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Thursday, 19 November 2020

とかくこの世は住みにくい

職場で「承知しました」と云ひたくない。
電子メールにも書きたくない。
お恥づかしい話だが、働いてゐて長いこと「目上の人間に「了解」といふことばを使つてはならない」「「承知」といふべき」といふことを知らなかつた。
はじめて聞いたときに真つ先にしたことは辞書を引くことだつた。
辞書にはそんなことはひとことも書いてない。
どちらかといへば「了解」の方がいいのではないかと思ふ語釈を載せてゐる辞書もあつた。

しばらくして、「承知」の方が尊敬の意があると云ひだしたのは誰でいつのことかといふことを調べた人がゐることを知つた。
その人の調査したことを読んで、「承知」の方が「了解」より敬意を表することができると思つてゐる人間は自分で考へることもしなければまづ辞書を引くことも知らないのだな、と思つた。

それでも、世の中では「承知」の方がよく使はれてゐる。
悪貨は良貨を駆逐する。
考へなしに行動する人間の方が多いのだ。仕方がない。
老兵はただ立ち去るのみ。

話によると、「承知」には「承る」といふ字が入つてゐるから謙譲語(とは今は云はないのらしいが)なのらしい。
だつたら「了承」はいいのかといふと、「了承」も目上の人間には使つてはいけないのだといふ。
バカなのか。
バカなんだらうな。
そもそも、「承る」といふ字が入つてゐるからといつて「承知」といふことばに謙遜する意味はない。

そんなわけで、日々「承知」も「了解」も「了承」も使はずに過ごしてゐる。
なんでこんな苦労をしなければならないのだらう。
いざこざの起こることを見越して「了解」も「了承」も使はないことにしてゐる日和見な自分がいけないんだけどさ。
自分一人が「了解」や「了承」を使つたところで世の大勢は変へられないし。
新明解国語辞典などはもう「ビジネスの場では「承知」を使ふ」とか書いてゐるのかもしれないしな。

なぜこんなに「承知」にこだはるのか。
別に「承知」が悪いわけではない。
ことばの遣ひ方を窮屈にされるのがイヤなだけだ。
「了解」でもいいところを確たる理由もなく「失礼だから使ふな」とか云はれるのがどうしても承服しかねる。
あ、「承服」。今後は「承服」でいくかな。

かくいふやつがれも、云はれてそのまま受け入れてしまふことくらゐいくらでもあるけどさ。

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