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Monday, 05 July 2021

あみものもののドラマの見方

アフガン編みのストールはあと半模様といふところまで来た。
『ドクター・フー』を見たからだ。
シリーズ5エピソード10、いはゆるゴッホ回だ。
11代目ドクターとコンパニオンのエイミーはオルセー美術館でゴッホの絵に不審なものを見て、ゴッホに会ひに行く。
ドクターとエイミーにとつてはゴッホは偉大な画家だしどの絵もとびきりの芸樹作品だが、残念ながらゴッホの周囲の人々にとつてはなにがいいのかよくわからないし一文にもならない駄作ばかりだ。
ゴッホ自身も本人はともかく誰も自分の絵を評価する人はゐないと思つてゐる。
このあたりの認識の差がまづおもしろい。
この回はTwitterで見てゐる限りとても人気があるのだが、放映当時の評価はさほどよくはないやうだ。
さういふものなのかもしれないなあ。

この次の回が、ドクターがとある家の間借り人になるといふ回で、これも好きな回だ。
家主(つて書くとなんだか落語つぽいなあ)のクレイグのチームに欠員が出たといふので突然ドクターがサッカーをする場面がある。
11代目ドクターを演じてゐるマット・スミスはかつてはサッカーの選手になりたかつたといふ話で、その技量をたつぷり見せてくれる回でもある。

『ドクター・フー』を見てゐて、多分自分はこの11代目ドクターとピーター・カパルディ演ずる12代目ドクターが好きだと思ふのだが、なんといふか、個々のドクターが好きといふよりは、主に脚本を書いてゐるスティーヴン・モファットが好きなのではないかといふ気がしてゐる。
スティーヴン・モファットといへば『SHERLOCK』で知つてゐる人も多いのぢやないかと思ふ。
この前YouTubeの公式チャンネルでシャーロックとジョンとがはじめて会ふ場面を見たが、セリフまはしといひ間の取り方といひ、まるで『ドクター・フー』だつた。
実は『SHERLOCK』はシリーズ1とシリーズ2は見てゐる。シリーズ1はNHKの地上波で見たし、シリーズ2は借りて見た。
『ドクター・フー』より先に『SHERLOCK』を知つてゐたわけだ。
初めての『ドクター・フー』はロンドン行きの機内で見た2019年の新年スペシャルで、この時『SHERLOCK』のシーズン2エピソード3も見たけれど、別段似てゐるともなんとも思はなかつた。『ドクター・フー』からはもうスティーヴン・モファットは退いてゐたからかもしれない、といまになつて思ふ。

なんでこんな話を延々としてゐるのかといふと、シーズン1からシーズン4まで、『ドクター・フー』にはあみものものにとつてこれといつて注目したい場面がなかつたからだ。
主に英国の話である。
過去の世界にも行く。
でも、なんといふか、「あ、このセーターいいな」とか「うーん、このヴェスト(ウェイストコートか?)、編みたい」といふのが皆無なのだ。

『SHERLOCK』を見たことのある人なら、わかるでせう。
ジョンのあのセーター、ちよつと編んでみたいよね、とか、あつたよね。
少なくともやつがれはあつた。
そして、『ドクター・フー』のシーズン5からシーズン10にもところどころあるのだ、なんといふか、「編みたい」といふよりは、あみものものあるあるみたやうな場面が。
老人ホームで甥だか孫だかにセーターを編んでゐる老女がゐるのだが、このセーターがいはゆる「着たくないセーター」だとか。
田舎を走るヴァンの後部座席にグラニースクウェアのモチーフつなぎのカヴァがかかつてゐるだとか。
ナルニア国物語を下敷きにしたクリスマスものでWWII時代のお母さんがこどものためになにか編んでゐるだとか。
「わかつてるなあ」と思つちやふんだよね、あみものものの気持ちを。

おそらく、いまの英国であみものつて流行らないし、TVドラマの登場人物が一々あみものものの心をそそるやうなセーターやヴェストを着てゐることなんてないのかもしれないな、とは思ふ。
映画は別だがなー。ホビットとか、あみものものの心をゆさぶりまくつたと思ふし、去年見た中では『ジョーンの秘密』とかよかつた。登場人物のかぶつてゐる帽子がいいんだよ。さういや『イミテーション・ゲーム』もさうだつた気がする。

そんなわけで、おそらく自分が好きなのはスティーヴン・モファットなんぢやないかと思つてゐる。
もちろん、11代目ドクターも12代目ドクターも好きだし、多分これまで見てきた中で『ドクター・フー』で一番好きな登場人物はミッシーだけど。

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