ないない選択肢
本屋さんか文具屋さんの棚の間をただぶらぶらと見て歩きたい
この引きこもり上等のやつがれでもこんな三十一文字(字余りだから三十二文字だけど)をつぶやいてしまふやうな日々である。
本はAmazon、文具もネット通販でいいぢやないかといふ人も多いのではないかと思ふ。
文具はさうでもないかな。実物を触つてみないとわからない部分もあるし。
さういへば本もさうで、パラパラと見てみないことには買ひづらい。
Amazonには中身をちよこつと確認できる機能もあるし、Kindle版にはサンプルといふものがあるけれども、こと和書に関してはこのサンプルが実にものたりない。
洋書のサンプルはときにたつぷり一章分くらゐあつたりして、「あ、これは買はう」といふ気にさせてくれたりする。最近では The Queen's Gambit がさうだつた。サンプルを落としてきて読んでゐるうちにとまらなくなり、これは買ふといふのが買つた。
和書だと目次があつて終はりだつたりして、実用書のやうに目次があればまあなんとなく内容もわかるといふものならいいけれど、小説だつたりするともうお手上げで、「ああ、この出版社(だらう)は本を売る気がないんだな」といふのであきらめてしまふことも多々ある。
もしかしたらいまはさうでもないのかなあ。最近和書は実際の本を買ふことが多いからもしかしたらいまはよくなつてゐるのかもしれない。さうだつたら申し訳ない。
飲酒の方もさうで、やつがれはどちらかといふと家飲み派で、なぜといつて飲み過ぎても他人に迷惑をかけないからだ。
外で飲み過ぎたら手に負へない。と思ふ。いまのところ飲み過ぎてもなんとか帰宅できてゐるから大丈夫なんだらうと思つてゐる。といふかさう思ひたい。
でも、かう長いこと外で飲めないと出かけていつて飲みたいなあといふ気分になつてくる。
いはゆるサイゼ飲みとかね。いいよねえ、サイゼ飲み。ちよつとだけ飲んでちよつとだけ食べる。それでさつと帰る。
最寄駅にちよつと気に入つてゐるビールのおいしい店があつて、でもなかなか行く機会がないままになつてゐるのだが、いまごろどうなつてゐるだらうと気になる。
通勤時の通り道にあるわけではないので、そこに行くといふ機会がないとなかなか行かないところにある。小さい店だし、お酒が出せなければ休業だらう。
まだ営業してゐるだらうか。一度行つてみやうかと思ふがそんなわけでなかなか機会がない。
できれば出かけたくないし、できれば引きこもつてゐたいのにさう思ふといふのは、おそらく選択肢がなくなつてしまつたからなんだらう。
実際に書店や文房具店に行つて本を見て文房具を手にするといふ選択肢や、飲食店に行つてお酒を飲むといふ選択肢がない。
以前はそんなものは選択肢だとも思つてゐなかつたのに、奪はれてはじめて「ああ、自分には本屋に行くといふ選択肢、文房具店に行くといふ選択肢、飲食店で飲酒するといふ選択肢がかつてはあつたのだなあ」としみじみ思ふ。
そして、欧米(範囲広いな)でマスクを強要されて嫌がる人たちも、その所以は「マスクをしなくていい」といふ選択肢を奪はれることへの抵抗なのかもしれないなあと思つたりするのだつた。
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