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Monday, 23 November 2020

未来を見るあみもの

せつせと馬蹄型ショールを編んでゐる。
ひたすらメリヤス編み(すなはちガーター編み)なので、心穏やかに編めるときと飽きてしまふときとがある。
昨日がわりと心穏やかに編めた日で、今日はちよつと飽きがちだ。
毎日おなじことばかりするのがよくないのかもしれない。
或は、今日は明日が出勤だといふのでなんとなく気持ちがすぐれないのかも。
こんな調子でできあがるのかなあ。計算でいくと、まだ毛糸は半分も使ひきつてゐないといふのに。

編んでゐると、あまり過去のことは考へない気がする。
ひたすら未来のことばかり考へてゐる。
そんな気がする。
これが編めたらどうしやうか、とか。
いつになつたら完成するんだらう、とか。
次はなにを編まうかな、とか。
どれも未来のことばかりだ。
自分はどちらかといふと後ろ向きで過ぎ去つたことばかり考へてゐるたちだ。
どちらかといふと、ぢやないか。どこからどう見ても、か。
だが、編みものをしてゐるときはさうではないやうだ。
タティングレースもおなじかな。

たつた今のことを考へることはもちろんある。
いま何段目を編んでゐるんだつけか、とか。
いま編んだところはほんとはかけ目ではなかつたか、とか。
ここで模様編みかな、とか。

来し方を考へるのは、どれだけ編めたか見返すときかな。
でもそのときも「あとどれくらゐ編めば完成するか」といふ視点があると思はれるので、同時に行く末のことも考へてゐる。
不思議なものだ。

未来なんてやつて来ないかもしれないのに、それでもせつせとショールを編んでゐる。
編んでも編んでもまだまだ編まねばならないショールを編んでゐる。
さういふものなのかもしれないな。

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