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Thursday, 12 February 2026

むかしばなし 芝居前或は弥栄芝居賑

芝居前の思ひ出といふと、これはもう片岡孝夫復帰の1994年1月の歌舞伎座は初春興行に尽きる。
十三世仁左衛門も出るはずだつたが、初日から千穐楽まで休演だつた。結局、この前月の南座での『八陣守護図』が最後の芝居になつてしまつた。
この月は両花道で、といふのは梅幸のお光の『野崎村』が出たからだが、本花道から男伊達、仮花道からは女伊達が登場するといふ趣向だつた。
ちなみにこの『野崎村』、本来の配役だと梅幸のお光、四世雀右衛門のお染、羽左衛門の久作に我童の後家お常といふ大変な舞台になるはずだつたが、実際に出演したのは梅幸と雀右衛門だけで、久作は左團次が、お常は澤村藤十郎が代はつた。そしてお光にも途中から七世菊五郎が代はつて出てゐた。
歌舞伎の『野崎村』には近頃めづらしくなつたお光の母(菊蔵)も出る演出だつた。

孝夫は、芝居前の前に「お祭り」があつて、もうそれは大変な「待つてました!」がかかつたものである。
それこそ煙管の雨ではなく「待つてました!」の雨が降りそそぐやうな舞台だつた。
仁左衛門休演は、それでもひどくさみしかつた。
南座の顔見世といへば松嶋屋とその息子の三兄弟の共演だ楽しみだつた。
孝夫の療養中は当然のことながら見ることかなはなかつた。
それが、芝居前といふ形であつても、やつと見られると思つたのになあ……

今月の『弥栄芝居賑』では仁左衛門となつた孝夫が出演してゐる。
最近少し避けがちだつた花道からの登場で。
書き抜きにあるセリフだらうけれど、自分の目の黒いうちに十九代目勘三郎が見たいなどと口にする。
なんだかもう、いろいろ思ひ出してしまつて忙しい。
また、勘九郎が「祖父、父」と上を向いて云ふときに、十七代目や十八代目の顔が浮かぶものだから、余計にいけない。
芝居前は、どこか楽屋落ちの雰囲気があつてあまり好きではないものの、なんだかんだで見てしまふのだつた。

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