報復性夜更しとタティング
報復性夜更しといふことばを知つたのはつひ最近のことだ。
TwitterのTimeLineに流れてきた。
日中自分のしたいことができずなかなか眠れないことをさすことばだと理解してゐる。
思ひあたることがたくさんある。
就職してのち、両親のもとで暮らしてゐたころ、よく母に云はれたものだつた。
「早く寝なさい」と。
小学生のときは「早く起きすぎる」と云はれたやつがれが、だ。
なかなか眠れないのにはわけがある。
日中職場で拘束されてしたいことができなかつた。
するならいましかない。
寝る暇も惜しいとはこのことだ。
その後もさういふ夜はつづいた。
朝は始発のバスで出て帰りは終電で帰つてきてゐたころ、それでもあれこれ編んでゐた。
よく編んでゐる暇があつたな、といまは思ふ。
そんなことしないで寝ればよかつたのに、それができなかつた。
好きなあみものもしないでなんの人生か。
さう思つてゐたからだ。
ほかにもWebページの更新にかまけてゐた時期もあるし、とにかく就職してからといふもの、早寝といふものはほとんどした記憶がない。
ここ最近、体力が衰へてきて、いつまでも起きてゐられなくなつた程度だ。
一日の一番いい時間に、仕事に縛られてゐる。
自由はほぼきかない。
やりたいことはあるのに。
ところでタティングレースに関しては、あまり報復性夜更しをしてやつてゐたといふことがない。
タティングレースは移動中に電車やバスの中でもできる。
あるひは職場で昼休みにする。
持ち運びに便利で、ちよつと時間があつたら取り出して結ぶことができる。
おそらく夜遅くに帰宅してからタティングをすることがあまりなかつたのはそのためだらう。
自分の中では大作のひとつである極細毛糸で作つたスカーフは、ほとんど電車の中で作つた。
当時は毎日帰りが遅く、次第に朝起きられなくなつていつた。
その結果、出勤時の電車は空いてゐることが多かつた。
電車に乗つて、しばらくは隣の席に人がゐない。
そんなわけで、行きだけでモチーフが二枚、ときに三昧作れることもあつた。
昼休みも当然タティングだ。
さうかうするうちに、スカーフができあがつてゐた。
さう考へると、忙しい人間にはタティングは向いてゐるのかもしれない。
あみものも持ち歩いて編めるけれど、以前も書いたとほり日本では電車の中であみものはしてはいけないことになつてゐるといふ話もある。
タティングレースならそんなことはない。
とはいへ、人はタティングのみで生きてゐるわけではないんだよなあ。
人は、ではなくて、自分は、か。
« 歩かないから? | Main | 夜更ししなくて済む理由 »
Comments