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Wednesday, 15 July 2020

ものや思ふと人の問ふまで

基本的になにごとについても low-key である。
自分が好きなことをはつきり云はない。
普通に好きなことはよく云ふけれど、ほんたうに好きなことはあまり口にしない。
それで失敗することもよくある。
たとへば「ドラゴンボール」が好きになつたときのことだ。
友人の前でまづ前段として「ドラゴンボール」の話題を振る。
あたりさはりのないやうな話題をだ。
それができるのが「ドラゴンボール」のいいところであるのは確かなのだが、あたりさはりがないのですぐに話題が別のことに移つてしまふ。
結局、できないまま困つたことになつてやつと告白できた(つて大げさな)のだが、あれがなかつたらずーつとあたりさはりのない話題を振つては別のことに話がうつつてしまつて、を延々とくり返してゐたんだらうなあ。

でも少しづつ変はつてきてゐるのは、Twitter だとか Instagram だとかのせゐだらう。
とくに Twitter は一日のつぶやきをまとめて Evernote に記録するツイエバといふサーヴィスを使つてゐて、世界に知らしめるといふよりは自分の記録としてつぶやくやうになつて久しい。
Instagram への投稿も Twitter に連携するので同様に記録される(写真は記録されないけれど、それは iPhone の写真アプリケーションを見ればいい話だ)。

そんなわけで、記録してゐると世界に対して「こんな芝居に行つた」だとか「こんな映画を見た」だとか「こんな本を読んだ」といふことを発信することになり、自然と high-key になつてきた。
そんな気がする。
まあ、人のつぶやきなどどれくらゐ世界が関心をもつてゐるか、考へてみてもたかが知れてゐる気はするけどもね。

その一方で、肝心の固有名詞はつぶやかないとか、できるだけ個体・個人が特定されない方向でつぶやくといふことはやはりある気がしてゐる。
最近はそれも意識してしないやうにすることもある。
なにを隠すことがある。
さうも思ふからだ。
ただ長年の習性脱しがたく、といふ部分もあるのは確かだ。

世の中は high-key な人間がいい目を見るやうにできてゐて、low-key な人間はとかく内にこもるしかないやうになつてゐる。
至極当然な仕組だ。
自分にとつては、「口に出せないほど好き」といふのがもつとも愛してゐるといふことと同義だから、仕方がないのだつた。

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