手ぬぐいが好き
手ぬぐひが好きだ。
はじめて干支手ぬぐひを買つたのが丑年用なので、遣ひはじめて十二年くらゐといつたところだと思ふ。
手ぬぐひのなにがいいのか。
乾きやすい。
大きい。
小降りの雨なら頭にかければしのぐことができる。
季節に合はせて違ふ柄を持ち歩くのも楽しい。
一番の理由は、やはり柄かな。
柄が多彩だ。
とくに、妙ちきりんな柄が多いのがよい。
妙ちきりんな柄といふと、ふじやの手ぬぐひにある江戸時代の判じ絵柄をぱつと思ひつく。
これも好きだが、もつと細かい柄もいい。
細かい柄だと、手ぬぐひを畳んで持つてもわかるからだ。
最初にぐつと来たのが、丸善の手ぬぐひ「本棚格子」だ。
きちんと縦長の細い四角が並んだ中で、二つだけ、ちよつとななめに傾いてゐる。
まるで、隣の本を抜かれて倒れかかつた本のやうなのだ。
いい。
とてもいい。
ここから手ぬぐひ狂ひへの谷へと転げ落ちていつたやうに思ふ。
丸善はさまざまな柄の手ぬぐひを出してゐる。
最近気に入つたのは、鳥獣戯画の絵を使つた読書の柄で、中にふくろふがゐることから「これは丸善の手ぬぐひだな」とわかるやうになつてゐる。
鳥獣戯画柄の手ぬぐひがたくさんある中、ちよつと洒落てゐる。
そんなわけで、きれいな柄やかはいい柄もいくつも持つてゐるけれど、最近は古典柄といはれるやうな格子柄や小紋柄、または「妙ちきりん」といひたいやうな楽しい柄を持つことが多い。
「俺たちの国芳 わたしの国貞」展で買つた猫スカルとかね。
手ぬぐひには、きれいな柄やかはいい柄もたくさんある。
そちらの方が好きな人にも強く訴へる柄だ。
気分に寄つてはさういふ柄を持つこともある。
もう正しい名前は忘れてしまつたが、濱文様の確か「スキ・キライ・スキ」といふ名前の柄だつたと思ふ、マーガレットのやうな花が並んでゐて花占ひをしてゐるかのやうに花びらがところどころ散つてゐる柄や、かまわぬの蝶づくし、竜胆など、個人的に「お姉さん柄」と呼んでゐるものがある。
きれいなお姉さんに似合ふ、そんな色柄だと思つてゐる。
柄の多彩さ。
手ぬぐひで気に入つてゐるのは、そんなところかな。
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