寒くならないとわからない
突然冷えてきた。
そんなわけで、編みかけの袖なし羽織を膝の上にのせてみる。
いままではあたたかく感じたのに、昨日はそれほどでもなかつた。
それでものせてゐるとゐないとでは大違ひで、一度のせるとおろせなくなる。
それですこしだけ編み進む。
実際に冬の気温になつてみないと、どれくらゐあたたかいのかとかわからないものなんだなあ。
五月ごろ、夏ものを出すときにもいつも思ふ。
大抵は連休のころに衣替へモドキをする。
このときに麻や麻混の糸でできたものを羽織ると、まだまだ涼しい。
ああ、麻つて、ほんとに涼しいんだな。
つくづくさう思ふ。
ところが実際に夏になつて羽織るとちやんと暑いんだな、これが。
世の中さうしたものなのだらうか。
それにしても、混紡でもあれだけ涼しい感じがするのだから、冬に麻なんぞを着ても、また重ね着しても、全然あたたかくならないんだらうなあ。
昔の人はどうしてゐたのだらうか。
平安時代末期はとても暖かい気候だつた、平清盛の熱病はマラリアだつたのぢやあるまいか、なんぞといふ話があるけれど、庶民は麻くらゐしか着るものがなかつたとしたらさうでないと暮らしていけなかつたんぢやないかといふ気がする。
もつとも、江戸時代には寒かつた時期もあるといふ話だからなんともいへないが。
それにしても重ね着をしたくらゐではまつたくあたたかくならない。
困つたものだ。
これつて、次第に寒くなつてきてゐたら気にならないくらゐの気温の低さなんだらうかなあ。
先日夏日があつて、急激に気温が下がつたからよけいに寒く感じるのぢやあるまいか。
などと、毛糸に囲まれながら考へることができるといふのはなんといふ贅沢なのだらう。
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