糸の運命
年末にDMC コルドネ・スペシャル40番のecruを買つてしまつた。
Pepperpot Hat につける飾りをタティングレースで作るつもりで買つたのだが、どう考へても我が家には飾りを作るに十分な、否、十分過ぎるほどレース糸がある。
もうこれ以上は必要ない。
しかし買つてしまつた。
これには理由がある。
先月、HandyHands からメールが来た。
その中に、「今後DMCはコルドネ・スペシャルやスペシャル・ダンテルを作らないことにする」といふやうなことが書かれてゐた。
え、マヂ?
コルドネ・スペシャルやスペシャル・ダンテルが廃番?
と思つてゐたら、続報があつて、廃番にはしないしDMCはこれからも作り続けるけれども米国には輸出しない、といふ話だつたのらしい。
これで一安心、と思つたら間違ひだ。
日本への輸出についてはまつたく言及されてゐないからだ。
どうしやうもなくなつたら本国に行く、といふ手もないわけぢやないが、どうなんですかね、フランス。落ち着くのかな、政情。
フランスぢやなくてもいいのか。フランスからDMCの糸を輸入してゐる国に行けばいい。
或はネット通販で取り扱つてゐる店から買ふか。
そんなにDMCの糸がいいのか。
いい。
とくに80番くらゐになるとスペシャル・ダンテルを超える結びやすさの糸はちよつとないと思ふ。
レース編みをはじめたばかりのころ、国産のレース糸は褪色するけれどもDMCの糸はしないといふ話を聞いたこともあるな。
これについては後に「褪色上等」と思ふやうになつたのであまり重視はしてゐない。
重視はしてゐないけれど、DMCの糸を使ふメリットであることは間違ひない。
廃番になると、入手しても使へないんだよね。
だつて手持ちのこの糸がなくなつたらもう手に入らないんだもの。
畢竟使へなくなつてしまふ。
だが、使はない糸といふのはなんなのか。
糸として生まれてきて、使はれることなく、ひよつとするとゴミとなつてしまふかもしれない。
そんなのは可哀想に過ぎる。
だつたら使つて、とも思ふのだが、ドイリーやなにかにしてもやはりゴミとなつてしまふかもしれない運命は変はらない。
糸に生まれてきた己の不幸を呪ふがいい。
さうとしかいへない。
だつたら我が家においで。
仲間はたくさんゐる。
廃番になつてなどゐないけれども使へてゐない糸もたくさんある。
……などといつてゐてはいけないのだつた。
今年も例年とおなじく「手持ちの糸を使ふ」ことを心がけていくつもりなのだもの。
なかなか実現できてゐないがなー。
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