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Thursday, 06 June 2019

チケットの半券に趣を

そのとき遣つてゐる手帳にチケットの半券を入れる。

チケットの半券などとつておいてどうするつもりなのか。
我ながらわからない。
なんとなく捨てられずにゐる。
最近はチケットの半券に自分の名前が印字されてゐることもあり、かんたんには捨てられなくなつてしまつたといふこともある。

以前は、チケットといへばそれなりに凝つたつくりのものだつた。
京都南座の顔見世興行のときなどは、ほかの劇場やほかの興行のときとはまたちよつと違つた趣のチケットだつた。
模様とか字体とか、さういふところに「特別な興行なんですよ」といつた雰囲気が漂つてゐたやうに記憶してゐる。

最近、QUEENの来日公演のときのチケットの半券をSNSなどで見かけることがある。
どれも工夫を凝らしたデザインのチケットで、「そりや捨てられないよね」と思ふ。

宝塚歌劇団とか、どうだつたのかなあ。

近頃ではチケットはどれを見ても似たやうなものばかりになつてしまつた。
見分けがつかない。
なぜといつて、コンヴィニエンスストアなどで印刷したものが大半を占めるからだ。
違ひはといふと、セブン−イレブンを利用したかはたまたローソンかファミリーマートかといつたところか。
さうではなくても、歌舞伎のチケットなどもどれを見てもおなじやうで趣に欠ける。

そんなところに趣を追求して、それでさらにチケット代が高くなつても悲しいが。
でも、なんかかう、もうちよつと趣があつても、と思ふんだよな。
だつて芝居とか演奏会とかつて、さういふもんでせう。

チケットもそのうち全部電子化されて手元に半券が残るといふこともなくなるのかもしれない。
それまでのちよつとした楽しみ、かな。

半券を取つておくのは、さ。

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