1月の読書メーター
1月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1796
ナイス数:22
セレクション関口存男 和文独訳漫談集の感想
ゲーテのことばに「Wer fremde Sprachen nicht kennt, weiß nichts von seiner eigenen. 」というのがある。「外国語を知らぬ者は母国語についても何も知らない」という意味だそうで、この本を読むと「そういうことなのか!」と合点がいく。日本語をそのまま訳すのではなくドイツ語にしやすいように云い変えてから訳す。そのためにはドイツ語として自然な表現を知らねばならぬし、日本語の特徴も知る必要がある。ドイツ語の部分が多いけれど、他の言語にも通じることが多い。
読了日:01月04日 著者:関口 存男
The Big Over Easy: An Investigation with the Nursery Crime Division (Nursery Crimes)の感想
去年この著者の本が翻訳された(「雪降る夏空にきみと眠る」)のが嬉しくて再読。ナーサリー・クライム課の刑事ジャック・スプラット (could eat no fat) が配属されたばかりのメアリー・メアリーや異星人のアシュリーその他変わった同僚たちとともにハンプティ・ダンプティ殺害事件に挑む。事件を横取りしようとするエリート刑事の邪魔にあったり娘がプロメテウスと恋に落ちたりジャックは忙しい。登場人物やイヴェントがマザー・グースや童話と関連あったりするから翻訳はされないかなあ。相変わらず世界がよくできている。
読了日:01月09日 著者:Jasper Fforde
ヴァーチャル日本語 役割語の謎 (もっと知りたい!日本語)の感想
役割語はダニエル・カーネマンいうところの「システム1」で処理できるということか。ことば遣いによって差別が発生する理由もなんとなくわかった気がする。「ドラゴンボール」に登場する孫悟飯が両親とはまるでことば遣いが違うのは、読者に受け入れてもらえるようにという考えもあったのかな、と思った。
読了日:01月12日 著者:金水 敏
だから、何。の感想
数年ぶりに手にした中野翠のコラム集は、やはりおもしろかった。中野翠のいいところは「自慢だけど」とはっきり書くところかな。普段TLで「人知らずして呟く」という感じの呟きをいくつも目にしているからかもしれない。旅行の手配をしてくれる妹夫婦に「いちおう」感謝、なんてのもいい。毎年楽しみにしていたのだが、どこか気に触る部分が増えてきてしばらく読んでなかった。読まずにきた分も読んでみようかな。
読了日:01月13日 著者:中野 翠
The Fourth Bear: A Nursery Crime (A Nursery Crime Novel)の感想
三匹のくまのベッドが三つの理由がそれだったとは……とか、読み返してなおおもしろい。前作同様不死身といおうか無敵の相手に命を狙われる主人公ジャック・スプラット。今回はちょっとターミネーター風味かな。この本では続きがあることになっているが、いまのところ出る気配がないのがさみしい。
読了日:01月29日 著者:Jasper Fforde
桃尻語訳 枕草子〈中〉 (河出文庫)の感想
「枕草子」は「をかしの文学」かについて「ただあたしは、単純に「あはれなり」の人間じゃなくて、「いみじうあはれにをかしけれ」って言っちゃう人間なのよね(p126)」と云っちゃうところが「メチャクチャジーンときてすてき」だ。自分が「すてき」と思っていることも他人から見たらどーってことないんだろうなって見てるっていうのがね、すっごくすてき。
もうあれから一年なんだな。早いね。
読了日:01月30日 著者:橋本 治
ぼくは翻訳についてこう考えています -柴田元幸の意見100-の感想
柴田元幸のことばを集めたcommonplace bookといった趣。余白がたっぷりあるのでmarginaliaを書き込んで自分だけの一冊にもできる。大半はどこかで読んだことがあるが、バラク・オバマの演説を訳すときに「humble」を「謙虚」とは訳したくない、抽象語や漢語よりもっと平易なことばを使いたいという旨の発言を読んで購入を決めた。
読了日:01月31日 著者:柴田 元幸
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