やめどき?
芝居を見に行けない。
上演中止になつてゐるのだから仕方がない。
もしかしたらこのまま芝居を見に行かなくなつてしまふのではあるまいか。
そんな気もする。
観劇の予定のない週末といふのはとてもらくちんで、さらにはいままたちよつと皮膚の感染症で医者にあまり歩くなといはれてゐるからよけいにこもりがちで、これがいい感じなのだつた。
ムリして出かけなくてもいい。
むしろ出かけない方がいい。
これがこんなに楽なことだつたとは。
ここ数年「いつか出かけたくないといふ気持ちが芝居を見たいといふ気持ちに勝つ日がやつてくる」といふ不安のやうな気持ちにおそはれてゐる。
不安ではある。
いままでずつと見てきたのに、いきなり見に行かなくなつてしまふなんて、ちよつと怖い。
おそらくはサンクコストと似てゐると思ふ。
いままでやつてきたんだから、なにがあつても今後もつづける。
さう、なにがあつても。
とはいへ、これまたここ数年のうちに気づいたことに、「どうも自分は観劇に向かないのではないか」といふことがある。
芝居を見る。
感動する。
これでしばらく生きていける、と思ふ。
ところが帰りの電車の中で無礼な乗客に出くはすや、さうしたいい気分はきれいさつぱり消へてしまふ。
出かけなきやよかつた。
家で本でも読んでればよかつた。
さうしたらこんなイヤな目には遭はなかつたのに。
ほかの人はさういふことはないのだらうか。
芝居(でもライヴでも演奏会でも落語会でもなんでもいいのだが)に行つて、いい心持ちになつて、でも家路に向かふ最中になんだかイヤなことがあつてすつかりいい気分が飛んでしまふとか。
見てゐるかぎりではどうもあんまりないやうなんだよなあ。
今月中に芝居が見られるやうになつたとして、どうしても見たい人が殺到するだらうし、なかなか見に行かれないかもしれない。
さうしたとき、自分は芝居を見に行くだらうか。
今後、見に行くだらうか。
あまり自信がない。
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