蛍光ペンを使ふ
はじめて蛍光ペンを手にした時は、結構嬉々として使つてゐた。
当時旺文社の中高生向け英和辞典を持つてゐて、知らない単語を引いては意味もなく蛍光ペンで印をつけてゐたやうに記憶してゐる。
黄色いペンだつた。
ところが時が経つにつれ、辞書の上のペンでつけた印の色が変色していく。
褪色といふべきだらうか。
これが、なんだかうつくしくないのだ。
褪色してもそれが美である場合もある。
蛍光ペンはさうではない。
以降、蛍光ペンとは縁がない。
線を引く場合は色鉛筆を使つてゐた。
濃くのつぺりと線の引ける色鉛筆を愛用してゐた。
現在は三菱uniのスタイルフィットを使つてゐる。
かすれることがないし、にぢみもほぼないからだ。
それなのに最近、蛍光ペンを買つてしまつた。
ゼブラのマイルドライナーだ。
ペンにも書いてある「マイルドなインク色」といふのが気に入つた。
使ひはじめて、蛍光ペンの褪色が好ましく思へないのは、もとの色がどぎついから、といふのもある気がした。
「昔は羽振りがよかつたのに、いまは……」みたような感じだらうか。
落ちぶれるなら落ちぶれるでやうすよく落ちぶれてくれればいいのに、みたような。
マイルドライナーはまだ使ひはじめたばかりでどのやうに褪色するのかわからない。
色もたくさんあるからものによつて違ふだらう。
どうなるのか、楽しみでもある。
レース糸のところにも書いたやうに、褪色は悪いばかりではない。
すがれていくよさといふのもあるはずだ。
マイルドライナーはもとからちよつとすがれたところのある色がいいといふ話もあるしね。
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