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Wednesday, 16 October 2019

「推し」がゐない

先週、ジョン・レノンの誕生日に思ひ出したことがある。
中学生のときに知り合つた友人が云つたことばだ。

「私はジョンが好きだけど、Nちやんはポールだよね」

さう云はれて、「自分はポール・マッカートニーが好きだつたのか!」と蒙を啓かれる思ひがし、同時に「はたしてほんたうにさうだらうか」といふ気持ちになつた。

ビートルズの中で誰が好きかとか、それまで考へたことがなかつたことにも遅まきながら気がついた。

ビートルズを聞くやうになつたのは小学四年生の時のことだ。
当時は周囲に「ビートルズ、いいよねえ」と語り合へる相手もなく、ただただラジオから流れてくる歌を聞くばかりだつた。
母は「レコードなんて買つてもすぐに聞かなくなるから」といふし、小学生ではなかなかレコードなんて買へなかつたといふこともあるのだが、あのころなぜかFM局でビートルズ特集を組むことが多く、ラジオを聞くだけでほぼすべての歌を聞くことができたのだつた。

中学の時に出会つたジョン・レノンが好きな友人が、ビートルズについて「いいよねえ」と語れるはじめての相手だつた。

今風に云ふと、「推しがゐなかつた」といふことになるだらうか。
友人に「ポールが好きだよね」と云はれてはじめて「だつて四人でビートルズだし」と思ふやうになつた。
かといつて「箱推し」といふのともまた違ふ。
ビートルズ好きだけど、別に推しはしないんだよなあ。
強いて云へば、「この歌いいから聞いてよ」と思ふ歌はあるが、でもそれもしたことないなあ。

だいたい、ビートルズのメンバーの生ひ立ちだとか為人とか、気にならないしね。
どうでもいいぢやん、そんなこと。
最近(え、以前から? こりやまた失礼しました)立川志らくがめうちきりんなことを云つてあちこちから非難されてゐるが、それと志らくの落語とは関係ない。
高座は高座。
めうちきりんな発言はめうちきりんな発言。
さういふものだと思つてゐる。

さう考へると一事が万事そんな感じで、自分の好きな芸能人の好きな食べ物は何でどんな服をよく着て犬派だとか猫派だとか、そんなことはどうでもいいのだつた。
#天本英世のガラムだけはちよつと別かも。

「推し」といふことばが一般的になつてきて、よくよく考へてみると自分には「推し」と呼べる対象がないことに気づく。
世の中、「推し」がゐた方が楽しさうだ。
生きる張り合ひにもなりさうだし。
で、自分にはゐないだらうかと考へたところ、どうもゐさうにないし、これまでもゐた試しがなかつたやうに思ふ。

それつてたぶん、好きだなあと思ふ芸能人やその他の存在の為人にあまり興味がない、あつてもまづ欠点から探してしまふ傾向があるからなんだらうな。
推せないのだ。
「こんなにすばらしいんですよ」と世界に云つて回れない。
だつてこんなダメなところもあんな人間としてどーよと思はれるやうな欠点もあるんだもの。

それでも好きなら「推し」と呼べるのだらうか。

推さなきやダメか。

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