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Friday, 28 May 2021

自動筆記に憧れて

自動筆記といつてなにを思ひ浮かべるだらうか。
やつがれはアンドレ・ブルトンかな。シュールレアリスム宣言とか。
最近Twitterで「#意味不明短歌千本ノック」といふタグを見つけた。
夏野あゆね(HNatsu_natsu7)さんのこのつぶやきがきつかけだといふ。ありがたいことだ。
そんなわけで、ここのところ毎日何首か作つてゐる。
気分は自動筆記だ。

自動筆記といふと、心霊的なものを指すものもある。
コックリさんとかがさうらしい。
そのせゐか、Web検索をかけると「自動筆記 危険」などといふ検索語候補が出てくることがある。
「うーん、そりやダダとかシュールレアリスムとか、危険かもしれないけどー」と思つてゐたが、違つたやうだ。
確かに自動筆記をするとトランス状態のやうな状態になる気はするけれど、トランス状態になつたことがないからよくわからない。
自分の考へてゐることとはまつたく別のことが次から次へとペン先から出てくるんだよね。
一度キーボード入力もしてみたが、変換が気になるのでうまくいかなかつた。
最初に出た変換候補でどんどん書いていくといふ手もあるのかもしれない。それはそれでかなり意味不明になつておもしろさうだ。

でも気になるとできない。
たとへば、意味不明短歌もむつかしい。
短歌は定型詩である。
#と、云ひきつてしまつていいものか悩むが、まあいいか。
五七五七七の三十一文字で完結しなければならない。なぜといつて、五・七・五・七・七とか数へてゐると、思考が論理的な方向に振れて意味不明にならなくなりがちだからだ。
句またがりはありだし、とくに自動筆記で歌を作つてゐたらさうした方がいいのかもしれないと思はないでもない。
句またがりでも三十一文字は変へられない(字足らず・字余りはよしとしても)からおなじかな。

さう考へると、俳句なり短歌なりといつたものはかなり理性の勝つた状態でないとできないものなのかもしれない。
五言絶句とか七言律詩とかもさうかな。
作り慣れれば数や平仄など気にせずに作れるものなのかもしれないが。

仕方がないので、意味不明短歌千本ノックをするときはデュシャンの作品などを脳裡に思ひ浮かべながら作つてゐる。
「レディ・メイド」といふのもなんだか意味不明短歌にふさはしい気がするし。

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