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Thursday, 03 October 2019

なぜなに「飛ぶ教室」

エーリッヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」が気になる所以はいろいろある。

以前ここにも書いた気がするが、前書きでケストナーが「飛ぶ教室」を書き始めるまでや書き始めたあとのことをあれこれ綴つてゐるその中に、「緑の鉛筆」が出てくる。
いま思へば、それはファーバー・カステルの鉛筆のことなんぢやなからうかと合点がいくのだが、こどものころは緑の色鉛筆のことだと思つてゐた。
それで緑の色鉛筆を使つて書いてゐた時期がある。
書きづらかつたなー、あれは。

「飛ぶ教室」といふ題名も気になる。
なぜ「飛ぶ教室」なのか。
「飛ぶ教室」といふのは、登場人物のひとりであるジョニーの書いた戯曲の題名だ。
物語の中では、クリスマスにジョニーの通ふギムナジウムの生徒たちが「飛ぶ教室」を上演することになつてゐる。
実際に飛ぶ教室があつて、地理などで出てくる土地を訪ねる、みたやうな内容の戯曲だ。

「飛ぶ教室」自体は、ジョニーの友人たち、そして先生を描いた物語だと思つてゐる。
それがなぜ「飛ぶ教室」なのだらうか。
ときをり考へてみるが、わからない。
「Das Fliegende Klassenzimmer」を「飛ぶ教室」と訳すからいけないので、「さまよへる教室」としたらどうだらうかと思はないでもない。
「Der Fliegende Hollaender」は「さまよへるオランダ人」だからね。

もうひとつ、常々気になつてゐるのが、読んでゐて違和感を覚える部分がある、といふところだ。
ギムナジウムの生徒たちに合ひ言葉(でいいのか悩むところだが)があつて、これが時にしつくりこないのである。

同じ街にある学校の生徒たちと喧嘩することになつて、無論喧嘩は禁じられてゐるから秘密裡に計画されるわけだが、このとき作戦隊長みたやうな生徒がほかの生徒たちに「準備はいいか」といつた声をかかけると、ほかの生徒たちがその合ひ言葉を返す、それがなんだか妙なんだよね。
いろんな場面で使はれるから、ある場面ではしつくりきても別の場面では違和感が残る感じ、とでもいはうか。

これつてドイツ語が読めたら解決するのか知らんと思つてドイツ語を習つてみたこともあるけれど、解決するほどにはできるやうにならず……といはうか、全然できるやうにならず、現在に至つてゐる。
近頃面目次第もござりませぬ、とは、粂寺弾正のせりふにあるとほりだ。

といふわけで、思ひ出したからまたドイツ語でもやつてみるか、と思ひつつ、もういまさらといふ気もする秋のゆふぐれなのだつた。

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