチュアのやうな感じで、豆本好きとおぼしきお客さんが食ひ入るやうに見入つてゐた。

右のケースにはルイ十三世やアンヌ王妃、リシュリューやロシュフォール、ミレディーの持ち物が展示されてゐる。
ロシュフォールの短銃とそのホルスターがなかなかイカしてゐる。財布とおぼしきちいさく黒いポシェットもいい。
アンヌ王妃の持ち物の中にはダイヤの首飾りもある。人形の身につけるものだから当然なのだが、こんなに小さいのか、とちよつと驚く。

「人形劇三国志」や「人形歴史スペクタクル 平家物語」の展示には小道具だけを feature したものはあまりないやうに思ふ。
自分がみた中では、渋谷ヒカリエにある川本喜八郎人形ギャラリーの外のケースに「平家物語」で使はれた琵琶や扇子などが飾られてゐたことがあつたくらゐかなあ。
三国志や平家物語の展示の場合、登場人物が小道具を持つてゐることが多いやうに思ふ。
孔明が白羽扇を持つてゐたり、関羽が青竜刀、張飛が蛇矛、呂布が方天戟を持つてゐたり、とかね。
楽器も、経正が青山の琵琶を、敦盛が小枝の笛を持つてゐたり。
三国志や平家物語の人形は手でものを持てるやうになつてゐるからだらうか。
得物だけ並べた展示といふのも見てみたいやうな気もする一方で、人形が持つてゐるのも絵になるんだよなあとも思ふ。

スタジオの主たる展示は、左からバッキンガム公爵、アンヌ王妃、ルイ十三世、ボナシュー、コンスタンス。後方にアラミス、アトス、ポルトス、前方にダルタニアン、プランシェ。ロシュフォールにケティ、ミレディと護衛隊三名の総勢十四名と二匹だ。あ、護衛隊士の奥に馬がゐるから二匹と一頭かな。
トレヴィルとリシュリューとはゐない。至極残念である。
スタジオ内は人形やセットを保護するためかかなり照明が抑へられてゐて暗い。

バッキンガム公爵はアンヌ王妃の手をとつて、ふたりで踊らうかといつた風情だ。
王妃のとなりにルイ十三世がゐて、ひとりで踊つてゐるやうな態なのだが、王妃に語りかけてゐるかのやうな雰囲気もあり、見てゐてちよつとつらい。

ボナシューとコンスタンスとは銃士たちを見てゐるのかなあ。
ボナシューはコンスタンスを見てゐるやうにも見える。
コンスタンスの視線の先にゐるのはアラミスかな、といふ気もする。
かうして見るとボナシューの顔はかなり特異だ。
デフォルメされてゐるのに妙にリアルな感じがする。
顔の皺や唇の感じ、かなあ。
コンスタンスはちいさくて可憐に見える。
作中の気の強いやうすは影を潜めてゐるやうだ。

アラミスはまつすぐ、アトスは膝を曲げて足を広げた臨戦態勢、ポルトスはちよつと半身の気取つたやうすで剣をかまへて立つてゐる。
それぞれその人物らしいやうすだ。
その三人の手前のダルタニアンもアトスと似たやうな体勢で剣をかまへてゐる。
かうして見ると、主人公顔だよなあ、ダルタニアン。
とても余裕のかまへに見える。
その横にゐるプランシェも仲間のつもりなのかな。とても可愛い。

ロシュフォールは銃士たちの方を向いて立つてゐる。右手に剣を持つて銃士たちの方に向けてゐる。
スタジオが暗い中、白い顔に黒装束で顔に照明があたつてゐるのでロシュフォールの写真はひどく撮りづらかつた。顔が白くとんでしまふのだ。
かうして見ると、デカいし、黒いし、腕が妙に長いし、ひどくおそろしい存在に見える。
ちよつとエヴァンゲリオン入つてるよなあ、ロシュフォール。
腕の長さなら玄徳に負けないぞ。

ロシュフォールの手前にケティがゐて、プランシェをねらつてゐるのかといつたやうす。

その背後にミレディーが控へてゐる。
「わたしはミレディー ミレディー ミレディー 世界で一番いい女」などと「プリンプリン物語」のヘドロの歌を思はず口ずさんでしまふくらゐいい女だ。
「好きな色は赤と黒」かどうかは知らないが、血の色と罪の色といふのはミレディーにもふさはしい。
三銃士の人形は樹脂でできてゐて、人形の性格にあつた木目を描いてゐるのださうだが、木目の見えない髪の毛なんかも木製のやうに見えるんだよなあ。ミレディーの髪の毛もまさにさう。

ほかに美術館の方にうかがつた話だと、人形には球体関節を使用してゐて、手首や肘の部分などはわざと隠さないやうにしてゐるのだといふ。
人形といふことを明確にすることで、視聴者が感情移入しやすくなるといふ効果をねらつてゐるのだとか。
また、唯一木で作つた人形があつて、それは三谷幸喜をモデルにしたオレイリーなのだとか。
木で作ると湿気や温度などで大きさが変はつたりするが、一度しか登場しないオレイリーならいいだらうといふので作つたのだといふ。

