12月の読書メーター
12月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1401
ナイス数:34
土佐日(英文版) ― The Tosa Diary (タトルクラシックス)の感想
左ページに原文(「男もすなる日記といふものを……」)、右ページに訳文という構成。「そ、そー訳すのか!」とこれが実におもしろい。「馬の餞す」は最初に直訳風の表現があって訳注がついており、以下は「贈り物をした」というような表現になっていたり。訳注からはそこはかとなく翻訳の苦労が垣間見えたりもする。また和歌はほぼ五七五七七の音節になるように訳してあり、さらに下の句には脚韻があって唸る。書店で見つけて「これは!」と思ったもののずっと積ん読状態だった。いまだからおもしろく読めたのかもしれない。
読了日:12月02日 著者:Ki no Tsurayuki,紀 貫之
The Bell Jar (English Edition)の感想
ニューヨークで華やかな生活を送るのかと思ったら。この部分はちょっと映画『バリの恋人』の冒頭部分を思い出しながら読んでいたので、その後の展開が急転直下な印象を受けたけれど、なにしろ医学部生の幼馴染を頼りに(していると主人公は思っていないとは思うが)他人の出産を見学したり遺体を見たりして、それでも大丈夫と確認したいような人だからなあ、と思ったりもする。半年前に買って読み始めた時はピンと来なかったのだが、先月読み始めたら面白くてやめられなくなった。詩も読んでみたい。
読了日:12月07日 著者:Sylvia Plath
松明のあかり: 暗くなっていく時代の寓話の感想
詩のようでもあるショートショート(超短編というのかな)集で、どの話にも息苦しさを感じるのは、匂いに関する記述が多いからかもしれない。いずれも鼻を塞ぎたくなるような、しかし塞いでも防げないような、胸の悪くなるような悪臭だ。コロナ禍のときの短編集にも逃げ場のなさのような雰囲気があったけれど、こちらは逃れようと思えば逃れられないわけでもない、でもやはり逃れられない空気を感じる。「なんでこうなってしまったんだろう」と思う時にはもう遅いのだろうな。
読了日:12月10日 著者:バリー・ユアグロー
怖い短歌 (幻冬舎新書)の感想
短歌初心者というよりは歌集初心者である人間にとって、こういうテーマがあって歌の評価も載っているアンソロジーはとてもありがたい。その一方で、アンソロジーで見つけた歌人の歌集なり歌なりを見つけるのが案に相違して大変であるということも学んだ。怖い短歌は「電圧が高い」歌を作る歌人には少ないという旨のことが書かれていて、「電圧が高い」とはどういう意味だろうかと悩んでいたが、ここに紹介されていない歌人に答えがあるのかもしれない。たとえば俵万智。
読了日:12月14日 著者:倉阪 鬼一郎
AはアセクシュアルのA 「恋愛」から遠く離れての感想
性的志向の前に「なぜ自分は自分のままだと受け入れられないのだろう」という点が気になった。いくら「自分はこうでしかいられない」と主張しても「そんなことはない」「知らないだけだ」と否定され続けること。否定してくる相手は善意である(少なくとも悪意はない)こと。そうして孤立してしまうせいか、この本でも紹介されているデッカーの『見えない性的指向』では大変細かく性的指向を分類している。おそらく所属するところがほしくなるんだろう。この本は違う。人は一人一人異なる特別な存在。そういうことなんだろうなと思う。
読了日:12月18日 著者:川野 芽生
はじめまして現代川柳の感想
大変おもしろくてつるつる読んでしまった。自分には絶対思いつかないような言葉の並びの作品に、それをきちんと解説した文章。解説というよりは評価だろうか。この解説というか評がなければどう読んでいいかわからない作品もたくさんある。今年文学フリマで2冊ほど買い求めた本が入門書としては最適で、ただ名前しか知らない柳人もおかげで増えた。そうした名前しか知らなかった人たちの作品もたくさん載っていてるところも気に入った。ここから先に進むにはどうしたらいいのか。それはちょっと悩むところではある。
読了日:12月22日 著者:小池正博
オーギー・レンのクリスマス・ストーリーの感想
本当の話なのか作り話なのか、どちらでもいいじゃあないか。以前出勤時にバス停から見える風景を毎日写真に撮っていたことがある。パチンコ屋がなくなって大学ができたりしたけれど、ニューヨークだとそういうことはないのかもしれない。マクベス夫人の死を聞いてマクベスが云うセリフが出てきて、云う方も聞く方もそれとわかるという場面があるけれど、米国では当たり前にあることなのだろうか。学のある人たちなのかなという気もする。去年、柴田元幸の朗読で聞いて読みたかった本。またクリスマスの時期に読み返したい。
読了日:12月24日 著者:ポール オースター,柴田 元幸,タダ ジュン
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