カラオケとわたくし
カラオケにはあまり行つたことがない。
歌を歌ひに行つた回数は、おそらく両手の指の数で十分足りるくらゐだと思ふ。
去年の六月から、人形劇三国志(来月は平家物語ださうな)のDVD上映会に参加することが何度かあつて、それでいきなりカラオケに行く回数が増えたが、歌は歌はないからなー。あ、人形劇三国志のエンディングを一緒に歌ふことはあるけれど、それはカラオケではないし。
カラオケに行つたことがない理由は、「一緒に行かう」といふ人が周囲にゐなかつたからだ。
あとは今様の歌を知らないといふこともある。
はじめてカラオケに行つたのはかれこれ四半世紀は前のことで、当時の今様もわからなかつたが、いまはさらにわからない。
最初のカラオケでなにを歌つたかといふと、カブキロックスの「OEDO」だつた。
なにしろ歌を知らないものだからウケに走つてしまふ。
当時のカラオケにはナツメロは少なかつたやうに記憶してゐる。
すなはちやつがれの知つてゐるやうな歌がほとんどなかつたといふことだ。
さらには、どうもカラオケといふものは、はじめのうちはみんなの知つてゐる今様を歌つて、場があたたまつてきたらちよつとマニア向け(といはうか)な歌を披露するといふやうな暗黙の了解があるやうな感じがしたから、といふこともある。
単に気のせゐかもしれないが、暗黙の了解はなにかしらあつたんぢやないかなあ。
しよつ中行く人にはわかつてゐても、まれにしか行かない人間にはわからないやうなしきたりが、カラオケにはあるやうに感じたのである。
なので、とりあへずおとなしく歌を選ぶふりをして、催促されたらあれば丸山明宏の「メケ・メケ」とか、なつかしのアニメソングとか、あー、「女王様伝説」も歌つたことあるなー、あとは戸川純の「蛹の女」とか、どこかしら「ネタモノ」に走つてしまふ選曲ばかりしてゐた。
といつても、これまでの人生で八回かせいぜい九回くらゐのことだけれども。
しかし、ウケをねらつていいのは本来歌のうまい人に限るんだよなあ。
下手なのにウケに走つてどうする、ヲレ!
といふわけで、カラオケとはあまり相性がよくない。
でもカラオケには行きたいと思つてゐて、それはオタマトーンとかオカリナとかリコーダーとかウクレレの練習がしたいからだ。
いはゆる「ひとりカラオケ」といふアレだ。
集合住宅に住んでゐると楽器を演奏したいといつても隣近所の迷惑を考へるとなかなかできない。
そこでカラオケだ。
カラオケだつたら多少音を出したところで周り中みんなおなじやうなことをしてゐるのだから気が引けない。
楽器を持つてカラオケへGo!
とは思へども、ではいつそんな時間があるのとかいふと、週末とか休みの日だ。
そんなお客の多さうな日にカラオケに行つて、ひとりでひとつの部屋を専有するのつてどうよ。
それに、さういふ日はカラオケにかかるお金も高さうな気がする。
さらには、オタマトーンやウクレレならいいけれど、オカリナやリコーダーを吹きたい場合、飲み物は邪魔になる。
カラオケといふのは見ると大抵どこでもひとりワンドリンクは注文しないといけないのらしい。
どうすればいいんだ、管楽器は。
と、云ひ訳ばかり考へて、結局ひとりカラオケにも行つたことはない。
一度行つたら勝手もわかつて通ふやうになつたりもするのかもしれないが、いまのところさういふ未来は見えてこない。
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