蟄居と新たな万年筆
二月にプラチナ萬年筆の新製品であるキュリダスを買つた。
キュリダスは、ノック式万年筆だ。
伊東屋などの大手文具店では先行発売されてゐて、試筆もできた。
残念ながら現在では新型コロナウィルスのせゐで店頭にあるペンで試し書きするのはちよつとためらはれる。
さう云ひながらも、買ふ前には店頭にあるペンで試し書きをした。
キュリダスには極細、細字、中字の三種類がある。
丸善の日本橋店と丸の内店とで試し書きしてみたが、細字が一番書きやすい気がした。
しかし買つたのは極細だ。
なぜといつて、手帳に書くことを考へてゐたからね。
Bullet Journal に 5mm方眼用紙を用ゐてゐると、どうしてもできるだけ細い字の書けるペンがほしくなる。
通常はセーラー万年筆の細美研ぎのプロフェッショナルギアを使つてゐるが、たまにあるでせう、色を変へたいときとかさあ。
そんなわけでグラファイトグレーの極細を買つてきた。
グラファイトグレーにしたのは、プラチナのカーキブラックといふインキを入れるつもりだつたからだ。
カーキブラックは、プラチナ萬年筆の古典インクの中では一番主張しない色だ。
そこがまづいい。
書いてしばらくすると黒ずんではくるが、やはりほかの色よりも控えめな色な気がする。
極細で主張しない色つてどうなのよ、といふ話もあるかもしれないが、いい感じ、としか云ひやうがない。
時間をおいたときの色は、セピアブラックよりもセピアな印象がある。
いま、自宅で過ごす時間の長い中、キュリダスを取り出してきて、自分好みになるやう使つてゐる。
ほかに長いつきあひの、やつがれの手によくあつたペンもある。もちろんさうしたペンも使ふ。
ただ、このご時世、新しいペンを馴らしていくといふことによる気持ちの変化といふものがあるやうに思ふ。
なにはともあれ、未来はある、といふかね。
どんな未来だかわからないけれど、このキュリダスは自分向きのペンに変はつてゐるだらう、とかね。
キュリダスを買つておいてよかつたと思ふ所以である。
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