先達への感謝
タティングをしてゐると、糸をつぎ足すのが億劫に感じられることがある。
つぎ足し方にもいろいろあつて、よく本に載つてゐるのは残つた糸と新たな糸とを結ぶ方法だらうか。
これだと目立たない位置に結び目がくるやうに結ぶ必要があるし、できればのりでかためて余分な糸端を切ることになる。
この「目立たない位置に結び目がくるやうに結ぶ」のが苦手でねえ。
毛糸で結ぶときは気にならないんだがなあ。
毛糸は毛が絡むのでのりでかためなくても糸がほどけてきたりしないし、うまい具合に結び目を目立たない位置にうつすのも綿の糸にくらべてやりやすい気がする。
Magic Threadを覚えてからはもつぱらこの方法で糸始末をするやうになつた。
結び始めは糸端を芯糸と一緒にしてしまふ。
ちよつとめんどくさいけれど、結び終へたあとの手間が少なくていい。
糸端の始末なども「伝統」にこだはる人にはmagic threadなんて邪道なんだらうな。
でも新しい技法が生まれるといふことは、それだけタティングに真摯に取り組んでゐる人が多いといふことだ。
さうでなければ新たな技なんて出てくるわけがないし、広まるわけもない。
タティングレースは、以前はピコでつなぐといふ発想がなく、ピコとピコとを糸で結んでゐたといふ。
その方法だと時間がかかるし、あちこちに結び目ができて糸端も残ることだらう。
ピコでつなぐ方法を思ひついた人はすごい。
時折ピコをつなぐ時にしみじみ感謝することがある。
チェインを考え出した人もすごいし、モックリングやスプリットリングを考案した人もすばらしい。
そもそも糸同士をかうして結んでレースにするなんて、どこの誰が考へついたのだらう。
先達のなんとありがたいことか。
なんてなことを常に考へてゐるわけではなく、なにかの折に思ひ出す。
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