平常心平常心
まだかぎ針編みのスカーフも編み終はらないのに、ネックウォーマを編み始めてしまつた。
毛糸はハマナカのホームメイドピュアウール中細、編み棒は6号で、Don't Touch Your Faceを編んでゐる。
先週ここにも書いた、以前から気になつてゐた手芸店で求めた糸だ。
中細の中でもかなり細い部類に入るのではないかと思ふ。
ここのところ中細といふとパピーのNew4Plyを使ふことが多かつたからかもしれらない。
金曜日に編み始めて、土曜日ははふつておいたけれど、昨日日曜日はずいぶん編んだ。
ずいぶん編んだといつて、一玉編みきれなかつたのだから以前に比べたら大したことはない。
気分的にはずいぶん編んだつもりでゐた。
日曜日は起きるなり世の中がとんでもないことになつてゐた。
熊本と鹿児島で50年に一度の大雨といふ話で、球磨川だと思ふが、ダムの緊急放流をするといふニュースが流れてゐた。
一方で東京では都知事選挙があつて、都民ではないものの都内で働くものとしては無視できない選挙だつた。
結果は現職の圧倒的勝利だつた。
とにかく編まずにはゐられなかつた。
心を落ち着かせるために、平常心を取り戻すために、ひたすら編む。
Don't Touch Your Faceは、14段1模様で、5段メリヤス編みで編んだら2段は模様編みのくり返しだ。
ひたすら機械的にメリヤス編みを編む。
そして2段だけ、模様を編む。
それでほんたうに心が落ち着くのかといふと、さうでもない。
こんなことをしてゐる場合ではないのぢやあるまいか。
いまから編んだところで、できあがつても使ふのは十一月以降だらう。
ほかにすることできることはいくらでもある。
さう思ひつつ、編めば編んだだけ進むといふことは、どこかしら心の支へになりうるものだ。
「筋肉は裏切らない」とTVで云つてゐたが、あみものも裏切らない。編めば編んだだけ進む。
まあ、実際は間違へてほどいたりもしたけれど、正しく編んでゐればそれだけ進む。
それだけは確実だ。
なんか、さういふ些細なことが平常心に戻してくれる、平常心を保つ一助となつたりするのだなあ。
やはり自分はあみものが好きなのではないのかもしれない。
単に、心乱れたときに平静に戻るためにあみものが必要なだけなのかも。
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