「新・三銃士」にしても「パペットエンターテインメント シャーロック・ホームズ」にしても、話の最後がグタグダで、「それぢやあ三銃士ぢやないだらうよ」とか「モリアーティ教頭をおとしめると相対的にホームズもたいしたことのない存在になつちやふんだけどなー」とか、いろいろ納得のいかないところが多い。
でも、それは人形のせゐではない。
人形に罪はない。

シャーロック・ホームズの人形の行方は知らないが、三銃士の面々とはかうしてたまに飯田で会へる。
機会があつたらまた会ひに行きたいものだ。

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Wednesday, 14 June 2017

飯田市川本喜八郎人形美術館 新・三銃士 その1

週末に飯田市川本喜八郎人形美術館に行つて来た。
今回の目当ては「連続人形活劇 新・三銃士(以下「新・三銃士」)」の展示である。
六月二十五日まで展示されてゐる。

2009年から2010年にかけて放映された「新・三銃士」の人形は飯田にある。
寄贈されたのだといふ。
人形だけでなく、セットなども一緒なのださうな。
過去にも何度か飯田市川本喜八郎人形美術館で展示されたことがあつた。
残念ながら都合が合はずに見ることがかなはなかつた。
前回の范増ぢやないけれど、「やつと会へたね」といつたところだ。

「新・三銃士」の展示部分は写真撮影可能だつた。
「パペット・エンターテインメント シャーロック・ホームズ」の展示を横浜人形の家に見に行つたときも撮影OKだつたな。NHK文化祭のときもか。
写真撮影ができるのはとてもうれしいのだが、つひ写真を撮るのに一生懸命になつてしまつて、自分の目で見ることがおろそかになりがちだ。
今回もさうだつた。
スタジオ内が暗い上に白い顔にライトのあたつてゐる黒装束のロシュフォールが撮りづらくてなあ。顔の部分が白くとんでしまひがちで。
かういふときは写真はあきらめるが吉とわかつてゐても未練がましく何枚も撮つてしまふ。

「新・三銃士」は展示室の奥のスタジオに展示されてゐる。
四月までは「項羽と劉邦」が展示されてゐたところだ。
また、ホワイエにもいろいろと展示されてゐる。
ホワイエにケースが四つあつて、手前のケースには帆船、次のケースにはトレヴィルのところにゐた鶏とリシュリューのところにゐた蜘蛛、その次のケースにはラロシェルにゐたカラスや町の外にゐたセキレイ、カモ、奥のケースには銃士隊の馬が飾られてゐる。
そしてホワイエのつきあたりには噴水広場のセットが組まれてゐる。

帆船は撮影用の小さいサイズのものだ。
とても趣がある。
鳥や蜘蛛、小道具があるのも「新・三銃士」の展示の特徴だ。
「新・三銃士」は人形の皮膚の表面に木目を描いてゐて、木で作つたやうに見える。
鳥や馬も木でできてゐるかのやうに加工されてゐる。
しかも鳥は可愛いものが多い。
噴水広場のセットには石造りの建物もあつて、そこの窓にハトがとまつてゐるのがまた念入りで可愛い。丸つこいハトでね。エサが豊富なんだらうな。
蜘蛛だけはちよつと不気味な感じだ。真つ赤でね。
馬は精悍さうだ。展示室内にゐる赤兎や白竜、張飛や義経、義仲の乗つてゐる馬と比べて見るのもおもしろい。

スタジオの中は、手前両側の壁際にケースがひとつづつある。どちらにも小道具が飾られてゐる。
スタジオを入ると、真正面に大きなセットを背景にして「新・三銃士」の人形たちが飾られてゐる。
左からバッキンガム公爵、アンヌ王妃、ルイ十三世、ボナシュー、コンスタンス。後方にアラミス、アトス、ポルトス、前方にダルタニアン、プランシェ。ロシュフォールにケティ、ミレディと護衛隊三名といつた顔ぶれだ。
トレヴィルとリシュリューがゐないのがとてもさみしいが、仕方がない。
スタジオ内は人形やセットを保護するためかかなり照明が抑へられてゐる。

個々の小道具や人形についてはまた次回。

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Friday, 28 April 2017

飯田市川本喜八郎人形美術館 2017 ギャラリー奥・平家・特異なキャラクター

三月から四月にかけて飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。
二月末に展示替へがあつて、その展示内容を見に行つた。

前回は「源氏と木曽」のケースについて書いた。
今回は「ギャラリー奥」「平家」「特異なキャラクター」のケースについて書く。

現在「源氏と木曽」を展示してゐるケースの前には、ちいさなケースが四つほど並べられてゐて、人形アニメーションの人形が展示されてゐることが多い。
今回の展示では四つのケースはなく、ソファが設置されてゐてのんびりと座つて鑑賞できるやうになつてゐる。

