4月の読書メーター
4月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:1953
ナイス数:43
源氏供養(上)-新版 (中公文庫 は 31-40)の感想
「紫式部も彰子(定子でもいいのかもしれないが)に「香炉峰の雪や如何に」とか訊いてもらいたかったんだなー」と思った。それが実現した時に清少納言と同じことをするかどうかはちょっと疑問だけど。「『源氏物語』は白黒のころのフランス映画で源氏はジェラール・フィリップ」というところにもうたまらなく橋本治を感じてしまう。新版に追加された座談会でさらに別の配役や少女まんがの主人公の名前が出てくるあたりも。『橋本治という立ち止まり方』に「私は、谷崎潤一郎と張り合いたかったのだ。(P22)」と書かれていたことも思い出す。
読了日:04月03日 著者:橋本 治
天才による凡人のための短歌教室の感想
本の整理をしていた時に思わず手にしてしまって再読。ここの感想にもあるけれど、多分、短歌だけでなくさまざまなことに応用が可能なのだと思う。「歌人を二人インストールする」にしたって、職場で一人の上司・先輩の背中だけを追うのは危険なのだ、みたような感じで。社内での立場の問題もあるけれど、仕事の仕方や専門分野など、「二人インストールする」のにもいろんなやり方が考えられる。新入社員を迎え、そんなことを考えてしまった。
読了日:04月03日 著者:木下 龍也
源実朝 (コレクション日本歌人選 51)の感想
歌人としての実朝については橋本治の『これで古典がよくわかる』の印象が強くてなかなか拭い去れずにいたものの、この本では歌にあることば通りに受け取る点が多く見られてとても参考になった。本歌取りは「オリジナリティがない」という人もいるけれど、そうではないということもこの解説からよくわかる。当時、家族に和歌の話ができる相手がいないというのがどういう意味を持っていたのかはわからない。いまなら家族とTV番組や映画、まんがや小説の趣味が合わないってつらいなって思うけれど。
読了日:04月04日 著者:三木 麻子
The Next Girl: A gripping crime thriller with a heart-stopping twist (Detective Gina Harte Book 1) (English Edition)の感想
故人となった夫からDVを受けていた捜査官と拉致監禁された被害者との相似がひとつ見所なのだと思う。捜査官には娘と孫がいて、娘との関係がうまくいっていない。被害者には幼い娘と息子がいて監禁されているから会えない。被害者の母親は孫の面倒をよく見る人で、そのようすを見て捜査官は自分の孫に思いを馳せる等々。起承転結の転のあたりにくると改行なしの長い段落が続くのがちょっとおもしろかった。ただ読んでいてあまり気持ちのいい話ではないので(出産後なんの処置もされずに放置されてたりとか)続きは読まないかな。
読了日:04月12日 著者:Carla Kovach
短歌をよむ (岩波新書 新赤版 304)の感想
俵万智の短歌を読むと破調でも読みやすく、角川春樹いうところの「作者の内在律」があると感じる。そのわけがわかった気がする。著者の心の声がストレートで、ときに関西弁の響きのあるところがおもしろい。「俵万智って、こんな人なんだな」と思う。題名の「よむ」がひらがななのは「読む」と「詠む」とにかけているからで、短い題名にもふた通りの意味を持たせるところなんか、歌人だなあ。ただ、短歌とか俳句もそうだが、もっと「他人からの共感なんてどーでもいいよ」という風にはならないのだろうか。そうなったらもう短歌ではないのかな。
読了日:04月13日 著者:俵 万智
百人一首がよくわかるの感想
橋本治らしい身も蓋もない(好き)現代語訳の百人一首だ。手元に東直子の現代語訳もあって、比べてみると橋本治訳は身も蓋もないものの、案外東直子訳とそれほど違わない歌もあって、「この歌はこういう解釈ときまっているのだな」というのがよくわかる。他の方の感想にもあるように、二首ずつ対になっていて、定家の歌を選ぶ基準とその並べ方について言及しているのもおもしろかった。
読了日:04月16日 著者:橋本 治
トビウオが飛ぶとき 「舞いあがれ!」アンソロジーの感想
朝の連続テレビ小説『舞いあがれ!』の登場人物たちが書いたという想定の短歌・詩のアンソロジー。秋月さんの歌が気に入った。フォントも秋月さんの歌に使われているものが一番好きだ。この人の歌をもっと読んでみたいと思うほど。でもそれは叶わないことなんだよなあ、という切なさも含めて好きな本だ。リュー北條の歌が掲載されているのも憎い。それぞれの登場人物らしい歌・詩が並び、俵万智が「現代の紫式部」と絶賛するのも宜なるかなと思う。
読了日:04月16日 著者:桑原 亮子
春日井建 (コレクション日本歌人選 73)の感想
俵万智の『短歌をよむ』に一度やめてまた歌をはじめた歌人の例の一人として名前があり、興味を持って読んだ。歌集『未成年』に取られた歌は確かにちょっとぎょっとするほど印象的で、それ故に続けていてもいずれこの形式からは離れ、また違った趣の歌を作るようになっていただろうことは想像がつく。短歌を読むっておもしろいな、刺激的だな、と思える一冊。コレクション日本歌人選からは『源実朝』につづいて2冊目。ほかの歌人の本も読みたい。
読了日:04月19日 著者:水原 紫苑
短歌パラダイス: 歌合二十四番勝負 (岩波新書 新赤版 498)の感想
句会でも思ったことに、日本にもディベイトのようなものはあったではないか、がある。歌合は団体戦なのでよりディベイトのように感じる。ディベイトのようなかっちりしたシステムはないけれど(順番とか持ち時間とか)、自分のチームの歌も相手のものも長所・短所を理解した上で議論するところはディベイトのようだと思った。歌合には判者が必要だから仲間内で行うのはむつかしそうだ。念人の議論はほかの歌集などを読むのにもとても役立つ。自作するならなおさらではないだろうか。手元にほしい本だが残念ながら見つけられず図書館で借りた。
読了日:04月21日 著者:小林 恭二
読書メーター
Recent Comments