思うてたんと違ふ「ブックスマート」
昨日、「ブックスマート」を見てきた。
ロサンジェルスのとある高校三年生の物語だ。
生徒会長をつとめる主人公はいはゆるガリ勉(booksmart)だ。
高校生活を勉学に勤しんできた。おかげで九月からはイェール大学に行くことになつてゐる。
ところが明日は卒業式といふ日、これまで勉強もろくにせずフラフラ遊んでゐると思つてゐた同学年の生徒たちがみなアイヴィーリーグの大学やジョージタウン大学への進学、進学しないものはGoogleへの就職を決めてゐることを知る。
「勉強や試験なんてバカにしてきたくせに」と云ふ主人公に、フラフラ遊んでゐた(と主人公は思つてゐる)生徒のひとりが云ふ。
「勉強や試験だけぢやなくて、ほかのことも大切にしてきたんだよ」と。
そこで主人公は一念発起し、やはり勉強一筋でやつてきた親友を巻き込んで、高校生活最後の夜にいままで勉強の犠牲にしてきたことを全部やらう、卒業生の乱痴気パーティに参加しやう、ともちかけるのだつた。
ここまで見て、「なんか違ふな」と思つた。
主人公が、ほかのこと、高校生だつたらしたいやうな楽しいことをすべてあきらめて或は犠牲にして勉強してきた、といふのがなんだかひつかかつた。
そんなの、自業自得ぢやん。
好きでやつてたんぢやなかつたの?
親友の方はどうやら「高校生らしい楽しみ」にはそれほど興味はないらしく、ほかの生徒が遊んでゐてかつ一流大学に行くことについてもそんなに感慨はないし、別段パーティに行きたいとも思はない。
でも、大の親友の主人公の頼みだから、そこは行動を共にすることになる。
もし、主人公がいはゆる高校生らしい楽しみや遊びに興味がなく、遊んできたと自分は思つてゐる生徒たちが名の知れた大学に進学するといふ話を聞いても全然動じなかつたら、物語にならない。
つまらない映画になつてしまふ。
でもなー、別にいいぢやん、勉強三昧の高校生活だつて。
そもそも主人公には確たる将来の夢があるんだしさ。
それに邁進するつて、それだつてすばらしいことだと思ふんだがなあ。
なんか、結局、勉強だけつてつまらないよね、みたようなさ。
「だけ」はよくないのかもしれないけれど、でも、勉強楽しいぢやん、みたやうなさ。
それは親友の方が引き受けてくれてゐるのかもしれないけれども。
主人公は、高校生らしく遊んでゐる同学年の生徒たちを見下すやうにして勉強してきた。
それは自己評価が低いからといふ面もある。
この映画は、自己肯定感や自分らしくあることを描いたものでもある。
最近はさういふ映画が多いよね。
終はり方もきれいだし、かういふ映画だとわかつた上でもう一度見たらまた評価も変はるかな。
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