「ギャラリー奥」のケースと「平家」のケースとも人形アニメーションの展示に使用されてゐることが多い。

「ギャラリー奥」のケースには朱鼻の伴朴と金売り吉次とが並んで立つてゐる。
このふたりをこんなに近づけるなんて、やるな。
以前、今回孔明と龐統とがゐるケースにそれぞれ吉次と伴朴とが入つてゐて、座つて相手の方を見てゐる、といふ展示があつた。
これがよくてねえ。
鋭い吉次の視線と探るやうな伴朴の視線とが緊張感を生み、ケースの間を通るのがはばかられるやうな展示だつた。
そのふたりをおなじケースに入れてそばにゐさせる。
ふたりとも居心地悪さうに見える。
伴卜の衣装には羽裏が使はれてゐるのださうで、そこも見どころだ。

「平家」のケースには二位の尼、清盛、徳子がゐる。
「源氏と木曽」を見たあとだと清盛の子どもか甥・孫がふたりくらゐゐてもいいかなあ、といふ気がする。
「源氏と木曽」の方が武で「平家」は文といふイメージなのかもしれない。
二位の尼は人形劇に出てゐた方がいま渋谷ヒカリエの川本喜八郎人形ギャラリーにゐる。
比べて見るのもおもしろいからう。
飯田の二位の尼はときに神々しく見えることがある。観音さまとかマリアさまのやうなのだ。
今回はさうした神々しさは控へめで、すぐ隣に清盛がゐるからかなとも思ふ。

清盛は僧形なので浄海入道と呼ぶべきなのかもしれない。
蜀錦の衣装がみごとだ。
三国志も平家物語も人形の衣装の多くは古着の帯地から作られてゐるといふからちよつと特別だ。
さういへば、劉邦の衣装も変はつた生地だつたけれど、あれも唐渡りの布だつたりするのかな。間違ひかもしれない。

徳子は人形劇のときとは面差しが変はつてゐる。
人形劇のときの徳子は「川本美人」と呼びたいやうな顔立ちだつた。
「川本美人」にこれといつた定義はないけれども、見るからに川本喜八郎の人形らしい美人さんなのだ。
飯田にゐる徳子は、もうちよつと幼いやうな印象があつて、親にいはれるままに嫁いで子を為して、その後つらい暮らしを送るやうになる人、といふ感じがする。

「特異なキャラクター」のケースは展示室の出口のそばにある。
ここも人形アニメーションの展示に使用されてゐることが多い。
今回は「人形劇 三国志」から華陀、紫虚上人、左慈、于吉仙人が右から順番に並んでゐる。
華陀が「特異なキャラクター」といふのはどうかと思ふのだが、神がかつた医術の持ち主、といふことなのだらう。
どうかと思ふ所以は、ほかの三人とは違つてまとつてゐる雰囲気がやはらかいからだ。
仁術の人だからだらう。
でもどこか厳しさうな感じはするんだけどね。

紫虚上人は最近は立つた展示が多い。
紫虚上人といへば囲炉裏の前に座つてゐるイメージが強い。
人形劇でさうだつたからだらう。
衣装のやれた感じが実にリアルでおもしろい。
紫虚上人といへば皮膚が鬼縮緬なのも見どころだ。ほかの人形はヤギの皮が使はれてゐるといふ。

左慈はこの中でも別格だ。
人形劇でかなり活躍してゐたからだらう。
このままサイキック・ウォーズになつてしまふのだらうかと思つた見てゐたものだつた。
今回もダーク・フォースのジェダイ・マスターのやうな趣で佇んでゐる。
左慈には目に仕掛けがある。
美術館の方が見せてくれることもあるのでお見逃しなく。

紫虚上人・左慈・于吉仙人とならぶと、「三国志つてさういふ話だつたつけ」と思ふくらゐ、怪異な感じがしてくる。
展示室の奥の方で照明もちよつと暗いのでなほさらだ。
于吉仙人は、正面から見ると瞳孔が開いてゐるやうな感じがしてちよつと怖い。
人形劇で見たときは、もうすこし常識的な人のやうに思へたけものだつた。
孫策の方が云ひがかりをつけてゐる感じだつたからだらう。

といふわけで、今回の人形に関する展示内容について書いた。
今年は特別展示がいくつも予定されてゐるので、それがいまから楽しみだ。
「ねほりんぱほりん」を見に行かれないのが残念でならない。

「項羽と劉邦」展その一はこちら
「項羽と劉邦」展その二はこちら
「項羽と劉邦」展その三はこちら
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玄徳の周辺 その一はこちら
玄徳の周辺 その二はこちら
曹操の王国 その一はこちら
曹操の王国 その二はこちら
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