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Monday, 18 March 2019

どこの誰かは知らないけれど

昨日「いだてん」を見ながらアイリッシュ・クロシェットの薔薇のモチーフをちよこちよこと編んでゐた。
不思議だよねえ。
くるくる編んでゐるだけで花の形(薔薇の形とはまたチト違ふのだが)になるつて。
これ、考へた人、天才だよね。

だがその天才の名前は残つてゐない。
あるいは残つてゐるのかもしれないが、やつがれは知らない。
知らないけれど編んでゐる。

酒見賢一が「泣き虫弱虫諸葛孔明」で書いてゐる。
ほんたうに偉大な発明といふのは、その発明者の名前が知られてゐないものである、といふやうなことを。

さうかもしれない。
船を発明した人の名前をやつがれは知らないし、織物を発明した人も同様だ。
糸を紡ぐなんて誰が考へ出したのだらう。
調理したらおいしくものが食べられるといふことも、誰か見つけた人がゐるはずだ。

名前は知らないけれど、その発明・技術は脈々と受け継がれてゐる。
なかには途絶へてしまつたものもあるだらう。
いままさに途絶へんとしてゐるものもある。
あみものとかタティングレースとか、さうした「いままさに途絶へんとしてゐる」といふやうな状況に陥らないやうにつづけてゐるのかもしれないなあ。

などと書きつつ、普段はそんな大仰なことはまつたく考へてゐなくて、楽しいから編んでゐる。
楽しくなくなつたら編まないだらう。

Hell's Grannies Hat はあひかはらず整形はできてゐない。
いつそのこと水通しして形を整へたらそのまましばらく放置しておかうか、と思ふくらゐだ。
それが一番いいかなあ。

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