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Wednesday, 14 November 2018

飯田市川本喜八郎人形美術館 源氏と木曽 2018後半

10月26、27日と飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。
今回は「平家物語」から源氏方の人形たちのゐるケースについて書く。

展示室を進んで「江東の群像」の先にあるケースに源氏方の人形のケースがある。
左から弁慶、馬上の義経、静、頼朝、正子、時政、葵、馬上の義仲、巴が並んでゐる。

この美術館にゐる平家物語の人形たちは新たに作られたもので、TVに出てゐた人形は渋谷ヒカリエの川本喜八郎人形ギャラリーにゐる。
聞いた話では、TVに出てゐる人形を作つたときとおなじ型で作つたのだといふことだが、飯田にゐる人形とヒカリエにゐる人形とではおなじ人形でも全然趣が異なることが多い。
中では弁慶が一番変はらないやうに思ふ。
これは「人形劇三国志」の人形も含めて、だ。
三国志の人形は、飯田にゐる方がTVに出てゐた方で、ヒカリエにゐる方が新たに作られた人形だ。
横にならべて比べることはできないけれど、見ればなんとなく違ふなといふことがわかる。
でも弁慶はどちらもそれほど違ふやうには見えない。
ブレないから、かなあ。
「武蔵坊弁慶」といつたときにそれぞれの抱くイメージがあつて、それが人や時代によつて大きくブレることがない。
さういふことなのではないかと思ふ。
飯田の弁慶は黒い鎧を着込んでゐて勇ましいやうすだ。
いつも思ふのだが、大地をしつかり踏みしめてゐるやうに見える。

飯田で見る義経は馬上であるといふ印象がある。
それもケースの奥でちよつと高いところにゐる気がする。
そのせゐで、あふりのアングルでしか見たことがない気がするんだな。
これは玄徳にもいへることだけれども、玄徳の方が手前にきてゐて視線の高さとさう変はらないアングルで飾られてゐることが多いやうに思ふ。
義経も間近で見られたらなぁ。

静は白拍子の拵へ。
義経・弁慶・静の三人はそれぞれの場所にいるという設定のやうだ。
義経とはこどものころに出会つてゐて、といふ話のせゐか、人形劇の静にはどこか幼女めいた印象がある。
動くとまた違ふんだけれども。

頼朝は、飯田とヒカリエとで一番違ふ人形だ。
ヒカリエにゐる頼朝は、どこか曹操の面影がある。
衣装が黒いことが多いので、「黒の曹操」といつたところか。
飯田の頼朝には曹操を思はせるやうなところは微塵もない。
ヒカリエの頼朝は悪巧みをしさうに見えるが、飯田の頼朝はそんなことはしないんではないかなあ。
飯田の頼朝はわりと穏やかな表情をしてゐて、飯田にゐる平家物語の人形の中では最も好きな人形かもしれない。
あ、二位の尼も好きなんだな。今回はゐないけど。

政子は頼朝の隣にゐる。
さう、頼朝より上手にゐる。
普段はさういふ見方はしないのだけれども、今回はちよつと気になつた。
とはいへ、お雛様でもお内裏様とお雛様とをどちらを上手にしてどちらを下手にするかには諸説あるやうだし、あまり気にすることではないのかもしれない。

時政は、両足の裏をつけるやうにして座つてゐる。
時政といふとこのポーズが多いやうに思ふ。
いまのヒカリエの展示でもおなじポーズなやうに思ふ。
以前、飯田で仲睦まじいやうすの頼朝と政子の背後に時政がいまとおなじやうなポーズで座つてゐて、胡乱げにふたりを眺めてゐる、といふ展示があつた。
時政は、どこか違ふところにゐるといふ心だつたらう。
娘が平家に仇なす流人に近づくことを憂へてゐる、なんとかならんものだらうかと思つてゐる。
そんなやうすだつた。
いつものポーズでもちよつと変はるだけでまつたく印象が変はるんだなあと思つた展示だ。

葵・義仲・巴は、離れて見るとそのまま絵葉書にしたいやうな様で展示されてゐる。
いづれも鎧姿で、いい感じに三角形を形作つてゐて、様子がいい。
巴の長刀の先がいまにもこちらに飛び出してきさうなのもおもしろい。
長刀の先がおそらく中のケースにつくかつかないかといつたやうすで飾られてゐるのではあるまいか。
そんな緊張感のある長刀にくらべて、巴にはこちらを切らうといふやうすは見受けられないので、離れたところから見るとちよつと安心するわけだ。
長刀を手にしてはゐるものの葵もどこかくつろいだやうすに見えるし、緊迫した状態ではないのだと思はれる。
義仲の鎧は緑のグラデーションになつてゐて、これがとても似合つてゐるし、義仲らしいと思ふ。
美術館の方も、鎧はひとつひとつ登場人物のイメージに合ふやうに作つたと説明してゐた。

以下、つづく。

紳々竜々と「荊州の人々」についてはこちら
「玄徳の周辺」についてはこちら
「江東の群像」前半はこちら
「江東の群像」後半はこちら
「曹操の王国」前半はこちら
「曹操の王国」後半はこちら

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