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Tuesday, 08 December 2020

肖像画と装飾品

昨日、上野の森美術館でキング&クイーン展を見てきた。
ヘンリー七世以降エリザベス二世までの肖像画・写真などを展示してゐる。
美術展の話は別の機会に書くつもり、と書きつつ、ちよつと気になつた点を書きたい。

この展示はテューダー朝からはじまる。
ヘンリー七世は後世作られた像だけ。
ヘンリー八世やエリザベス一世は世界史の教科書でも見る肖像画が展示されてゐた。
エドワード六世やメアリ一世、アン・ブーリンやレディ・グレイの絵もあつた。
つづいてスチュアート朝になると、途端に様子が変はる。
装飾品が減るのだ。
ヘンリー八世やエリザベス一世(の肖像画)にはイヤといふほどついてゐた宝石が姿を消す。
その傾向は、ハノーヴァー朝、ウィンザー朝になつても変はらない。
衣装はどんどん質素になつていく、といふよりはシンプルになつていく。
だが、ジェイムズ一世の肖像画とエリザベス二世の写真とを比べると、宝石の数はそんなに変はらないのではないかといふ気がした。
図録とか買つてないし、記憶だけで書いてゐるが、多分、そんなに間違つてゐないと思ふ。

もしかして、ヘンリー八世やエリザベス一世の肖像画は宝石を盛つてゐたのぢやあるまいか。
そんな気もしてしまふ。

ただ、レースについてはジョージ四世くらゐまではそんなに変はらないかもしれないな、といふ気がした。
描き方には違ひがある。
エリザベス一世の絵ではレースは克明に描かれてゐる。細い糸の一本一本まで描かうとしてゐるのではないかといふやうな筆致だ。
レース自体もおそらくはスターチかなにかでかためたのだらう、ぱりっぱりだ。
これが、時代が下るとだんだんレース本来生地本来のやはらかさが出てくるやうに思ふ。
写真で見る王子のおくるみのやはらかさとかさ。あれはベビー用だからやはらかいのかな。

テューダー朝では、レースはぱりぱりにかためるのが流行してゐたのだらうか。
それとも「こんなにすばらしいレースを持つてゐたんですよ」といふ顕示のためにああ描かせたのか。
図録、買へばよかつただらうか。

タティングレースとおぼしきものは絵や写真からはまつたく見て取れなかつたが、レースがふんだんに使はれてゐた時代の絵はいいなと思ふ。
贅沢品といふ意味ではいまも変はらないのだが、装飾として使ふ人はめつきり減つた。
そこでRBGトリビュートですよ、といふところに話がいくのだが、替襟はそれほど進んでゐない。
でも進んではゐる。
いつになつたらできあがるのか、さつぱり見当がつかないけれど。

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