6月の読書メーター
6月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:3560
ナイス数:39
水晶宮綺譚の感想
現代に生きる現代の歌なのに、そこかしこに過去の日本の香りがする。近くは江戸、遠くは、なんだろう、詳しくはないが、あをによし奈良の都? 不思議だ。そして、破調が破調と感じられないところもいい。小津夜景の本を読んでいて知り、図書館で手に取った本。限定五百部だったそうな。入手はむつかしいかな。
読了日:06月07日 著者:紀野 恵
ゆめのほとり鳥 (新鋭短歌シリーズ40)の感想
この本を読んで自分は破調の歌(句もかなあ)が苦手なのだと気がついた。ありがたい。以前、東直子の編集した本の帯にあった「(なんだろう、これは…)と呟き1号は自身の涙で錆びついていった」が掲載されている。
読了日:06月07日 著者:九螺 ささら
ヘクタールの感想
『カミーユ』はあまりピンと来なかったが、読み慣れていなかったからなのかも。この本の後『カミーユ』を読み返したら初読の時のいわく云い難い気持ちが少し薄れたように思う。こういうこともあるので一度読んで「苦手かも」と思った本や作者を再読するのっておもしろい。苦手かもと思った理由は『曽根崎心中』に想を得たと思しき歌がまったくわからなかったからだが、それは『曽根崎心中』を下敷きにしていると思って読んでいたからなんだな、とも思った。この本には『女殺油地獄』をもとにしたと思しき歌があってそちらはそうでもなかったからだ。
読了日:06月09日 著者:大森 静佳
石川啄木の百首 (歌人入門)の感想
句の後に一々空白を入れるとか一々改行を入れるとか、そうした歌や句が世の中にたくさんあるのだが、これくらい意識して改行を入れていればそんなに気にならない、というか、ちゃんと改行を改行として意識して読むのに、と思った。本棚を見ていてパッと目についたので読んでみた。入門書としてありがたい気がした。
読了日:06月15日 著者:小池 光
オレがマリオ (文春文庫)の感想
読みやすい所以は破調を破調と感じさせない力か。東日本大震災を機に沖縄へ移住しての歌は、なぜか震災に追われたという緊迫感に満ちているように感じられる。それは沖縄のことを読んだ歌からも見受けられ、それがしばらく過ごすうちにだんだんと薄れていくように思う。ところでペンネームでの投稿歌と本名の投稿歌ではほんとうに本名の歌の方ができがいいのだろうか。本名に見えてペンネームということはありませんか?
読了日:06月16日 著者:俵 万智
英語で味わう万葉集 (文春新書)の感想
万葉集が世界的に知られていないことについて「優れた翻訳がないからではないか」とあるのだが、日本人が(主語がデカい)「だって外国人にはわからないでしょ」と思っている向きがあるのではないかという気がした。その日本人もどこまで理解できるのかという気はする。そういう時、外国語に訳した歌の方がわかりやすいということはあるのかもしれないな、とは思った。
読了日:06月16日 著者:ピーター・J. マクミラン
うつには祖母がよく効きますの感想
「祖母は?」というくらい、著者自身の話が出てくる。つまりほんとうに祖母がうつによく効いているのかどうかはわからない。題名は著者がつけるとは限らないけれど、ちょっとどうかと思うなあ。
読了日:06月20日 著者:こうの みさと
うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間 (文春文庫)の感想
著者本人の闘病生活の凄まじさの向こうにあるだろうご家族の苦悩やいかばかりかと思いを馳せずにはいられない。そうしたことはちらっとしか出てこないし、実際ご家族もご本人にはあまり話さなかったのだろうと思うが、ちょっと想像できない。
「将棋は、弱者、マイノリティーのためにあるゲームだと信じて生きてきた。(p.184)」とあって、その視点はなかったなあと思った。
読了日:06月20日 著者:先崎 学
Factfulness: Ten Reasons We're Wrong About The World - And Why Things Are Better Than You Think (English Edition)の感想
世の中はだんだんよくなっているんだなとは思ったが、それと自分の生活との歩調が合わない。世の中はよくなっているはずなのに自分の暮らしはどんどん苦しくなっていく。そのギャップの故に世の中を正しく認識できないということはあるだろう。知識はどんどん上書きしていくものとわかってはいても、学校で教えられたことってなかなか上書きできない。鎌倉幕府の成立年とかさ。
絶対読まんと思っていたが、「あ、あのTEDのおもしろかった人か」というので読んだ。
読了日:06月21日 著者:Hans Rosling,Ola Rosling,Anna Rosling Rönnlund
栗本薫と中島梓 世界最長の物語を書いた人の感想
自身の生活がフィクションを超えていたからこうだったのかな、と秋山駿による『弥勒』への評を見て思った。誰も自分を理解してくれない、どこにも自分の居場所がない、自分はもっと評価されて然るべき存在なのに、と自分の思う自分と世間の思う(と自身が思っている)自分との乖離が大きいというか。弟御の話はぼんやりと聞いてはいたが、両親の弟御への関心やその関心が自分に向けられないこと(客観的に見れば十分与えられているのに)の多大なる影響とかね。図書館でも昨今この人の本が手に入りにくくなっているので思わず手に取ってしまった。
読了日:06月22日 著者:里中 高志
チェスを初めてやる人の本の感想
基本的な駒の動かし方から序盤・中盤・終盤の説明などさすことを前提に書かれた本だなと思った。要所要所にクイズがあるのもいい。
読了日:06月23日 著者:
Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔の感想
オードリー・タンの話を聞いていると肯定的に考える人という印象を受ける。この本からも同じ印象を受けた。
「みんなと同じは幻想である(p.83)」という境地に達したい。チンパンジーと人間とはDNAの塩基配列でいうと違いは1.2%ほどだという。その小さな違いがとても大きいというのだろう。わかっていても納得できていない。
ソローの『森の生活』を思わせるような経験をしたことがある点に興味を惹かれた。女の子だったら親が許さなかったんじゃないかなあ、と思ってしまうところに自分の限界がある。
読了日:06月26日 著者:アイリス チュウ,鄭 仲嵐
眠れないほど面白い『伊勢物語』: 歌人・在原業平の雅びで大胆な恋と人生 (王様文庫 D 85-2)の感想
教科書に掲載される話は、無難ではあるものの、やっぱりいい歌が出てくる部分なんだなーと思った。岩波文庫版をときどき読み返すことがある。なんだかつい手にとってしまうのは、恋愛がどうこうとかスキャンダルがどうこうではなくて、折口信夫が云ったという「語争い」である歌のやりとりがおもしろいからなんだろう。
読了日:06月29日 著者:岡本 梨奈
マウスと仲間たち 楽しくかんたん ドイツ語の感想
ラジオのドイツ語講座はここ何年か聞いている(聞いているだけで喋れたり読めたりするようにはなっていない)のだが、お目にかかったことのないようなフレーズが出てきておもしろい。「Sport ist Mord.」は積極的に使っていきたいフレーズだ。
読了日:06月29日 著者:マライ・メントライン
How to Make the World Add Up: Ten Rules for Thinking Differently About Numbers (English Edition)の感想
最近出版されたこの本の子ども向けの『The Truth Detective』やロスリングの『Factfulness』を読んでいて、読み返したくなった。つまるところ、『孫子』の兵法を実践できないのとおなじ理由でここに書かれていることは実戦が難しいように思う。仕方ないじゃない、人間だもの、といったところか。でもやっぱり好きな本。心に常に好奇心を。
読了日:06月29日 著者:Tim Harford
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