「聖典」を読み返す
『緋色の研究』を読み返してゐる。
The Sherlocked Podcastを聞いたからだ。
はじまりは、Sherlock Holmes Magazineを購入したことだつた。
前号の表紙がドクター・フーの十一代目ドクターだつたのである。
十一代目ドクターは2012年のクリスマス・スペシャルでホームズの扮装をする場面がある。
また、十一代目ドクターを演じたマット・スミスにはこんな逸話がある。
『Sherlock』のジョン役のオーディションを受けたところ、スティーヴン・モファットに「シャーロック向きだけど、シャーロックはベネディクト・カンバーバッチに決まつてゐたから」といふのでドクターのオファーをしただかオーディションを受けるやうに指示しただかといふ。
そんなわけで、Sherlock Holmes Magazineを注文して、届いたらうれしさのあまり呟いてしまひ、それを公式アカウントが見てフォローしてきたのでフォローし返したらいろいろとホームズに関する情報が流れてくるやうになつた。
その中にThe Sherlocked Podcastもあつた、といふ寸法だ。
The Sherlocked Podcastは、Anthony AbbotとSteve Steeleといふ二人の自称「Sherlock Holmes fanatics」によつて運営されてゐるポッドキャストだ。
「聖典」から順番に一話づつ読み、その話について語り合ふといふ形式をとつてゐる。
そんなわけで、ネタバレもまあ、ある。
ネタバレについては二人でちよつともめてゐたけれども、まあ、なんだかんだいつて、ある。
まづ『緋色の研究』の回を聞いてみたのだが、これがおもしろい。
なにしろfanaticsだから時に早すぎてなにを云つてゐるのかわからないが、人が自身の偏愛するものを語つてゐるのを聞くのはとてもおもしろいことがある。
今回がそれだつた。
前半部分については、ワトスンがアフガニスタン帰りといふのがうまい、と云ふ。
英国にとつてのアフガニスタンは米国にとつてのヴェトナムのやうなもので、不名誉な戦ひといふ趣があるといふのだ。
さうなのかー。
また、まだ指紋による個人の特定が行はれてゐなかつた時代にいろいろやつてて、すごい、とか。
グレグスンとレストレイドの描写とか。
さういふのがおもしろいのらしい。
後半部分については、モルモン教に関して、架空の宗教団体ではダメだつたのか、とか、
モルモン教のある特徴(いまは違ふと聞いてゐるが)が必要だからさうせざるを得なかつたのにしても、ね。
これについては自分もかねて疑問に思つてゐたので「さうだよねー」と膝を打つた。
個人的な話をすると、『緋色の研究』は「聖典」の中ではかなり後の方に読んだ話だ。
はじめて読んだのは「まだらのひも」で、本の題名もさうなつてゐて、ほかに「赤毛連盟」と「銀星号事件」が入つてゐた。もう一つくらゐ入つてゐたかもしれない。
その次に手にしたのが『シャーロック・ホームズの冒険』だつた。
順番があるとは思はなかつたんだらうな。なにしろ最初に手にしたのが出版社が勝手に短編を集めてきて作つた本だし。
多分、はじめて読んだ推理小説なのではないかといふ気もするし。
そんなわけで、『緋色の研究』にしても、やはり後の方に読んだ『四つの署名』にしても後半がなんとなくだるい感じがする。
それで前半に謎解きをプラスした短編が増えたのではないかといふ気がするくらゐだ。
『バスカヴィル家の犬』はそのあたりがうまく処理されてゐて好きなんだけどな。
シャーロック・ホームズものは折に触れ読み返すことがある。
好きだとは思ふけれど、愛はない。
つまりシャーロッキアンではない。
先日ここにも「シャーロッキアンとかトレッキーに憧れる」と書いたけれど、どうも自分には愛が足りないんだなあ。
そのせゐかもしれないな、他人がその人の偏愛するものについて熱く語るのを聞いたり読んだりするのがおもしろいと思ふのは。
多分にうらやましいのだらう。
そんなわけで、The Sherlocked Podcastは今後も聞くと思ふ。
『四つの署名』は先に読んでから聞きたいと思つてゐるのだが、さて。
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