ちやつちやと話を進めてくんな
川野芽生の『AはアセクシュアルのA』を読んで、ぶんぶんと首を縦に振つたくだりがある。
物語の中などで恋愛の場面になるとつまらなく感じる、といふ部分だ。
さうなんだよ、映画とか見てゐてもまんがや小説を読んでゐても恋愛の場面になると、「ちやつちやと話を先に進めてくんな」と思つてしまふ。
「え、少女まんがとか、読んでたんでせう?」とふしぎに思はれるかもしれないが、少女まんがでもさうだつた。はじめて定期購読した少女まんが雑誌が『花とゆめ』で、比較的恋愛ものではないまんがを掲載してゐる雑誌だつたのではないかといふ気もしてゐる。
# さういへば川野芽生はまんがは読まないのだとこれは『かわいいピンクの竜になる』か何かに書いてゐた気がする。
そんなわけで『曽根崎心中』とか見てもなにがいいのかよくわからない。
そりや人気なくて上演されなくなるよね、くらゐに思つてゐる。
なんといふか、かう、びつくりする部分がなにもないんだよね、『曽根崎心中』には。
見ながら「あー、そりやさうなりますわなあ」と思ふ。意外性がまるでない。
これが『心中天網島』だとおさんと小春の心の葛藤があつてまだましなんだけどなー。
歌舞伎だと一見恋愛ものでも、なんだかよくわからない因果関係とか実ハのやうな身顕しとかあるのでおもしろかつたりはするけれど、やつぱり惚れたのなんだのといふ場面は不要だなあと思つてしまふ。十六夜清心とかね。
考へてみれば『与話情浮名横櫛』がいいと思ふのもお富と与三郎との場面(の上演)が少ないからだらうなあ。

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