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Tuesday, 05 October 2021

紡ぐか紡がぬか

タティングレースに使ふ糸はいつまで手紡ぎのものだつたのだらう。
タティングレースの発祥をいつにするかにもよるが、ごく初期には手紡ぎの糸で作つたものもあつたのではあるまいか。

ごくまれに糸を紡ぐ。
実際今日も羊毛を紡ぎはじめたところだ。
でも、自分で紡いだ糸でタティングをしやうとは思はない。
タティングで使ふ糸には滑りよくなめらかであることが求められる上に、ある程度は許されるかもしれないけれど、均一な太さでなければならない。
そんな糸を自分で紡げるとは思へないのだ。

紡ぎ機があるとしたら、それもある程度は可能なのだらうか。
ある決まつた量の素材(タティングだと綿とか絹とかかなあ)をある決まつた回数紡ぎ機を踏んで紡げばそれなりに均一な糸ができるとは思ふ。

でもそれにはそれなりの熟練を要するし、そもそも紡ぎ機は持つてゐない。
あれは自分には向かない道具だ。
大きいし持ち運べない。
JourneyWheelならもしかしてといふ気もするがもう作つてゐないやうだし、ガンジーのやうにチャルカを使へばいいのかなといふ気もしないではないがでもチャルカだと短い繊維のものでないと紡げないのぢやあるまいか。そんなことはないのかな。

そんなわけで、博物館などでタティングレースをはじめ昔作られたレースを見るとしみじみしてしまふ。
この糸は手紡ぎだらうか。
手紡ぎだとして、こんなに細い糸をこんなに均一にこんなに長く紡いだ人がゐたのか。
ゐたんだよな。すごい手練れだ。

自分にはいはゆる手作り信仰がない。
手作りしたものこそ最高、といふ信仰だ。
手芸に携はる人には往往にしてある信仰だが、自分の周囲には存在しないのでさうでもないのかもしれない。
ただ、国によつてはさういふ信仰のあるところもあるので注意が必要だとは思ふ。

いづれにせよ、さういふ信仰がないので、糸を紡ぐとしたら市販されてゐないものか入手するのがむつかしいものといふことになる。
タティングレースに用ゐる糸はいまのところ入手困難といふことはないし、在庫もたくさんある。
まづ手紡ぎの糸でタティングしやうとは思はないだらう。

あー、棒針編みのレースものは手紡ぎ糸で編んだことがあるが、それはまた別の話。

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