年賀状はもうやめようか
タティングレースのスカーフはちよこちよこ進んでゐる。
大物を作り始めると進捗具合を伝へるのがむつかしい。
何段できてモチーフを何枚つないだ、とか書けばいいのかもしれないが、しかしそれが全体のどれくらゐかはわからない。
いまのところ、何段つなげば気に入るやうな長さになるか不明なのでなんともいへないのだつた。
ところで、ここのところ年賀状にはタティングレースのモチーフをはりつけてゐる。
例年いまごろになるとモチーフ大量生産モードに入るところだが、今年は違ふ。
タティングレース熱が再燃したときに、やたらとモチーフばかり作つたからだ。
これだけあれば年賀状にはりつけてもちよつとあまるんぢやないかといふくらゐある。
今年はこのあとひたすらモチーフをつないでスカーフを大きくすることに専念できさうだ。
などと書きながら、年賀状はもうやめやうかな、と、この時期毎年思ふ。
なぜといつて、書いてゐる時間がないからだ。
今年の十二月は歌舞伎座の夜の部に三回行くことになつてゐる。
夜の部の一幕目である「壇浦兜軍記」にAプロとBプロとがあつて、Bプロの方は阿古屋といふ役をふたりの役者で交互に演じるからだ。
つまり、三回見ないと全部見られない寸法になつてゐる。
普段、「一月のうちにひとつの演目を見るのは一度」と決めてゐる芝居見物だ。
「これは何度か見ないと」といふものはそれでも二度と決めてゐる。
際限がなくなるからだ。
なのに一月のうちに三度も歌舞伎座に行くなんて。
と、これだけでも予定がなかなか立たないのに、歌舞伎に関していへば国立劇場でもあるし、京都南座でもあるし、文楽はあるし、「メタルマクベスdisc 3」は十二月にとれてしまつたし、落語は柳亭市馬の年忘れ落語会(別名「お歌の会」)があるし、さらに映画も見に行くし、なんかもうこれ以上予定が入りません、といつた状況なのだつた。
年賀状を書いてゐる時間がどこにもない。
だつたら平日帰宅後に書けばいいぢやないかといふ話もあるが、平日は平日で、なにを削つたらもつと睡眠時間がとれるやうになるだらうかいつた体たらくで、とてもとても年賀状を書く時間にさく余裕はない。
毎年十二月は、「次回は歌舞伎座か国立劇場かどちらかにしやう」と思ふ。
それができれば苦労はしない。
だが、来年は苦労しなくてもさうなるかもしれないな。
消費税があがつたら、芝居見物なんぞしてる余裕はなささうだからだ。
夕べNHKの9時のニュースを見てゐたら、「消費税増税後に消費の冷え込む可能性がある」みたやうな話をしてゐて、「へー、世の中には消費税増税後に消費の冷え込まない可能性があるつて思つてゐる人もゐるんだ」としみじみ感心した。
おめでたい人といふのはいづれの世にもゐるものなんだな。
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