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Thursday, 29 July 2021

行きたいわけではないけれど

文学刑事サーズデイ・ネクスト・シリーズの第1作『ジェイン・エアを探せ!』を読んでゐる。
久しぶりに読み返して「こんなにおもしろかつたかなあ」と思ひ、学生時代の友人にも勧めてしまつた。
勧めるときにちよつとためらひはしたんだけれどもね。
なぜといつてサーズデイ・ネクストのシリーズは7作あるのに3作目までしか翻訳されてゐない上、いまでは入手しづらくなつてゐるからだ。
図書館にないとまづ読めないのではないかと思ふ。
もちろん、原書で読むといふ手も残つてはゐて、ほんとはその方がおもしろいだらうといふ気はしてゐる。
だつてJack Schittなんて名前は「ジャック・シット」つて書いてしまつたらなにもおもしろさが伝はらないぢやあないですか。

それはともかく、読んでゐたらなんとなくシャーロック・ホームズを読みたくなつてきてしまつた。
やつがれは特にホームズ好きといふわけではない。
なんといふか、『緋色の研究』とか『四つの署名』とか『恐怖の谷』の後半が苦手なんだよね。
解決篇とでもいはうか。
それはなくてもいいなーとか思つてしまふんだよね。
『緋色の研究』なんかそれがなかつたらモルモン教との関係ももつとマイルドにすむのではないかといふ気がしてしまふ。
『バスカーヴィルの犬』はそれがないから好きだつたりする。昔ピーター・カッシングのホームズでドラマも見たせゐもあるかもしれないけれど。

なぜサーズデイ・ネクストを読んでゐてシャーロック・ホームズを読みたくなつてしまつたのか。
サーズデイ・ネクストに特にホームズめいた部分があるわけではない。
さういやサーズデイ・ネクストにホームズつて出てきたつけか。ちよつと記憶にないや。もしかしたらどこかに出てきてゐたかな。

先日もここに書いたやうに、サーズデイ・ネクストはこどものころに『ジェイン・エア』の物語の中に入つたことがある。
それは、物語を朗読することで聞いてゐる人を物語の世界に送り込む能力を持つた人がゐたからだ。
また、サースムデイのをぢは発明家で、プローズ・ポータルといふ物語の世界に入るシステムを作り出す。
おそらく、物語の好きな人は一度は思つたことがあるんぢやあるまいか。
この物語の世界に入つてみたいなあ、とか。
そして登場人物と会つてみたいなあ、とか。
一緒に旅をしたり話したりおいしいものを食べたりしたい、とか。
その夢がかなつてしまふのである。
サーズデイ・ネクストの世界では。

では、やつがれがシャーロック・ホームズの世界に行きたいのか、といふと、うーん、さうではないのだけれどさうだ。
実際に行きたいわけではない。だつてなんだか衛生的にいろいろ問題ありさうぢやないですか、ヴィクトリア朝のロンドンとか。
だけど、なんていふのかな、雰囲気を感じたい、といふことはある。
衛生的に問題がありさうなのに? うん、まあね。
別にホームズやワトソンに会ひたいわけぢやないんだけど、電話のできる前、自動車の街を走りまはる前の世界つてどんなだつたのかなあと思ふのだ。
イメージとしては、潜水艦かな。遊園地に潜水艦といふアトラクションがあつて、客は潜水艦の中に座つたまま水中を眺めるといふ、それだけのものなのだが、そんな感じでホームズの世界を見てみたい。
そんなの、本を読むのと変はらないぢやないといふ向きもあらう。
さうなんだよ。
本を読めばいいんだよね。
さうなんだけれども、いまはサーズデイ・ネクストに手一杯で、ホームズまで手を伸ばすことができないのだつた。
短編ならいいかな。なにがいいだらう。はじめて読んだのは「まだらの紐」なのだけれども、「赤毛連盟」なんかもいいな。それともカレーライスに粉チーズをかけると思ひ出す「シルヴァー・ブレイズ号事件」でもいいだらうか。

読む目と手とがもう一対づつあるといいんだけどなあ。

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