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Wednesday, 02 December 2020

天邪鬼だからといふこともあるかもだけどさ

『銀河英雄伝説』の再読は四巻でとまつてゐる。
読みたいのだが、索引を作りながら読むのはそれなりに気力が必要なのだつた。
だつたら索引なんかやめちやへばいいぢやない、とも思つたのだが、それだと四巻までといふのはなんだかとても中途半端だ。
おなじ中途半端でも二巻までだつたらよかつたんだけどね。

そんなわけで、手元には読み終へた四巻がまだある。
いい加減五巻を出してこなければと思ふのだが思ふにまかせない。

ところでユリアン・ミンツは軍人になりたいと思つてゐるのだが、保護者たるヤン・ウェンリーはそれをよしとしない。
ひとつには、ユリアンが戦場に赴く姿を見たくないから。
ひとつには、多分、自身が軍人といふ職業を嫌つてゐるから。

自分の子どもが戦場に行くことを悲しむ親は多い。
太平洋戦争のときだつて、万歳と見送りながら心の中では泣いてゐた親も多からう。
かくいふやつがれも、お隣を時々訪れてゐたお孫さんが戦争に行くやうな世の中にはなつてほしくないと思ふ。
お孫さんたちとは別段親しいわけではない。顔を合はせれば挨拶をするくらゐで、たまに相手があまりに成長してしまつて誰だかわからないこともある。

お国を守るためだからと子どもを戦場に送り出す親もあるだらうしあつたらう。
でもさういふ人ばかりぢやないんだよ、といふことはわかる。

自分が軍人といふ職業が嫌ひだから軍人にはなつてほしくない、といふのも、まあさうしたものだらうと思ふ。
ここはなりたいといふ相手の気持ちを尊重した方がいいのぢやあるまいかと思ひつつも、やつがれもまた自身の好かない職業に自分の子どもがつきたいといつたらイヤだと思ふだらう。
ちよつと具体的にこの職業とは思ひつかないけれど、さういふことになつたら多分止めるし反対するんぢやないかな。

あと、ヤンにはもうひとつ、ユリアンが軍人になるのをよしとしない理由がある気がする。
それは、ヤン自身が本来なりたかつた職業につけてゐないから、といふことだ。

自分は希望の職につけなかつたのだから、子ども(とここでは書く)には希望する職業についてほしい。
さう思ふ人もゐるだらう。
ただ、世の中はどうも人といふのは自分にされたことを他人にもするところがあるやうに見受けられる。

ヤンの場合は、ほんたうは歴史家になりたかつたのに、財政的な問題でそれが許されなかつた。
それでよりにもよつてなりたくなかつた軍人になつて、なつてみたらみたでますます軍人なんてイヤだと思ふやうになつた。
そんな職業になぜつきたがるのか、理解できないししたくもないのだらう。
しかもユリアンはヤンに憧れて軍人になりたいときてゐる。
つまり、自分がイヤだと思つてゐる職業についてイヤイヤ働いてゐるのに、それを素敵だと思はれてゐるわけだ。
それはイヤだらうなあ。

読みながらユリアンがなりたかつた軍人になることをヤンには喜んであげてほしいなと思ふ一方で、「でも軍人だからなあ」と思ふことも確かだ。
無論、子どもの憧れの職業が軍人だつた時代があり、今後もさうならないとは限らない。
「でも軍人だからなあ」と思へる時代が長くつづくといいな。

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