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Friday, 17 September 2021

忘られぬ三番叟

昨日は今月国立劇場でかかつてゐる文楽の三番叟について書いた。
歌舞伎だと三番叟にもいろいろあつて、寿式三番叟といつて上演するものもあるが、操り三番叟や二人三番叟などといつたものがある。

中でも二人三番叟では忘れられない舞台がある。
1993年7月の歌舞伎座での舞台だ。
現在は猿翁を名乗る三代目市川猿之助と市川段四郎によるもので、文楽座太夫三味線を呼んでの大変贅沢な一幕だつた。
しかも翁は市村羽左衛門ときてゐる。呼んだんだらうね、橘屋を。

実をいふと、猿之助一座の芝居はあまり数を見てゐない。
人気が高くてなかなか席が手に入らなかつたこともあるし、「だつたらいいや」とあきらめてゐたからといふこともある。
歌舞伎を見はじめて最初の四年ほどは東京や京都・大阪といつたところからはちよつと離れた鄙の地に住んでゐたこともあつて、なかなか都会に出て行かれなかつたといふのも大きな理由だと思ふ。

まあでも、あまり一座に興味がなかつたんだらうね。
あつたら行くもの。
なんとかしてチケットを手に入れやうとしただらう。

そんな自分が忘れられないのだから、やはりこれはすばらしい一幕だつたのだと思ふ。
記憶の中でかなり美化してゐるだらうことは否めないけれど。

まー楽しい一幕でしたよ。
猿之助も段四郎も踊り巧者であることは言を俟たないしね。
その二人が一緒に踊るんだから、その楽しさは二倍どころか三倍にも四倍にもなる。
顔をするとよく似てゐるといふのもおもしろさの要因のひとつだ。
よく似た顔で、でも一応顔の白き尉と顔の黒き尉とに分かれてゐて、それぞれおなじ振りで踊りつつもその特徴が出ることになる。
しかも文楽座の語りと三味線ときてゐる。
今でも、三番叟がそれぞれくたびれてサボり出すくだりのをかしさ楽しさは忘れられない。
ずつとこの舞台が続けばいいのに。
さう思つたほどだ。

これ、当時TV放映されたりしたか知らん。
記憶がない。
あまりTVで舞台を見ることに興味がなかつたこともあるし、自宅でそんなに時間がなかつたといふこともある。
この三番叟は昼の部の切りで、その前に『源平布引滝』の「義賢最期」と「実盛物語」とが出てゐる。
夜の部は『当世流小栗判官』の通しだ。
小栗判官はともかく、実盛物語なら放映しててもいいやうな気もするがなあ。

放映したにせよしなかつたにせよ、記録として映像を残してゐるんぢやないかといふ気もする。
さうだとするならば、この二人三番叟はぜひ見たいものの一つだ。
多分、自分が見た中でも屈指の舞台だと思ふ。

でも放映する機会がないかなあ。
猿翁にはいい舞台がいくつもあるし、それは段四郎もさうだらう。
二人一緒に特集することがあれば、まづこれを放映してもらひたいものだがなあ。

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