今年見た映画 2019
討入りイヴともなると、もう今年も終はりだなあと思ふ。
夕べは「今年最後の満月」などといつてもりあがつてゐたが、かういふのはあまり好きではない。
満月なんていつだつてこの世で最後かもしれないぢやあないか。
「今年最後」だとかいふ人は、あまり死を思ふことはないのだらう。
思つたからといつていいことがあるわけではないが。
あまり思はない方があつさり死ねるのかもしれないしな。
死のことばかり考へてゐると、去り際が意地汚くなる可能性もある。
よくわからないけれど。
とはいへ、今年一番おもしろかつた本だとか芝居だとか落語だとか映画だとかをあげるのはいいと思つてゐる。
なにかの区切りを設けて、その期間、自分がどうしてゐたのかをふり返るのはよいことだ。
たぶんな。
しかし、本はまだ読むし、芝居はまだ歌舞伎座も国立劇場も新橋演舞場も残つてゐる。落語会にもまだ行く予定だ。
映画は「カツベン!」を見に行くつもりでゐるが、年内はそれくらゐかな。
でも今年見た新作映画はいまのところ四本だけだ。
・映画 刀剣乱舞
・翔んで埼玉
・アナと世界の終わり
・ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス
映画館(上映会も含む)には四十回以上行つてゐるんだけどねえ。
そんなわけで、リヴァイヴァルといふか再上映でおもしろかつたのは「ベン・ハー」とか「雄呂血」とか「聖なる酔っ払いの伝説」とかだらうか。
あ、今年は「仁義なき戦い」の一挙上映も見たのだつた。これはおもしろかつたけれどさすがに疲れた。来年はちよつと考へたい。
新作映画でいふと、「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」が圧倒的におもしろかつた。
ドキュメンタリなので別枠かもしれないが、おもしろいものに境界はない。
図書館とはなにか。
資料を保存するところか。
利用者に本をはじめとする知識・情報を提供するところか。
それはさうなのだけれども、それを端緒にさまざまなことを行つてゐるのがニューヨーク公共図書館だ。
目指すところは人々の幸せ、といふと抽象的か。
如何に自立して生きていけるか。
その手助けをしてゐるところだ。
本邦の図書館もかうなのか。
あるいはかういふ取り組みをしてゐる図書館もあるのか。
不明にして知らない。
本邦では司書の地位がさがるばかりで、といふ話がある。
かつて、図書館といふのはおそろしいところだつた。
かつて、本の貸し借りをするカウンタにゐる司書はひどく無愛想だつた。
それがいまは違ふ。
カウンタにゐる人は明るい人ばかりだ。心なしか依然よりも腰が低いやうな気さへする。
委託の業者から派遣されてゐる人たちなのだ、といふことをのちに知つた。
では以前ゐた司書の人々はどうしてゐるのだらう。
また、数年前から民間の企業が図書館の運営を司るといふ事例が取り沙汰されてゐる。
その結果、重要な資料が大量に廃棄されてしまつたといふニュースも見かけた。
図書館つてなに?
「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を見て、あらためて考へてしまふ。
ほかの映画についても書きたいが、とくに「絶対見ることはない」と思つてゐたゾンビ映画の「アナと世界の終わり」については書きたいのだが、機会があればまた。
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