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Friday, 20 July 2018

戦隊ヒーローもののレッド考

数作前の戦隊ヒーローものでレッドを演じてゐた俳優が出てゐる芝居を見る機会があつた。
戦隊ヒーローもののあとその俳優を見かけたことはなく、芝居を見て「かういふのを演じてみたかつたのかなあ」とそのとき思つた。
といふのは、戦隊ヒーローもののときは無理をしてゐるやうに見えて仕方がなかつたからだ。

獣電戦隊キュウリュウジャー、烈車戦隊トッキュウジャー、手裏剣戦隊ニンニンジャーのレッドは、いづれもそんな感じだつた。
つづく動物戦隊ジュウオウジャーのレッドはそれほどでもなく、宇宙戦隊キュウレンジャーのレッドは口癖の「ラッキー!」に助けられて無理をしてゐるやうすがわづかばかり軽減されてゐたやうに思ふ。

各戦隊のレッドがどうして無理をして見えたのかといふと、明るくふるまはうとしてゐるやうに見えて不自然さを覚えたからだ。
「戦隊もののレッドはかういふもの」といふ決まりがあるのだらう、つねに前向きで、世の中の負の部分には目を向けない。
さういふ演技をしてゐる(或は「しなければならない」)さまを見てゐると、見てゐるこちらがつらくなつてきてしまふ。
輝く笑顔さへ顔にはりついてゐるやうに見えてくる。

いま検索しても見つけられなかつたので記憶だけで書くが、先日誠直也が秘密戦隊ゴレンジャー(以下、ゴレンジャー)に出演してゐるときのことを語つたものの抜粋を見かけた。
誠直也はアカレンジャーを演じてゐた。
誠直也は、自分やアオレンジャーを演じてゐた宮内洋はこども向けの演技ができなかつた、といふやうなことを云つてゐた。
「こども向けの演技ではなかつた」だつたかな。
でも、それがよかつたんぢやないかな。
ゴレンジャーの人気の秘訣はさういふところにあつたのではあるまいか。
無理に作つたこども向けの演技よりも、大人のドラマで見せるやうな演技が荒唐無稽な特撮戦隊ヒーローものをリアルに見せてゐたのぢやあるまいか。

人形劇がさうだ。
NHKの人形劇は物語(脚本)こそこども向けに作られてゐることもあるけれど、人形の声の演技や操演は、こども向けではまつたくない。
そのままおとなのドラマも撮れる、さういふ芝居をしてゐる。
それがこどもの心に残るのぢやないかなあ。

現在の戦隊ヒーローものである怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー(以下、ルパパト)のルパンレッドとパトレン一号にはいまのところこれまでのレッドに感じてゐたやうな無理はあまり感じてゐない。
ルパンレッドは怪盗といふこともあつてか底抜けの明るさとはあまり縁がないやうであるし、パトレン一号は明るさよりは真面目さ融通のきかなさを前面に押し出してゐるからだらう。
それが自然かといはれると答へに困るが、少なくともこれまでのレッドよりは見てゐて安定感を覚える。
つひつひルパパトを見てしまふ所以はさういふところにもあるんだらう。

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