Travel Tatting
日曜日に名古屋に行つた。
御園座で歌舞伎の顔見世興行を見に行くためだ。
御園座にはこの四月にも行つた。
このときは松本白鸚・松本幸四郎の襲名披露公演だつた。
名古屋には、新幹線で行つた。
四月は、レース糸を巻いたタティングシャトルを持つて行つて、新横浜くらゐから Mary Konior の Curds and Whey を作り始め、帰りの新幹線結べるところまで作つた。
今回は極細毛糸をシャトルに巻いて、名古屋行きの新幹線に乗つてから東京行きの新幹線で降りるまでできるところまでスカーフ用のモチーフを作つた。
途中までできてゐるスカーフを持つて行くのはちよつと気が引けたので、モチーフつなぎとして独立したものを作り、あとで本体とつなげるつもりで作つた。
あとでつなげるのはちよつと手間な気がしたが、そこはそれ、である。
やつてみなければわからない。
といふわけで、ここに貼つた写真が時系列の写真だ。
青いもの(かばん)の上にモチーフの載つてゐる写真は御園座で撮つたものである。
しかとは覚えてゐないのだが、新横浜を過ぎてちよつと行つたあたりから作りはじめて、浜名湖を過ぎるくらゐまではタティングしてゐた。
そこでちよつと疲れてしまつて、すこし休み、三河安城の手前からまた結んだ。
それでこんな感じである。
帰りの新幹線は通路側の席で、乗つた直後に夕食を食べそれからタティングをはじめたので、どのあたりからかは定かではない。
気がついたら「ただいま浜松駅を通過しました」的なメッセージが出てゐたことだけは確かだ。
そこから小田原駅を過ぎるくらゐまではちよこちよこ休みながら結んでゐた。
結果、モチーフ二枚とちよつと、といつたところだ。
以前このモチーフでスカーフを作つたときはもつと早く作れたやうに思ふのだがなあ。
気のせゐだつたのかもしれない。
また、今回は途中からシャトルのカチカチいふ音がしないやう気を遣ひながら結んでゐたので、それで時間がかかつたといふ話もある。
音といへば、見てもわかるやうに最初シャトルにはめいつぱい糸を巻いた。
「めいつぱい」ぢやないか。シャトルの許容量を超えた量の糸を巻き付けた。
世に「藤戸巻き」といふとかいはないとかいふが、本家藤戸巻きはこんなものぢやなかつたやうに思ふ。
かういふ巻き方は、シャトルによくないしはみ出た糸が汚れやすいからしなさんな、といふのがお約束とされてゐる。
至極もつともだと思ふ。
だがこの巻き方にもいい点はあつて、まづ、糸を引き出しても音がしない。
シャトルの上下が開くほど糸を巻いてゐるのだから、そりや音はしない。
通常はシャトルの上下が閉じてゐて、糸を引き出すときはそのあひだを通すので、一瞬シャトルの上下が開いて閉じる、そのときにカチと音がする。
このカチカチいふ音がリズムを刻んでいい感じなのだが、外でタティングをする場合、必ずしもいい結果をもたらすとは限らない。
うるさいと思ふ人もゐるからだ。
そこでこの巻き方だ。
また、シャトルの糸切れ回数が減るといふ利点もある。
ただ、ボビン形式のシャトルには向かない。
ボビン形式の場合、糸を巻きすぎると糸がボビンとシャトルとのあひだに入りやすくなつてしまふからだ。さうなるといちいちボビンをはづして糸をボビンに巻き付けなほさなければならない。
もともとおすすめできない巻き方ではあるが、時と場合と自己責任、といつたところか。
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