教科書のやうな漢文検定テキスト
『湯島聖堂漢文検定藩校編テキスト』を取り寄せた。
この検定については以前もちよこつと書いてゐる。
どちらかといふと個人で受けるといふよりは学校などの単位で受ける試験なのかなあといつた印象を受けてゐる。
大人は寺子屋編をどうすればいいのか、とか、悩む部分もあるし、なにしろ試験場が神田明神といふのがちよつと気が引ける感じだ。
受けに行つたらお参りもすればいいんだけどさ。
それに、なにより受けてもなんの役にも立たないのでは、といふ気がする。
さういふ、役に立たないものに興味がないわけではないが、さりとては懐に秋風の吹く昨今、なかなか一歩を踏み出せない。
そんな中、今回テキストの購入に至つた理由は、『論語』の素読が「陽貨十七」まできたことにある。
毎週一篇づつ読んでゐて、ここまできたらもう最後まで読めるだらうと思つたのだ。
一度しつこく読んでゐるから、忘れたところも再度読み返せばまた覚えられるだらうといふ目論見もある。
ただ、漢文検定はそのテキストに従つて答へを書く必要があるので、それぢやあ買つてみるか、といふことになつたわけだ。
テキストには二種類ある。
『湯島聖堂漢文検定藩校編テキスト』と『湯島聖堂漢文検定藩校編論語テキスト』の二つだ。
今回は『湯島聖堂漢文検定藩校編テキスト』を購入した。
全142ページで、本文が128ページ、参考文献が14ページある。
参考文献の内訳は、Iとして書名改題と詩人小伝 、IIとして漢文の基礎である。
「漢文なんて忘れちやつたよ」といふ向きも、参考文献の漢文の基礎を読めば、なんとなく思ひ出すのではあるまいか。
本文は試験の級ごとに三つにわかれてゐる。
二段(初級)、三段(中級)、四段(上級)といつた要領だ。
最上位の藩校修了試験である五段は、試験範囲がテキスト全体になるとのことだ。
中身はまだ全部読んだわけではない。
最初のネタは待ちぼうけである。すなはち『韓非子』の守株だ。
原文に返り点などがついてゐて、その下に語句の説明がある。
原文のあとに少し小さなフォントで書き下し文と現代語訳とが書いてある。
なんだか国語の教科書を読んでゐるやうな気分になる。
或は漢文の副読本とかね。
なほ、書き下し文は初級編と中級編とについてゐて、上級編にはないらしい。
『論語』のテキストは別にあるものの、初級編には『論語』から引いてきた教材もある。
ほか、上にも書いたとおり『韓非子』、『孟子』、『十八史略』、『資治通鑑』、『文選』、『史記』等々から教材となる文章を引いてきてゐる。
また詩もある。『詩経』とか『白氏文集』、『唐詩選』等から引いてきたものや、菅原道真の詩も掲載されてゐる。
ぱらぱらと読んだところ、『史記』から引いてきた文章は『論語』に比べて読みやすい気がした。
授業でやつたから? 国語の教科書に出てゐたから?
でも、残念ながらやつがれの使つてゐた教科書には鴻門の会とかなかつたんだよなあ。
廉頗と藺相如の話とかは載つてゐたんだけれど。
国語の授業で暇なときに四面楚歌のところばかり読んでゐたからかもしれないなあ。
まあ、ぱつと見た感じさう思へるといふだけで、ちやんと読んでみたらさうでもないのかもしれないが。
そんなわけで、テキストといひながら、無味乾燥なわけでもなく、読んでゐてそれなりに楽しい。
検定、受けやうかな。
新型コロナウイルスの感染状態によるかな。
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