きちがひぢやが仕方がない
あひかはらず手ぬぐひを使つてゐる。
だが、以前はその時々に合はせた手ぬぐひを持つことが多かつたのに、それをほとんどしなくなつてしまつた。
手ぬぐひの楽しみといつて、季節の柄を使ふとか、播磨屋を見に行くなら播磨屋格子、音羽屋を見に行くなら斧琴菊、季節に関わらず道成寺なら桜、藤娘なら藤棚、すし屋なら山道と、その時に応じた柄を持つといふのがある。
さう思ふから、桜の花が散り始めると楽しみで仕方がない。
桜の花が終はると、紫の色の花の季節がやつてくるからだ。
藤にはじまつて菖蒲、杜若、紫陽花、朝顔、桔梗と紫色の花がつづく。
また好きな柄ばかりだ。
#さういふ柄を買つたからだけど。
それが今年はあまり季節に関わらない柄を持つことが多い。
ここのところ、手ぬぐひの入れ替へをしてないことに気がついた。
それで季節柄をあまり使つてゐないことにも気づいたのだつた。
例年だと十月一日からハロウィン柄を使ひはじめるのだが、今年はまだ一度も使つてゐない。
といふわけで、今日はハロウィン柄の手ぬぐひを持つてきた。
明日もハロウィン柄にするつもりだ。
ハロウィン柄も好きな柄が多くて、十月は菊の柄も持ちたいところなのだが、つひハロウィン柄にしてしまふ。
去年まではさうだつた。
ハロウィン柄に関していふと、なんだか持ち歩く気にならなかつたから、といふのが大きい。
まづ、秋めかない。
気温は下がつてきたし、湿度も低くなつてはきた。
だが、秋、それも自分の知る十月らしくない。
十月つてもつと涼しくて乾燥してると思ふんだよね。
だつて衣替への季節ですよ。
制服も冬服に切り替はる時期だ。
この気温この湿度ぢや冬服はちよつとどうよ、といふ日が多くはあるまいか。
気温は低くても湿度が高かつたりね。
あと、そんな気分にならないといふこともある。
世の中、ハロウィンとかいつてゐる場合ぢやないだらう。
だからこそ敢へてハロウィン柄、とも考へないでもない。
でも、どうもさういふ気分になれない。
今朝ハロウィン柄の手ぬぐひを出してきて、「ああ、やはりいいな、好きな柄だな」と思ふ一方で、「そんな、浮かれてゐちやいけないんぢやあるまいか」と思つてしまふ。
日本には四季があるといふけれど、ここ数年、夏と冬とその中間くらゐしかない気がしてゐる。
あるいは乾期と雨期か。
手ぬぐひも「かつてはいまくらゐの時期に梅が咲いたんですよ」とか云ひ訳しながら使ふやうになるのかもしれないな。
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