谷蔭の春の薄雪
三月の歌舞伎座の公演がなくなつてしまつた。
最初は「そのうちやるよね」と思つてゐた。
次に中止期間が延長されたときも、まだすこしだけ希望はあつた。
といふか、希望せずにはゐられなかつた。
昨日、国立劇場の全公演が中止になつた時点で、もうあきらめてゐた。
あきらめてゐた?
あきらめきれるだらうか。
やつがれ史上最高の「新薄雪物語」になるはずだつたのに。
それをあきらめることなんて、できないよね。
東京オリンピックが中止になると、それにあはせて練習・調整してきた選手がかはいさうといふ話がある。
芝居だつておなじだよね、と、さきほど云はれた。
若からうとさうでなからうと、そのとき見られるものはそのときだけのものだ。
再演したつてそれはまた違ふ。
今月の国立劇場で上演されるはずだつた演目・配役の再演はおそらくあるだらう。
歌舞伎座はどうかな。
とくに昼の部は。
もうないかもしれない。
さう思ふと……。
いまは、もどつてくるチケット代で六月の博多座に行くことを考へてゐる。
宿も飛行機もなにも押さへてゐないし、そのときにどうなつてゐるのか皆目見当もつかないが。
来月はどの劇場も開くことをいのつてやまない。
今月、まだ宝塚歌劇団の公演は中止になるかどうか発表になつてゐないといふ。
できれば再開してほしいなあ。
それが希望になると思ふんだよ。
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