12月の読書メーター
12月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1250
ナイス数:24
カフカ俳句 (単行本)の感想
編者の「句(と敢えて呼ぼう)」の抜き出し方がすばらしく、とてもおもしろく読んだ。ただ気になるのは、「あるある」とか共感を覚えるか否かに関わる文言が評の中に多いように感じたことだ。共感を覚えないことや違和感のあることに目を向けた方がおもしろいことも増えるように思うがなあ。俳句にしてもカフカの作品にしても、そうなのではないだろうか。無論、共感を覚える一言・一句に救われるということはあるし、それも素晴らしいことだと思っているけれど。
読了日:12月03日 著者:フランツ・カフカ
すごい短歌部の感想
歌集や句集にはひたすら短歌や俳句が連ねられていて、「これはどう読んだらいいのだろう」と悩むこともしばしばだ。勿論なんだかよくわからなくても「なんとなく、これ、好き」でいい。でもこの本の木下龍也のようにちゃんとことばにしてもらえると短歌や俳句の楽しみ方の一端がわかるような気がする。当然木下龍也の読みなわけで読者ひとりひとりの読みが別にあるわけだが、手引きがあるのはありがたい。
読了日:12月13日 著者:木下 龍也
連句の教室: ことばを付けて遊ぶ (平凡社新書)の感想
『おくのほそ道』を読んでいたら連句も一緒に掲載されていてこの本のことを思い出した。和光大学の講義で連句を教え学生に付けさせるさまを見ていると、「転じる」こと、目の前にある文章から離れた発想をことばにするむつかしさを感じる。だいたいそんなこと学校では教わってこないしね。でもできるようになったら楽しいだろうなあ。川本喜八郎の人形アニメーション『冬の日』を褒めているのに改めて気がついた。川本喜八郎は『冬の日』は連句としてなっていないとその筋の人たちに云われて懲りたという話だったけど、評価している人もいたのだ。
読了日:12月16日 著者:深沢 眞二
A Christmas Carol (Illustrated) (English Edition)の感想
君子は豹変す、という。ブレないなんてのはくだらないことなのだ。自分が間違っていたことがわかったら即あらためる。それが君子であり、悪いことをやめるのはブレることではない。最終的なスクルージの姿にそんなことを思う。
『ドクター・フー』のチャールズ・ディケンズ回で「God Rest Ye Merry, Gentlemen」が流れる場面があって、この物語の冒頭にこの歌の歌詞が出てくるのを知り、「このころからあった歌なんだなあ」とやはりこの時期になると口ずさんでしまう。
読了日:12月21日 著者:Charles Dickens
飛ぶ教室 (新潮文庫)の感想
こどものころのことを忘れないというところから、そういえば『クリスマス・キャロル』のスクルージは最初にこどものころのことを思い出すよう仕向けられるのだったなあと思い出す。
何度読んでも「頭のいい生徒」と「成績のいい生徒」が別というのがすばらしく感じられる。映画化作品のうちの一つでは一人にされてしまうのではなかったろうか。そして「頭のいい生徒」には禁煙さんと道理さんのような関係になる相手がいない。そのうちできる? どうだろう。
読了日:12月25日 著者:エーリヒ ケストナー
後宮小説(新潮文庫)の感想
第1回日本ファンタジーノベル大賞の告知があった時、こんな物語が出てくると誰が想像したろうか。勝手な予想だが、応募作の多くはいわゆる「剣と魔法」的な物語だったのではないか。第1回の受賞作がこの小説で本当によかったし、そのためその後の受賞作も俗にいう「ファンタジー」にとらわれることのない不思議な小説が多かったのだろうと思う。際どいことをそう感じさせないように書いていて、これはこの後の酒見賢一作品に通じるところがあるなあと思う。再読。
読了日:12月31日 著者:酒見 賢一
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