不器用なわけ
腱鞘炎になつてからといふもの、編むときには案外左手を使ふものであるといふことに気がついた。
右手で糸をかけて編む方法ならもう少し左手を使はずに済むのだらうか。
いづれそちらに鞍替へすることも検討するか。
ところで、あみものやタティング以外にもやつがれはどうやら利き手でない方の手をほかの人よりはよく使ふのらしい。
コンピュータのマウスを左手で使ふのは、これは意図してはじめたことだ。
職場で同僚が右脳活性化のためと左右の手のバランスをとるためと云つて、左手でマウスを使つてゐた。
それはいいかもしれない、といふのではじめたのだつた。
それ以前は右手で使つてゐたし、おそらくいまでも右手で使ふ方が楽にマウスをあやつることができると思ふ。
本来利き手ですることを逆の手でする方であるらしいことに気がついたのはスピンドルで糸を紡ぐやうになつたときだ。
教はりに行つて、どうもほかの人と手が逆である。
目の前に座つてゐる人のやるとほりにやつてゐるからさうなつたわけではない。
自分でやりやすいと思つたのがそちらだつたのだと思ふ。
糸を紡ぐにはどちらの手で毛を持つてどちらの手でスピンドルを使ふといふのが決まつてゐるらしいので、これはそののちなほした。
確信したのは昨日のことだ。
左手の中指が腱鞘炎になつてからといふもの、缶の飲み物のプルトップが開けづらくて困つてゐた。
プルトップは左手の指にかけて引つ張る。ゆゑに中指に力が入らない状態はすこぶる都合が悪い。
困つたなあとつぶやいたところ、スプーンを使ふといいとかバターナイフがいいとかいろいろご教示たまはつた。
ぢやあ次に開けるときは試してみやう、と思つてゐたところ、トマトの缶を見たらプルトップの開け方が図示されてゐるではないか。
その絵では、どう見てもプルトップは右手で開けてゐた。
世の中の多くの人は右利きだらう。
最近は左利きの人も左利きのままでゐるのらしいが、すくなくともやつがれの世代までは左利きの人は厳しく矯正されてゐた。
つまり、世の中の人は缶のプルトップを利き手で開けるのぢやあるまいか。
さうなのかー。
あまり深く考へたことはなかつたし、観察したこともなかつた。
ちなみに、利き手である右手でプルトップを引くと、なれないせゐか爪が折れさうになつてしまつた。
考へてみると、昔から左手の方が握力は強かつた。
小学生のときに計測したときにはすでにさうだつたから、ずつとさうなのだらう。
思へばラケットベースといふテニスラケットをバットに見立てた野球の一種でバッターボックスにたつときは左側に立つてゐた気がする。
力は左の方が強いのだつた。
でも左手では字も書けないしお箸も使へない。
制御がきかないのである。
ラケットは両手で持つから制御は右手がするのだらう。
なるほど、やつがれが不器用なのはそのせゐなのかもしれない。
利き手が利き手の役目を果たせないからだ。
そして逆の手は利き手の代はりにはならない。
この中途半端な状態では器用にはなりやうがない。
さうだつたのかー。
きつと世の中にはおなじやうな人がゐるのに違ひない。
先にも書いたもともと左利きなのに矯正されて右利きにしたやうな人にゐたりしないかなあ。
これから左手でやつてきたことを右手に置き換へていくのはひどく難儀な気がする。
どうしたらいいのか。
とりあへず腱鞘炎をなんとかすることが肝要かな。
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