ノールビンドニングとロシアン・ジョイン
突然、ノールビンドニグをはじめてみた。
「はじめてのノールビンドニング」に出ていたヘッドバンドを作つてゐる。
腱鞘炎にあまり響かないかなと思つたし、Rowan の Cocoon がノールドンビニングに向いてゐるのではないかと思つたからだ。
結論からいふと、腱鞘炎にはあまり響かないが、ローワンのコクーンはノールビンドニングに向かなかつた。
まづ、コクーンは糸を引つ張つても糸がちぎれない。
コクーンはメリノ八割モヘア二割の糸だ。
モヘアの威力なのかなあ。
繊維が長くて、一度撚つてしまふとなかなか引き抜けないのだらう。
コクーンは甘撚りの糸で、一見かんたんにちぎつてつなげられさうに見える。
糸は見た目によらないといふことだなあ。
そんなわけで、コクーンはノールビンドニングは向かない糸だといふことが判明したわけだが。
そこでくぢけるやつがれではなかつた。
コクーンは、太い部分と細い部分がある糸ではあるけれども、基本的には極太の糸だ。
Russian Join ができるのではないか。
甘撚りなのはちよつと気にかかるけれど。
といふわけで、以前から気になつてゐたロシアン・ジョインを試してみることにした。
これも結論から云ふと、コクーンは決してロシアン・ジョインに向いた糸ではないものの、なんとかノールビンドニングをすることができた。
ロシアン・ジョインとは、糸端と糸端とをつなげる方法のひとつだ。
通常は、糸と糸とをつなげるときは結ぶと思ふ。
それだと結び目ができてしまつて、見た目にもよくないし、裏に出すにしても伸縮性が損なはれる。糸端の始末も必要だ。
ロシアン・ジョインでは、糸端を自身の糸に縫ひ込んでループを作り、ループにもう片方の糸端を通す。
ループに通した方の糸端を自身の糸に縫ひ込んで、互ひの糸端を引つ張る。
Ta-da!
糸と糸とがつながる。
かういふ寸法だ。
糸端を縫ひ込むときにちよつと撚りを戻すのがコツだらうか。
おそらく、すこし撚りのしつかりした糸の方が向く方法だと思ふのだが、コクーンでもなんとかできた。
太い糸の方が向いてゐる方法であることも確かだし。
ノールビンドニングは針を使ふので、糸を少しづつちぎりながら作る。糸が足りなくなつたらつなぐ。
このとき、本では糸端の撚りをほぐして互ひの糸端を撚りあはせるやうにと書いてある。
あくまでも推測だが、おそらくもともとはあまり状態のよくない糸を使つてゐたからなのではないかといふ気がする。
トゥヴォーエンズスティックニングがさうだからだ。
トゥヴォーエンズスティックニングは、古くなつたセーターなどをもう一度繊維の状態に戻してつむぎなほした糸を編むために編み出された手法だといふ。
羊毛が手に入らず、古着をなんとかするしかなかつた先人の知恵だつたらう。
ノールビンドニングもさうだつたんぢやあるまいか。
ノールビンドニングには、フェルト化しやすいやうな糸が向いてゐる、もつといふとさういふ糸でないと糸と糸とをつなぎあはせることができないと思つてゐたが。
ロシアン・ジョインでいけるのなら使へる糸の種類も格段に増える。
こんなこと、ずつとノールビンドニングをしてきた人なら常識なのかもしれない。
先達がゐないといふのは、かういふことなのだな。
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