ワトスンの次はホームズ
The Sherlocked Podcastを聞きつつ、『シャーロック・ホームズの冒険』までたどり着いた。
『四つの署名』を読んでゐるときに思つたんだけど、「ボヘミアの醜聞」がああいふ話なのは『四つの署名』のあとだからなんではないかなあ。
『四つの署名』の依頼者はメアリ・モースタン。
ワトスンは、わりと他人に対する評価が厳しくて、やれねづみ顔だの奇妙な帽子だのなんだのと手厳しい。
そんな中でメアリ・モースタンにはやさしい目を向けてゐる気がする。
好きなんだな。
わかりやすい。
そんな『四つの署名』の中で、ホームズは「愛とは感情的なもので、なにごとも感情的なものは自分が至高のものと考へてゐる真に冷徹な論理と相容れない」といふやうなことを云ふ。
そこで「ボヘミアの醜聞」が来るんぢやないかなあ。
ホームズは別段ロマンスのわからぬ人間ではない、とか。
或は前回はワトスンの番だつたから今回はホームズの番だよ、とか。
もうすでにこんな考察は出尽くしてゐるのだらうと思ひつつ、『四つの署名』を読みながら「ボヘミアの醜聞」を読むのが楽しみだつた。
一方で、自分がホームズものを好んで読む理由の一つにこの「恋愛が主たる内容にならない」といふところにあるんだなあと思ふ。
「さういふどうでもいいところはおいておいて、ちやつちやと話を進めませうよ」と思ふことがない。
『四つの署名』もそこのところは変はらない。
それで何度でも読み返さうといふ気になるのかもしれないな。
「話を忘れちやふから」といふみづからの記憶力の問題ももちろんあるけれども。
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