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Tuesday, 19 October 2021

AIはタティングをするやうになるか

機械編みといへば棒針編みだ。
かぎ針編みをする機械といふのはないと思つてゐる。
需要がないのだらう。
以前職場で一緒に働いてゐた人が云つてゐた。
米国に住む親戚の家に行つたら、家族みんなでかぎ針編みの内職(おそらく)をしてゐて、それを手伝つたのだと。
なぜかぎ針編みなのかといふと、棒針編みだと機械で編んだものだと思はれて買ひ叩かれるからだといふ話だつた。

タティングレースを作る機械といふのも寡聞にして聞いたことがない。
市場に出回るタティングレースの品々は、みな手作りと考へていいだらう。

ラッダイト運動は最初編み物を生業にしてゐる人々がはじめたと、『どこにもない編み物研究室』に書いてあつた。
ここでいふ「編み物」は「knit」、すなはち棒針編みだ。
だつたらかぎ針編みに切り替へればいいぢやない、といふのは日本的な考へ方で、といふと語弊があるかな、少なくとも「棒針編み」も「かぎ針編み」も等しく「あみもの」と呼ぶ人間の考へることで、「棒針編み」には棒針編み、「かぎ針編み」にはかぎ針編みをさす単語があるとそこに壁が生まれたりもするのだらう。

閑話休題。

AIは棒針編みには対応するかもしれないが、かぎ針編みやタティングには対応しないのではないかといふ気がしてくる。
AIが対応するつてどのやうにどうやつて、といふ話もあるが、なんかかう、AIの進む先にあみものはないな、といふ気がするのだ。
たとへば、料理ならなにかありさうだ。
冷蔵庫にある材料を入れたら作れるものを提示してくれるとか。
そのうちロボットと連携するやうになつて選んだ料理を作つてくれるとか。
そんなことはできるやうになつたりするのではないか、と想像はできる。

しかし編み物はどうだらうか。
持つてゐる毛糸や針のサイズを入れたらAIがその材料で編めるものを提示してくれる、そんな未来がやつてくることがあるだらうか。
あるかもしれないが、なんかあまり想像がつかない。
そもそも需要があつたとしても少なさうだ。
さうか。やはり問題は需要なのか。

AIはすごいらしいが、「かういふことをしてほしい」と思ふやうなことはあまりしてくれない。
AIは、囲碁とか将棋とか、実にすごいなと思ふんだけど、でもなんか違ふんだよなあ。
それぢやないんだよなあ。
おそらく日々自分たちが無意識のうちにしてゐることつて、とても複雑でむつかしいのだ。
わからないだけでさ。

と、かぎ針編みやタティングをしてゐると思つたりする。
単にAIに関はる仕事をしてゐる人たちはそんなことには興味がないだけなのかもしれないけれど。

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