現在は別の「アナ」の映画が上映されてゐるかもしれないが、いまさらながら「アナと世界の終わり(Anna and the Apocalypse)」である。
ホラー映画は苦手だ。
怖いからだ。
それなのに、なぜ見てしまつたのか。
別の映画に通つてゐるあひだ、何度もこの映画の予告篇を見たからだ。
云ふでせう、ゴキブリだつて毎日見てゐるうちに平気になつてくるつて。
予告篇にはゾンビはほとんど出てこないが、とにかくこの映画を見たくなつてしまふくらゐ何度も見た。
予告篇を見るうち、主役のアナが気になつてねえ。エラ・ハントが演じてゐる。
また、ともにゾンビと戦ふらしいボーイッシュな子もよかつた。ステフといふ名前で、サラ・スワイヤーが演じてゐる。
さらに、アナが決意の表情で云ふ「YOU are my best friend.」といふせりふにぐつときてしまつた。
「ボヘミアン・ラプソディ」とか見てるころだつたからさ。
で、見に行つてよかつたと思つたけれど、でももう二度とホラー映画は見に行かないな、と思った。
なぜといつて、ホラー映画の予告篇はやつぱりホラー映画だからだ、といふのがまづ一つ。
予告篇が怖い映画ばかりなんですよ。
あと、やはりゾンビは怖い。
見てくれが怖いし、動きは緩慢なのになかなか倒せないのも怖い。
でも映画はおもしろかつた。
過去のゾンビ映画へのオマージュがそこかしこにちりばめられてゐたといふ、そのおもしろさは残念ながらわからなかつたけど(見てゐないからね、過去のゾンビ映画を)、ゾンビ映画なのにミュージカル、といふのがとても奇妙でよかつた。
歌もひとつひとつとてもいい。
イギリスのどこか郊外の街で暮らす高校三年生の、先行きの見えぬ状況、見えぬなりに「ああしたい」「かうしたい」といふことはある、さういふ希望と不安と不満とにゆれ動く感じ。
ゾンビだらけのこの街を出て行つたとして、世界中がゾンビだらけかもしれないといふおそろしさ。
なにしろジャスティン・ビーヴァーもゾンビになつてしまふんだからね、この映画の中では。
しかも世の中はクリスマスなのに。
登場人物も魅力的だ。
予告篇で気に入つたアナとステフとは、やつぱりすてきだつた。
ステフはおそらくLGBTなんだと思ふ。親がフリーダムで、その結果娘が生活苦の人々などを助ける運動に邁進してゐて学校と衝突する、といふやうに見えておもしろい。
アナは、魅力的だ。
ちよつとした表情がとてもチャーミングだし、歌も踊りも演技もいい。
振り付けはステフを演じたサラ・スワイヤーが担当したといふ。
アナは、母を亡くして父と二人暮らしで、父には大学に行くといふ話をしてゐるが、密かに海外に出やうとしてゐる。いはゆる gap yaer といふものだと思ふのだが、映画の冒頭でその計画が父にバレて反対される。
父との軋轢、学校での満たされぬ日々、元カレや友人との関係、将来への期待と不安、そこにゾンビ、ですよ。
ほかの登場人物もいいんだけど、中でも悪役な教頭のサヴェッジが「日本でやつたら粟根まこと」といふ感じでよかつたなあ。
ひどい奴なんだよ、このサヴェッジが。名前も名前だけどさ。
サウンドトラックを買ふつもりで買へてゐない。
最近はCDとか出ないんですね。
クリスマスの時期でもあるし、ダウンロードしてみるかな。
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